DOOHのプログラマティック化、Google DV360連携で始まる新しい形

ジーニーに聞く:プログラマティック化、Google DV360連携で始まるDOOH(デジタル屋外広告)の新しい形

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ジーニーのDOOHの取り組み

町中の大きなビルボードをはじめ、屋外や電車、タクシー、店舗などに設置されたサイネージで動画広告が流れるという風景は、すっかりおなじみになっています。2022年9月、このDOOH(Digital Out of Home)と呼ばれるデジタル屋外広告のプラットフォーム「GENIEE DOOH」が、Googleが提供する「ディスプレイ&ビデオ 360(以下、DV360)」とプログラマティック広告取引の連携を開始したことが発表されました。DV360との連携は、国産の屋外広告プラットフォームとしては日本初となります。

 

今回の話し手:株式会社ジーニーの石﨑泰洸さんと磯部勇太さん

これまで純広告としての取引が多かったDOOHにプログラマティック広告取引を取り入れてきたのが、GENIEE DOOHを開発・運営する株式会社ジーニーです。今回は、Webの広告を扱ってきたジーニーならではのDOOHとの向き合い方、DV360との連携で可能になったこと、そしてこれからのDOOHについて、株式会社ジーニーの石﨑泰洸さんと磯部勇太さんにお話を伺いました。

話し手:
株式会社ジーニー
執行役員 石﨑泰洸さん
デマンドサイド事業本部 Digital Out of Home 事業部長 磯部勇太さん

聞き手:
アタラ合同会社
CEO 杉原剛

 

DOOHとは何か

杉原:それでは、お二人それぞれ自己紹介をお願いできますか。

石﨑:ジーニーには、デマンドサイド事業本部、サプライサイド事業本部という二つの事業本部があるのですが、私は、その二つを束ねたアド・プラットフォーム領域の営業の責任者です。2021年の7月に、ジーニーに入社したばかりです。

これまでは、広告代理店やベンチャーのスタートアップの営業組織の立ち上げを、直近は3年ほど自分で会社をやっていて、そこから今に至ります。

磯部:デマンドサイド事業本部に所属しております。DOOH事業の事業責任者と、自社開発プロダクトのPdMの担当をしています。

杉原:自社プロダクトというのは、どんなものですか。

磯部:GENIEE DOOHというプロダクトで、一から内製しています。

杉原:分かりました。ありがとうございます。では、ジーニーさんを初めて知る読者に向けて、会社の簡単な説明をお願いできますか。

磯部:はい。株式会社ジーニーはSSP(※Supply Side Platform=サプライサイドプラットフォームの略。媒体の広告枠販売や広告収益最大化を支援するツールのこと)の事業として創業し、現在はアド・プラットフォームの事業が主軸の会社です。ここ3~4年でマーケティングSaaS事業も拡大しており、マザーズに上場しています。社員は約300名で、売上規模は年間150億円程度です。

事業でいくと、SSPは国内ナンバーワン規模のシェアで、今回のDOOH事業もそこから派生して、事業拡大しました。

株式会社ジーニーの磯部さん

杉原:私たちもDOOHを取り上げるのが、実は今回ほぼ初めてなのですが、DOOHについて御社はどうお考えなのか、お聞かせいただけますか。あらためて、WebでDOOHを調べると、定義がいろいろあるんですね。

磯部:DOOHはDigital Out of Homeの略で、市場の定義としては、いわゆる弊社が今注力している屋外広告=ビルボードの領域と、交通広告の領域、インストア広告の領域、3領域の市場があるという認識です。それらの領域に対して、弊社が価値を提供することを事業にしています。

杉原:分かりやすいですね。店内ディスプレイ広告も含まれるのですね。

磯部:そうですね。弊社のプロダクトを活用して、美容室のサイネージなどを提供している事業者さんもあります。美容室サイネージとして広告商品を展開した実績もあります。

補足として、過去DeNAさんと協業し、タクシーの後部座席のタブレットに広告配信できるシステムを提供したことが、弊社のDOOH事業が始まったきっかけです。最初は、交通広告の領域から始まったのですが、そこからビルボードに特化していきました。

 

ターゲティングにキャリアデータを活用し、純広告からプログラマティック広告へ

杉原:では、GENIEE DOOHのサービス概要について教えてください。

石﨑:はい。今まで屋外広告の領域でいうと、DOOHは純広告の取引が中心だったと思うのですが、GENIEE DOOHはプログラマティックDOOHという新しい概念で運用しています。いわゆるインターネット広告のDSPのような形で、時間帯やエリアなどを、Web広告にかなり近い形で取引できるサービスです。

GENIEE DOOHの特徴は大きく三つあります。一つ目がインプレッション配信です。広告配信をしたときに、どういう属性の人たちが、どれくらい広告を見たかが分かります。二つ目は、ターゲティングで、今データパートナーさんなどと提携して、実際に広告に接触した人たちの年齢や性別など属性を取得しています。そういったデータを基に、特にリーチしたいターゲットの含有率が多い時間帯やエリアなどに広告配信を強化するという仕組みです。最後はレポーティングで、実際に配信した広告の結果が数字で分かるというものです。

ジーニー DOOH広告

今までの屋外広告は、出しっぱなしという状態でした。印象としてインパクト重視のような側面が強くて、クライアントさんとしても、広告を出稿することに意味がある広告媒体だったように思います。やはり屋外広告はブランド力を引き上げるのに、とても強い媒体だと思うので。例えば、渋谷のスクランブル交差点などに屋外広告が出ていると「有名な会社さんなんだな」という印象を持ちますし、場所が与える印象も非常に強いんですよね。ただ、その中でも特に効率を求める会社さん、ターゲットに対してより印象づけて、よりブランド訴求をしたいという会社さんにとって屋外広告は非常にいいプロダクトなのではないかと思っています。

杉原:そこは広告のターゲティングの領域にかかる話だと思うのですが、年齢や性別については、エリアに行き来する方々をカメラで撮って捕捉して解析して割り出している、ということですか。

石﨑:カメラではなく、いわゆる携帯電話のキャリアデータを使っています。弊社は大きく二つの会社さんとデータパートナーとしての契約をしているのですが、携帯キャリアの契約者情報から実際の年齢・性別のデータをもらって、それを基にターゲティングをしています。

現状では広告取引はリアルタイムのビッディングではなく、ある程度予測に基づいた、過去のデータからおよその比率を推定しています。その中でビッディングの取引を行うような形を取っています。

杉原:ディスプレイに付いているカメラで捕捉して、ある程度解析して「だいたい女性で何歳ぐらいだな」という感じでやっているのかと思ったのですが、携帯電話のキャリアデータを使っているのですね。

石﨑:弊社としても、いろいろなやり方があると思っています。例えば今は携帯電話のキャリアのデータを使っているのですが、デバイスIDなどいろいろなデータを提供していただける会社さんなどとも一部提携してデータを集めています。

あとは、実際カメラを使っているところもあるんですよ。やり方については、どこがいいのかを模索しながらやっている部分もあります。

杉原:業界として決まっているわけではなく、皆さん模索中なのですね。

石﨑:そうですね。

杉原:面白いですね。ありがとうございます。

 

多くの独占在庫がGoogle DV360連携の決め手に

杉原:GENIEE DOOHはサービスインしてから、どのくらいになるのですか。

磯部:2020年からなので、2年くらいになります。

杉原:それでGoogleさんとパートナーシップを結ばれたんですね。どちらから声掛けがあったのですか。

磯部:弊社からリクエストを最初に出して、Googleさんの合意がとれるまでに1~2年ぐらいかかりました。

石﨑:Googleさんとしても、DV360(ディスプレイ&ビデオ 360)というサービスを、どこまで広げるかというタイミングでもあったかと思います。

杉原:確かに、ここ数年のDV360(ディスプレイ&ビデオ 360)の広がりは大きいですよね。

石﨑:交渉をはじめた当初は、弊社がGoogleさんに提供できるバリューがなかなかなかったのかもしれませんが、Googleさんの方針転換で、日本市場においてはパートナーと組むという話があり、弊社が手を挙げさせていただきました。最初は、交渉もすんなりとはいかなかったのですが、弊社の連携している広告配信先で、プログラマティックの独占在庫を持っているところをかなり評価していただいて、結果、パートナーシップ締結に至ったという経緯です。

杉原:面白いですね。タイミング的にはよかったのでしょうね。あとは、サービスインされて、反響はいかがですか。

石﨑:サービスインは本当に最近で、プレスリリースを出させていただいたタイミングからです。

杉原:もうユーザーさんはいらっしゃるのですか。

石﨑:そうですね、広告配信は始まっています。まだまだGENIEE DOOH経由で常時広告を流している状態ではなく、今までのブランディングの活用の仕方とやはり似ている点があるので、キャンペーンのタイミングで広告配信を実施していただくような形です。広告代理店さんからはプレスリリースの反響を含めてお声掛けいただいていて、与件自体はかなり集まってきております。

株式会社ジーニーの石﨑さん

杉原:これまでは屋外広告は純広告での発注として扱われていましたが、プログラマティック広告配信形式になって、他の運用型広告媒体のメディアプランの中に組み込まれるようになってきたというイメージなのですか。

石﨑:これから先はそうですね。ただ、使われ方としてはまだまだです。定期的に広告を流して、少しずつPDCAを回しながら改善していくというところを、弊社としては目指していくのですが、現状はまだキャンペーンのワンショットで、大型のプロモーションに使われることが多いですね。

杉原:御社のDSPもそうですし、今までも他のDSPとも連携してやってこられたと思うのですが、Googleさんは広告主ベースが大きいというのはもちろんありますし、Googleの自社プロパティ、Googleディスプレイネットワーク、あとは最近コネクテッド テレビの配信などにも、すごく力を入れていますよね。さらにDOOHも入ってきて、もう本当に手元であらゆるところに配信できるという、魅力的な感じになってきました。そこは、もちろんみんな気にされていると思うのですが、統合的なキャンペーンのようなものを日本でも見れるといいなと思っています。これは質問ではなく感想として、そういう期待があるのですが、その統合的なキャンペーンの実施というのはまだこれからという感じなのでしょうか。

磯部:そうですね。YouTubeに広告を出されているケースも結構多いので、同様にDOOHを流して「効果の比較をジーニーさんできませんか」というお問い合わせもあり、そのニーズにお応えするソリューションを弊社は用意しています。YouTubeに広告を出して、DOOHに広告を出して、リーチがどのくらい広がったか、そういった計測なども弊社側で提供していきます。

 

屋外広告のインプレッション測定をWeb広告の方式で

石崎:効果測定は本当に課題です。インプレッションの定義というのが会社によって違いますし、どうやって効果を測るのが正解かというのは、業界としてはやはり模索中なのだと思います。

杉原:業界としての課題なのですね。

石﨑:ただ、今のところ弊社で測るインプレッションは、屋外広告を表示しているタイミングに見られるエリアにいる人の数、とさせてもらっています。これが他社との違いです。他社の場合、視認率というのを含めて、エリアにいる人の中で見られているであろう人たちのインプレッションを対象としているのです。そこに弊社と他社の大きな違いがあります。広告主さんからすると「視認率を含めたインプレッションでレポートが見たい」というのもあるし、媒体社さんからすると「見える位置にいる人たちをインプレッションとしたい」という価値観の違いもあるので。

弊社では視聴率を含めない方式を取らせてもらっているのですが、それも理由があります。やはり、もともとWebの会社なので、Webのインプレッションという指標に慣れているのもあります。Webのインプレッションは、別に視認率ってかかっていないじゃないですか。

杉原:視聴率はかかっていませんね。

石﨑:言ってしまえば、視聴率はタグの発火数なので、ビューアブルインプレッションもあれば、そうでないインプレッションもあります。インプレッションは表示回数なので、見られているか見られていないかは確認できません。あとは、屋外広告において厳密に測ろうと思ったらカメラを付けるしかありません。カメラソリューションは弊社も一部の媒体でテストを行っているのですが、全媒体に広げようと思ったら広告放映単価を3倍ぐらいにしないと割に合わないんですよ。しかし広告放映単価を3倍にすると広告代理店さん、クライアントさんにとってメリットにならないなと思います。

結局、クリエイティブによっても視認率が変わります。屋外広告では音声の有無による影響も無視できないので、そこを一律の係数でやってしまうのも、いかがなものかと。やはり、広告が見られる位置にどれぐらい人がいるかだなというので、今はそちらのインプレッションを取らせていただいています。

杉原:Webの指標に合わせるという意味ですね。

磯部:DSCの業界団体でインプレッションの計測の定義がいくつか決められているのですが、一応弊社もそれに則った形で、どちらを取っているかは各社で異なるということです。(*)

*一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムは「スクリーントラフィック=視認条件の下、”スクリーン視認エリア”に”滞在”する一定期間での個人の人数カウントの合計」と定めている。
出典:一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアム「オーディエンスメジャメントガイドライン第1版」2021年3月1日
https://digital-signage.jp/wp-content/uploads/AudienceMeasurementGuideline1.0.pdf

GENIEE DOOH Impression Rule

杉原:面白い。勉強になります。ありがとうございます。営業面の話になりますが、御社としては特に、このDOOHはどういう業種のクライアントさんに使っていただきたいと思っているのですか。

石﨑:やはり今、一番売れている業種でいうと、エンタメですね。それこそゲームやVODなど、そういった会社さんが今の屋外広告のマーケットの中でも、かなりボリュームがあります。その次に来ているのが金融など、店舗があって予算が大きい会社さんです。あとは化粧品やEC関連、日用品、メーカーさんなどですね。メーカーさんはコロナがあって少し広告出稿量が減ったのですが、最近戻りつつあります。

我々としては今まで屋外広告をやっていたにもかかわらず、ちゃんと効果計測ができていないからこそ、出しっ放しになってしまった会社さんに対して、パフォーマンスがどうだったかを、しっかり評価した上で使ってもらいたいと思っています。

あとは、屋外広告はやはり面白いというか、しっかり人の目にも映ってリアルな環境で、バズったり反響もいろいろあります。使ってみたいけれども成果が分からないからなかなか使えなかった、という広告主さんも、いっぱいいらっしゃると思います。そういった会社さんにも、ぜひトライしていただいて、実際どれぐらいの効果があったのかを見ていただきたいと思っています。

 

DOOHのプログラマティック化で工数削減と市場規模拡大を狙う

杉原:御社としてDOOH市場の展望については、どうお考えですか。

磯部:CARTA HOLDINGSさんが出しているDOOH市場規模の年間成長率は16%ぐらいのところで右肩上がりで、弊社も市場の拡大に伴って事業拡大は進めていくつもりです。先ほど屋外広告=ビルボード中心という話をしましたが、今後インストア広告もどんどん急成長していく市場なので、その分野にも広げていきます。あとは日本国内にかかわらず海外、アジアを中心にそういったニーズもあり、海外展開も含めて考えています。

石﨑:今、屋外広告の媒体はWeb広告でいうフィルレート(広告枠の在庫に対する各種広告ソースからの広告の満稿の割合)が高くて、だいたい4~5割です。人気のところでも6割ぐらいで、低いともう3~4割ぐらいです。空き枠になっている在庫がものすごくあるんですよね。

杉原:もったいないですね。

石﨑:そうなんですよ、非常にもったいないです。工数の問題もあって。屋外広告のメニューでは、一番売れ筋の放映期間が「1年間」です。基本的には広告代理店さんの手離れがいいからです。一度売ってしまうと1年間ずっとと広告が出稿されている状態が続くので、それがよくて。そして、次に売れているのは1カ月です。2~3カ月間だったら、もう「1年間」を買ってしまったほうが安いぐらいの価格帯になります。

それと、やはり媒体社さん側も工数が限られているので、商品を限定するしかありません。編成するのも手間で組むのが大変なので。そういった事情があって商品数も少ないし、空き枠が結果的に多くなってしまっているという現状があります。

それを今回、弊社がプログラマティック広告配信の仕組みを持って取り組むことで、媒体社さんにも広告代理店さんにも、そこまで工数の負荷がない状態で広告取引をすることができるので、フィルレートをもっと埋めていけると思っています。

杉原:すると、DOOH事業はプログラマティック広告配信の仕組みでやっていなかったときには、工数がかかっていたというお話ですか。

石﨑:工数はかかっていました。編成しないといけないですし、案内するのも1媒体ごとに単価が違うので、広告代理店さんもいろいろまとめてやらないといけません。屋外媒体はビジョンサイズも全て16:9とは限らず、全然違うんですよ。だから、媒体単位でクリエイティブを用意する必要があります。

杉原:面倒くさいですね。

石﨑:そうなんです。弊社でやれば自動変換できるようになっているので、16:9のYouTubeのフォーマットをいただければ全てのDOOH広告枠に対して広告を配信できます。

杉原:それは御社の中のシステム的なもので、もう広告サイズの自動変換までできるわけですね。

磯部:そうです。

杉原:御社は、ちなみにマネージドサービスのような、直接広告運用される部隊はあるのですか。

石﨑:あります。

杉原:面白いな。ありがとうございます。

アタラ合同会社 杉原剛

 

クリエイティブ検証を屋外広告でも

杉原:広告、マーケター、広告運用者のうち、特にUnyoo.jpは広告運用者向けなので、広告運用者向けにメッセージをお願いします。

石﨑:屋外広告でクリエイティブの検証をもっとやっていきたいです。その辺りについて、協力していただけるというか、可能性を感じていただけるクライアントさん、広告代理店さんがいたら、どんどん一緒になにかやりたいなと思っています。

杉原:確かに面白いですね。

石﨑:タクシー広告もそうですが、Web広告でも勝ちクリエイティブのパターンってあるじゃないですか。それは、やはり広告配信時にABテストをものすごくやってこられて、その結果こういうパターンだったら勝てるよね、というクリエイティブを見つけてこれた結果論だと思うのですが、屋外広告はクリエイティブの世界がないのですよ。

杉原:ないんですか!?

石﨑:勝ちパターンみたいなものはなくて、今まででいうと検証ができていないのです。

杉原:そういうことなんですね。

石﨑:どれぐらい屋外広告が見られたら、どれぐらいの効果があったのかという反応が分からないし、そもそも屋外広告自体キャンペーンでしか使われないし、広告配信エリアも違うから誰に見られたか分からない。その広告配信エリアがよかったのか、クリエイティブがよかったのか、広告出稿時期がよかったのか、何がよかったのか分からないんです。計測ができなかったので、今までの屋外広告出稿においては何も正解がありません。もちろんバズったらいいよねという評価はできるのですが、それ以外での評価方法がありませんでした。

弊社でいうと、広告を出稿したときにWebへのCTRなどが分かります。それはインプレッションの計測だけではなく、コンバージョンの計測に近いところでもあります。

杉原:いいですね。

石﨑:実際に広告を出稿していただくと3,000円、5,000円など、やはりWebに比べるとだいぶCPCは高いのですが、認知拡大をKPIとするには全然ありかなという感覚だとは思います。そういうことが測れたりします。

ブランディングにおいて、どういうクリエイティブを屋外広告で出せば正解なのかを考える時代は、これから始まると思っています。ぜひ広告運用者さんと一緒に正解をつくっていきたいと思っています。

杉原:そういうことですね。さっき3Dという話が出ましたが、3Dも配信はできるのですか。

磯部:できます。

杉原:NIKEさんの広告がすごくバズったイメージがあるのですが、ああいった取り組みがもうできるということですね。

石﨑:それもできます。

磯部:とりわけ3Dだからといって特殊なことをする必要はありません。3D用の動画の制作自体は別途費用がかかり少し高くなってしまうのですが、通常の広告入稿規定のとおりに入稿していただければ配信はできます。

杉原:NIKEさんのものを見て特別な作りが必要なのかと思っていたのですが、別にそういうわけではないんですね。

石﨑:素材自体は特殊なものではなくて普通のMP4の素材です。ただ、撮影の仕方が少し特殊で、どこから3Dに見えやすいかというのを想定して作っています。なので角度など立体感が出るように少し前後に間を入れたりなど、そういう撮影のし方をしているのですが、素材自体はよく用いられているものなので、それをプログラマティックDOOHで流すということは可能です。

 

屋外でのライブ配信、インストアとしてのリテールメディア。より自由なDOOHへ

杉原:分かりました。では最後に御社の今後のお取り組みや展望など、お話しできる範囲で教えてください。

石﨑:屋外広告、プログラマティックDOOHというものは、まだ本当に始まったばかりです。インプレッションの部分など、少し粗削りな部分はあるのですが、屋外広告の領域というか、Webとリアルの中間ぐらいのことがあって、この領域にとってはまだまだ可能性があるところなので、そこはしっかりマーケットをつくっていきたいです。

また、交通広告だったりインストア広告だったり、プラットフォームの幅をどんどん広げていって、まずは国内で一番自由度の高いDOOHプラットフォームをつくっていきたいです。

個人的にはライブ配信をものすごくやりたいですね。

杉原:おお、ライブ配信もできるんですね。

石﨑:そうなんですよ。これは、もう会社というより僕個人の嗜好なのですが、例えばサッカーのワールドカップなど、そういうタイミングで屋外広告のビジョンを全部中継して流すと、インターバルの広告はものすごい価値になると思うので、そういうのを打ちたいです。

杉原:それはわくわくしますね。ぜひ打ってください。

石﨑:はい。少しコロナが落ち着いてきたタイミングでもあるので、わーって外でみんなで盛り上がってやりたいです。そういうことができる、すごく面白い媒体、領域だと思っているので。

杉原:新宿、渋谷含め、山手線の主要なターミナル全部でそれができると面白いですね。

石﨑:そうですね。今まで秋葉原ジャックや渋谷ジャックという単一駅でのジャックに近いものはあったのですが、駅など距離を越えて都市でジャックすることはありませんでした。おそらくそれを初めてやったら、そのプロモーションは、ものすごく新しい取り組みになると思います。それが実現可能なところまできているのです。

杉原:ぜひやってください。

石﨑:はい。ありがとうございます。

磯部:自分も短期的なところでいうと、ビルボードの領域は主要メディアを開拓し広げていきつつ、今回のGoogleさんとの連携を機にDV360経由での案件を拡大したいと思っています。

先ほどもお話にあったと思いますが、交通広告とインストア広告で領域を拡大していきたいです。インストア広告のほうはECのリテールメディアになってくるので、それはそれで違った計測が必要になってはきますが、そういったところも広げていきたいです。

杉原:分かりました。そういう意味では若干リテールメディアとかぶる感じでしょうか。

石﨑:そうですね。リテールメディアも弊社としてやっていこうとしています。

杉原:リテールメディアはUnyoo.jpでも追っていまして、Criteoさん、Microsoftさんなど結構プレーヤーがいらっしゃるんだなというのが分かってきていて、非常に面白いです。

石﨑:実は弊社でもすでに始まっていて、今まさにつくっている最中です。

杉原:またそれについても聞かせてください。本日はありがとうございました。

石﨑:ありがとうございました。

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