Criteo広告のクリエイティブをフル活用するコツ:フィードフォース 北島舞さんに聞く

Criteo広告のクリエイティブをフル活用するコツ:フィードフォース 北島舞さんに聞く

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ハイパフォーマンスだがクリエイティブは後回しにしがちなCriteo

今やダイナミック広告界の雄と言っても過言ではないCriteo。今年1月に開催された説明会では、「Open Internet」という新ビジョンのもと、リターゲティングだけでなく潜在層から既存顧客までのポートフォリオ拡充、自動車・消費財といったナショナルブランドや、アプリファースト事業者への領域拡大を掲げ、今後の動きに目が離せないプラットフォームです。

※参考:Criteoイベントレポート

しかしあまり手を加えずともハイパフォーマンスを出せる媒体であるがゆえ、足元であるクリエイティブの部分は後回しにしがち、という方も多いのではないでしょうか。

 

今回の話し手:株式会社フィードフォースの北島舞さん

今回は、Criteoのクリエイティブに造詣の深い株式会社フィードフォース Feedmaticチームの北島舞さんに、Criteoならではのクリエイティブ作成のコツや、業種別のオススメの機能などについてお伺いしました。

※参考:北島さんが所属するFeedmaticチームのサービスサイト

話し手:株式会社フィードフォース Feedmaticチーム コンサルティンググループ 北島 舞さん
聞き手:アタラ合同会社 チーフコンサルタント 中川雄大
編集:アタラ合同会社 Unyoo.jp編集部 井谷麻矢可

 

まずはエンジンを理解し、クリエイティブパターンはなるべく多く

中川:まずは北島さんのご経歴を教えて下さい。

 

北島:2014年にネット専業の代理店に入社し、2年半ほどダイナミック専門の部署で、主にメディアバイイングや媒体との窓口を担当していました。前職の会社では知識のある者が社内全体の相談事項を集約して各媒体に連絡する方式を採っていたため、社内のダイナミック関係の事項はほぼ全て目を通す環境にあったので、結果ダイナミック広告に異様に詳しい人になったという背景があります。

 

ダイナミックというとやはりCriteoが主であり、かつCriteoは進行が複雑でコミュニケーションも非常に多かったため、自分の中でナレッジが溜まっていきました。また期待に沿った実績を返してくれる媒体という事もあり、媒体理解が進むにつれてどんどんCriteoを好きになっていきました。

 

その後、2017年8月に株式会社フィードフォースに入社し、現在はFeedmaticという広告運用サービスを担当しています。もちろんCriteoだけでなく、Google 広告やFacebook広告なども扱っています。

 

 

中川:ありがとうございます。今回はCriteoにフォーカスして伺えればと思うのですが、Criteoは良い意味でも悪い意味でもできる事が限られていると感じています。その中で運用者の腕の見せどころって、クリエイティブの部分かなと思っていて。そのクリエイティブを作成する上でのヒントがあれば、教えていただきたいです。

 

北島:私としては、Criteoの運用はクリエイティブや入札だけだとはまったく思っていません。フィードを改修する事でレコメンドエンジンが改善され、結果的にそれがクリエティブの改善に繋がります。また、タグ経由で媒体に渡す情報の精緻度合いを最適化していく事も重要です。要はCriteoのエンジンをフル活用する事を全体のテーマに掲げ、その一つにクリエイティブの運用があると考えています。

 

中川:サイト全体にタグをきちんと実装しきれていないケースも見受けられますよね。

 

北島:そうなんです。やはり最初の導入が大変で、タグもフィードも含めて必須項目だけで配信開始して、後は放置しているケースもあると思います。クリエイティブを考える前に、まずはそこをぜひ見直していただきたいなと思います。

 

中川:それらができた上で、クリエイティブ改修ではどういったポイントを押さえるべきでしょうか?

 

北島:まずはクリエイティブエンジンをきちんと理解した上で、なるべく多くのパターンを設定する事が第一のポイントです。よく「カラーを最大数入れ、良いカラーを残して悪いカラーのクリエイティブを除外する」というやり方を見かけますが、それは良い方法ではありません。

インプレッションが少なかったとしても、ユーザー毎に最適化しているので、なるべく異なる印象のカラーを多数入れておくべきです。そこが、他の媒体と考え方の異なる部分かもしれません。

 

中川:他にも、他媒体と異なるため気をつけるポイントはありますか?

 

北島:他媒体と比べてバッヂやテキストなどを入れられる箇所はすごく多いので、そこはフル活用していただきたいですね。ただ、サイレントでアップデートされている機能もあるので、積極的に媒体の担当者にアプローチして話を聞いて関係を構築しておく事が重要です。

 

業種ごとに機能をフル活用するコツ

中川:Criteoは意外とクリエイティブで出来る事が多いですよね。ただ、一つ一つのインパクトが小さい印象なので、皆見落としがちなのでしょうか。

 

北島:確かにインパクトは小さいですが、だからこそその積み重ねとPDCAをどれだけ回していくかがポイントになってきます。ただ、クリエイティブで使える機能を全て使えば良いのかというと、それも違います。全部入れたらさすがにごちゃごちゃしますし、そもそも業種的にマッチしない機能もあります。

数あるメニューの中から適切なものをしっかりと選んで使っていく事が重要だと思います。

 

中川:特にEC系はそのような印象を受けます。

 

北島:そうですね。タグやフィードに関してはなるべく多く入れるという部分は業種を問わず一貫してオススメしたい事ではあります。

 

中川:ただ、データフィードの部分では、文字切れなどを考えていないバナーも結構見かけます。もったいないなと思ってしまいます。

 

北島:恐らくまだバッヂなどがあまり使われていなかった時代は、とにかくテキストに情報を突っ込むという方針で皆さん運用されていたのだと思います。2年ほど前に文字の長さに応じて文字サイズを調整する機能も導入されているのですが、やはり文字切れが生じてしまっている状況が現実としてあります。そのため、タイトルに入っている情報をバッヂや他の箇所にきちんと分散させる事が重要です。

文字切れが起きていてはユーザーさんに情報が伝わらないため、視認性やCTRを上げるためには、なるべく分散させる事が重要です。

 

中川:個人的には、タイトルには商品名だけでも良いのではないかと思っています。送料無料などの付随情報はバッヂに入れるなどの工夫を施さないと、広告のフィールドが大きくなるためスマートフォンに対応できないのではないかと思います。

 

 

北島:おっしゃる通りだと思います。また、Criteoにおいてはディスクリプションが表示される・されないがありますが、EC系サイト等画像表示機会が多いアカウントでディスクリプションが表示される機会は体感で30%程度と、とても少ないため、ディスクリプションに頼る方法はいったん忘れていただきたいです。 タイトルや画像が表示される機会はとても多いので、それをバッヂで補っていく事が重要です。

また、プライスがそもそもないお客様だと、プライス欄を空けたままにしている場合も見受けられます。

 

中川:人材系などですか?

 

北島:人材系や、お申込みをするだけで価格がないようなサービス形態のお客様などです。プライス項目はどのレイアウトでも表示頻度が高いので、これを使わないのはとてももったいないと思います。 プライス欄にも数字だけでなく文字も入れられるようになってきているので、ぜひご活用いただきたいですね。プライス項目は数字しか入れられない仕様のため、文字を入れるための専用の項目を活用していただく事で日本語も入れられます。

 

中川:そういう情報はCriteoさんに相談しつつ、自身で様々な企業のクリエイティブを見ながら学んでいくのがベストなのでしょうか?

 

北島:そうですね、非常に参考になるのは不動産系企業のクリエイティブです。 駐車場の場所や駅からの距離、平米数や間取りなど、不動産は入れ込む情報が圧倒的に多い分、他業界と比べてもエクストラバッヂやエクストラテキストなど、追加で入れられるテキストの項目をすごく活用なさっている企業さんが多い印象を受けます。

 


「FeedTech 2018」ご講演時資料

 

中川:「クリエイティブに困ったら、不動産クリエイティブを見よ!」ですね。EC系よりも活用されているかもしれない。

 

北島:EC系は逆に画像と価格のレイアウトのCTRが高いので、それがどんどん露出してしまいます。それを考えると、テキストはそこまで気にされていないのではないかと思います。なので、どこに何が出せるのか?を学ぶには不動産が一番です。

 

中川:EC系だと最近はどんなクリエイティブの傾向があるのでしょうか?

 

北島:セールスプライスを表示するのは大前提ですが、最近だとブランド名やメーカー名をエクストラバッヂで出し、タイトルに入れる情報を分散させる事でタイトルを見やすくダイエットする傾向があると思います。特にファッションECサイトなどが参考になります。

 


「FeedTech 2018」ご講演時資料

 

中川:他にもクリエイティブ活用の参考になる業種はありますか?

 

北島:健康食品系も、様々な機能が活用されています。あとは、ニッチなところではカード系、美容系、学習塾や会計ソフトなど。

 

中川:学習塾はどんなレコードになるのでしょうか?

 

北島:夏期講習や冬期講習などの訴求です。Criteoって、フィードのメニューだからアイテム数が多い業種だけで使えると思われがちなのですが、まったくそうは思いません。レコメンドエンジンだけでなく、どのユーザーに配信すべきかを考えるエンジンもしっかりしており、パフォーマンスも出やすい傾向にあるので、ぜひ様々な業種でトライしていただきたいですね。

 

中川:業種別のクリエイティブのTipsについて引き続き伺いたいのですが、「FeedTech 2018」ではEC系、不動産系、人材系、旅行系の業種別Tipsをお話いただいていました。やはり業種別にやり方は様々なのですね。

 

北島:はい。今回はもう少しニッチな業種についても紹介したいと思います。まずは健康食品。健食はタイトルに情報が詰まっているのと、画像に「今なら○%オフ」などの文言が入ってしまっているケースがすごく多い事が傾向として挙げられます。

改修ポイントとして、まずはディスカウントバッヂの活用。「○%オフ」などの文言がない場合でも、「○袋入」や「○グラム」などの容量を入れたり、「CM放映中」「ネットで話題」といった情報を入れても良いと思います。

 

タイトルは、商品名のみ等簡略化するのがお勧めです。今回、調査のために数社分確認してみたのですが、タイトルが切れてしまっているクリエイティブも多かったので。

 

中川:10文字程度が限界でしょうか。

 

北島:そうですね、また画像は、値段などの記載のない、商品だけのシンプルなものにしていただく事が非常に重要です。

 

中川:エクストラバッヂはかなり使えそうですね。

 

北島:次に保険系。保険は入れられる情報が限られており、画像も商品ロゴ程度しか入れられないため、他業種に比べると余白が多くなる事が課題かと思います。対策として、ロゴエリアだけでなくフルサイズのクーポンを用いて簡素さを補う事が大事かと思います。画像部分はロゴ画像のみとし、付随して伝えられる「女性限定」「ネット専用」などの情報をエクストラバッヂで入れると良いかと思います。

また、保険業種の特徴として、年齢によって価格が変動するので、バナーに情報を出しづらい点があります。そこはプライス部分を「今すぐお見積り」などの情報に置き換えるなどして活用する必要があります。商品特性も長くなるので、ディスクリプションの方に入れるなどして、欠かさず使っていただくのが良いと思います。

 

中川:共通して言えるのは、できるだけ機能をフル活用して埋めるという事ですね。

 

北島:フィードで埋めきれない情報はエクストラバッヂもあるので、そこは追加のメニューを活用していただきたいです。

 

 

また、商品数の少ないEC系であっても、ぜひフルサイズクーポンで情報を補っていただきたいです。価格の上に依頼をするとテキストを表示できるエリアがあるのですが、例えば不動産だと「仲介手数料無料キャンペーン実施中」といった情報が価格の上に表示される確率が非常に高いので、キャンペーン期間中などには使える項目だと思います。

 

 

フルサイズクーポンで寂しさを補う

中川:画像面でのポイントはありますか?

 

北島:一貫して言えるのは、前述したようになるべく文字などを入れないシンプルな画像にするという事です。美容系サービスであれば、制服を着ている女性の画像など。

ディスクリプションも非常に重要なので、なるべく定期的に見直しをかけていただきたいですね。とにかく、フルサイズクーポンを是非もっと活用していただきたいです。

 

中川:クリエイティブの寂しさを補うのに、フルサイズクーポンはかなり使えそうですね。

 

北島:保険系などで、ロゴと「○○保険」などのテキストのみのクリエイティブが5アイテム並んでいるだけ…といったものも見かけますが、とても寂しい。フルサイズクーポンはどのユーザーにも表示されるものなので、高確率でクリエイティブの寂しさを補う事ができます。

 

中川:逆に業務用備品などを扱うECサイトなどでは品番などがタイトルに入っていて、やたらと冗長だったりします。

 

北島:冗長になる場合は、ユーザーにとっていらない情報や、他のカラムに存在していて抜く事が処理としてできるのであれば、徹底的に省いて良いと思います。自分がユーザーの立場に立って、買おうと思った時にどういった情報が欲しいかをしっかりと考えるのが、情報選定の基本スタンスになります。

 

中川:いかに限られたスペースで他社と差別化して情報を提供するかは、業種関係なく共通して考えなければいけない事ですね。ユーザーからしてみたら、必要ない情報も結構あります。

 

北島:EC系にありがちですが、アイテムの画像で気に入って購買につながるなど、ユーザーがブランドを気にしていないケースもあります。その場合、ブランドは省いてアイテム名だけにしてみる、ブランドをバッヂに切り出してみるなどやりようはあると思います。

あとは、ユーザーがバナーに触れる時間は非常に短いので、その数秒間で直感的に伝わる情報を入れるという視点も重要です。その視点で考えると、長々としたタイトルは高確率で読まれないでしょう。

 

北島:最後に、大前提になりますが、全アカウントで見直していただいたいポイントがいくつかあります。まずレイアウトを最大数きちんと入れているかどうかという点。Criteoがエンジンで調整してくれるのはレイアウトやカラーの部分ですが、Criteo側でレイアウトの最大数を増やしている事があります。少なくとも年1回はレイアウトがきちんと最大数になっているかチェックする必要があります。

 

中川:確かに、あるアカウントでは追加されていて、別のアカウントではそのままといった場合も意外とありますよね。

 

北島:ナビゲーション(バナー内でのアイテム切替え方法)も現在4パターンあるのですがこれも最大数になっていないケースを最近よく見かけます。こちらももれなくチェックしていただきたいですね。

次に、カラー開始時のまま放置になっているアカウントもあるかと思いますが、きちんと最大数入れられているかをチェックする事も重要です。とはいえ全て同系色では意味がないので、なるべくそこははっきりと異なる色味を入れていただいて。

 

中川:皆、コーポレートカラーを入れたがる事が多いと思うのですが。

 

北島:コーポレートカラーも良いですが、そこは来訪ユーザーの傾向を見て、色を選んでいただくのも一つかと思います。最後に、CTAのパターンも複数入れられるので、そこもなるべく多く入れていただけると良いかと思います。

 

中川:やはり、他の媒体と一緒だと考えず、Criteoの特性を把握してフル活用する事が大事ですね。

 

北島:ダイナミック広告なので、動的に差し替える情報など、広告にどれだけ武器を与えてやれるかが大事になってきます。その中でもCriteoは特にクリエイティブの柔軟性が高いので、ぜひ色々と試してみていただきたいです。

 

中川:本日は貴重なお話、ありがとうございました!

 
※文中の図はすべて株式会社フィードフォース様よりご提供いただいた画像です。無断での転用・改変する事を禁じます。
※同記事は2019年2月に取材した内容をもとに作成しています。

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