広告プラットフォームの2024年業界予想:③AIはプラットフォームの機能やサービスにさらに侵食する

広告プラットフォームの2024年業界予想:③AIはプラットフォームの機能やサービスにさらに侵食する

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クリエイティブ生成機能はテキスト、画像から動画へ

下記のリンクをクリックしていただくと、2023年はGoogle、Meta、Microsoft、TikTok、LinkedInなど大手プラットフォームが管理画面にネイティブで生成AI機能を使ったテキストや静止画のクリエイティブ生成機能を実装したことがわかります。

※参考リンク:

となると、広告フォーマットとして自然と次は動画、ということが考えられます。ただ、テキストや静止画以上に難易度は高いのと、処理パワーがかかるので、プラットフォーム側も慎重ではあると思いますし、リリース直後は正直あまり有用性はさほど高くない機能になる可能性はあると思います。

 

メディアプランニング&バイイングも自動化

AIは実際、プラットフォームにおいては、すでに入札管理、インサイトや最適化案の提供、クリエイティブ生成などの領域に入り込んでいますが、今後はメディアプランニング&バイイングも自動化するのではないかと予想します。

以下のスクリーンショットはReBidという会社のGPT搭載AIメディアアナリストですが、パフォーマンスデータを読み込ませ、ゴールに応じて最適な施策案を返してくれるものです。

ReBidのGPT搭載AIメディアアナリスト

※参考リンク:

現時点では保有しているパフォーマンスデータを解析し、それに対する施策や最適化案を提供してくれるものです。こちらはサードパーティツールですが、プラットフォームにネイティブに実装されてもおかしくはないですし、過去データから配信プレースメントを推奨してくれたり、バイイングも自動最適してくれるとよいですね。MFAの疑いのある配信先もゆくゆくは省くなど自衛対策にもAIは役割を担っていくように思います。

 

AIエージェントが出現し、新しい広告の機会を創出する

米国の一部ユーザーにベータ版で提供されているAIエージェント「Meta AI」が日本含め他国でも登場するのではないかと思われます。Messenger、Instagram、WhatsAppで提供されている本機能ですが、AIに対してはかなり注力しているので、グローバルの展開も早いのではないかと思います。また、Metaからの言及はまだありませんが、ここに広告が表示されることになると予想しています。

Meta AI

Snapも同様の取り組み「My AI」を打ち出していますが、調査会社ニュー・ストリート・リサーチは、これら2つの主要ソーシャルメディア・プラットフォームにおけるAIエージェントの広告収入は、今年10億ドルを超え、来年には70億ドルを突破すると発表しています。

Snapは2024年に『My AI』スポンサーリンクから2億3400万ドルを生み出し、翌年には194%増の6億8600万ドル、つまり2025年の広告収入全体の11.2%を生み出すと推定している」と、ニューストリートは述べています。また、Metaは2024年7月にAIエージェントの広告テストを開始し、2025年には67億ドル、つまり2025年の総広告収入の4.0%をAIエージェントから得ることができると推定しています。

当然ながらGoogle、マイクロソフトなど、他社も同様の動きが考えられるので、プラットフォーム間で熾烈な争いが繰り広げられる領域の一つになる可能性があります。

※参考リンク:

 

大手はAIによるハイパーパーソナライズを実践

昨年私も執筆に参加した書籍『マイクロソフト「Copilot」の衝撃 生成AI時代のマーケティング』でも述べましたが、大手企業によるAIを活用したハイパーパーソナライズの事例が出てくるのではないかと思います。

マイクロソフト「Copilot」の衝撃 生成AI時代のマーケティング

生成AIによって効率的にクリエイティブ作成ができるようになりました。ただ、今はプラットフォーム毎に搭載しているAIエンジンが広告運用者によるクリエイティブ制作をアシストしてくれる側面が強いですが、ファースパーティデータとして保有しているユーザー情報などを使って、システムが自動的に個々人に合ったクリエイティブ制作をした上で、広告、メール、ウェブサイトなどのアクティベーション施策に流し込んで配信利用されるようなパーソナライズ、つまりこれまでにないレベルの「ハイパーパーソナライズ」の事例が大手企業から出てくるのではないかと思います。

大手はAIによるハイパーパーソナライズを実践

 

プラットフォームはフロント営業を減らす方向へ

2023年12月末に、Googleが広告営業部門の再編を計画というニュースが流れたため、この予想を立てましたが、年が明け、残念ながら早くもその可能性は現実となってしまいました。

※参考リンク:

Googleは歴史的に広告営業を大口法人向けと中小企業(SMB)向けに分けて行ってきました(プロフィットセンターとしても別)。大口法人営業は予算が大きい数%のクライアントをハンドリングしてきましたが、長年アップセルもクロスセルも最適化もし尽くした感があり、ビジネスは頭打ち状態。売上増のドライバーはSMB事業にすでに移っていました。

AIを使うことで、オンボーディング、離脱防止、クロスセル/アップセルを担うことは早晩できるようになるでしょう。ただ、複雑な技術を要するサポートは人的リソースで引き続き担うことになると思うのと、先進事例の創出が可能なクライアントにターゲットも絞られることになると思います。その結果、今回のレイオフをきっかけにGoogle内でも営業部隊は縮小傾向に進むと考えられますし、他のプラットフォームも同様に動きになっていくと思われます。

 

『広告プラットフォームの2024年業界予想』(全10)の他の記事へのリンク(タイトルをクリックしてください)
①ChromeのサードパーティCookieサポート廃止による混乱が発生する
②日本のリテールメディアにブランドによるPoCや実験的予算がつく。オフサイト配信が増える。標準化が課題に
③AIはプラットフォームの機能やサービスにさらに侵食する(本記事)
④TikTokが興味コマースを大きくリードし、展開を大幅に加速へ(公開予定)
⑤プラットフォーム間パートナーシップが増える(公開予定)
⑥MFA、詐欺広告、アドフラウド等と向き合う年に(公開予定)
⑦メディア・パブリッシャーのビジネス苦境。生き残りをかけた年に(公開予定)
⑧Netflixが独自広告プラットフォーム開発へ(公開予定)
⑨Appleが広告事業拡大(公開予定)
⑩レイオフは続く(公開予定)


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