Adobe Summit 2020イベントレポート:今年のテーマと目玉アップデートの概要Part.3

Adobe Summit 2020イベントレポート:今年のテーマと目玉アップデートの概要Part.3

運用型広告レポート作成支援システム glu グルー前回(Part.2)に続き、最終回である今回は、Adobe Summit 2020で紹介された今年のテーマと目玉アップデートのうち「Adobe Summitの的確な顧客理解とジャーニーマネジメント」について紹介します。

Adobe Summit 2020のテーマである「Make Experience Your Business-Design Your CXM(顧客体験管理) Playbook」にあるように、昨今、顧客体験管理が重要視されています。Adobeの各ツールに蓄積されたデータを基にユーザーを理解し、パーソナライズされたカスタマージャーニーを通じて各ユーザーの顧客体験を管理することで、ユーザーは最適な経験をすることができます。

 

Adobeの理想の顧客体験とは

ユーザーに最適な顧客体験を提供するためには、まずAdobeのさまざまなツールから得られる膨大なデータを基に、ユーザーへどのタイミングで何を提供すべきなのかを分析する必要があります。皆さんのモバイルには数多くのアプリがインストールされていて、日々、各アプリからメッセージやキャンペーンの通知が来ていると思います。

情報社会の現代において、アプリを一つ一つ確認して自分に適切な情報を探すことは困難です。実際には、メッセージや通知の多くはパーソナライズされたものではありません。ユーザーにとって、そのとき必要だと想定されるものはパーソナライズされた情報です。このような状況では、企業側も伝えたい情報をユーザーに届け、注目してもらうことが困難です。まさに情報の整理が必要ですが、ほとんどのユーザー情報は整理できておらず、放置されているのが現状です。

ユーザーは、顧客になった瞬間から企業側が自分を理解してくれることを期待しています。

最近では「いつ、どこで、どのように」企業と関わるのか、サービスを提供してもらうのかを、顧客側が決める時代になっています。企業はデータから瞬時に顧客の求めているものを判断し、適切な方法でパーソナライズされた体験を提供する必要があります。顧客のロイヤリティーを上げ続けるのは難しいことですが、Adobeではこの課題に取り組むべく、以下の項目を重要視しているそうです。

まず「Real-time Unified Profile(リアルタイムな統一されたプロファイル)」と「Scale & Speed(規模と速さ)」についてです。断片的なデータだけでは顧客の理解はできません。ここではリアルタイムにさまざまなツールのデータを統一し、どのようなユーザーなのか判断します。また、大規模の会社の膨大なデータが絶え間なくAdobeに送られてきてもスピーディーに処理し分析することができます。

例えば、Adobe Analyticsを使ったサイト解析データは持っていても、その他セグメントの詳細な情報がなければ、どんな人がコンバージョンしたのか、もしくは離脱したのかまではうまく分析できません。そこで、今回のAdobe Summitで発表されたAdobe Experience Platformを使えば、顧客データの収集、整理、関連付けを一元で管理、分析できるようになります。

三つ目は「Batch & Real-time Journeys(バッチ付けとリアルタイムジャーニー)」についてです。Adobeに送られてくるデータがどのようなデータなのか、ユーザーがどのような属性なのか瞬時に判断し、バッチ付けします。

先程、「現代はサービス提供のタイミングを顧客が決める時代」と書きましたが、Adobe Experience Platformを使えば、そのバッチ付けされたデータを基にカスタマージャーニーを設定することで、どのタイミングで何を提供するのかが決められます。すると、リアルタイムにシグナルを見分けて、どの顧客にどのような情報を提供するのかを見分けることも可能になります。Adobeいわく、従来のスケジュール配信されるキャンペーンと同時に利用することで、最大限の体験を提供できる環境になるとのことです。

次に「Connect Art & Science(芸術と科学の接続)」です。これは従来のCreative関連のツールとその知見をマーケティングデータと融合させることです。Adobeの過去のデータから得た行動インサイトとコンテンツを繋ぎ合わせることで、どのようにコンテンツを提供すれば顧客体験を上げられるのかが分かります。

この結果、データを科学的に分析し、マーケターが必要とするコンテンツや情報の提供が可能になります。その際にもアルゴリズムを利用して最適な意思決定をサポートとします。(「AI/ML Intelligent Services(人工知能と機械学習の知的サービス)」)

どの顧客にも適切な体験を提供するためには、全てのデータをつなげ、一元管理し、多くのデータから分析しなければなりません。特に膨大なデータを抱えている大企業は非常に大変です。適切にツールを導入し、利用することで、人の手をできるだけ介さずに最適なサービスを提供できる環境が整います。

今回はAdobeが考えるカスタマージャーニーの理想図と今後の戦略を紹介しました。筆者はAdobeツール導入・分析のサポートを通して、よりよい最適なAdobeツールの使い方に若干の時差があるように感じています。企業はツールのアップデートや最新情報をキャッチアップし、それを基に再度取得データや分析の方法を検討する時間を持ち、常にツールをアップデートしていくことが重要ではないでしょうか。

「リアルタイム」でデータの分析と情報提供が行われる中で、どのように顧客体験を作り上げ、適切に管理していくのか。それが、顧客に寄り添い目標を達成するための成功の鍵になるのだと思います。AdobeではJourney Orchestrationを新機能として発表しており、同機能によりセグメント単位よりも細かい単位でのパーソナライズが可能になります。

※参考リンク

Adobeの技術の進化により今後どのように解消されていくのか、引き続き注目していきたいと思います。

【イベントレポート】Adobe Summit 2020で紹介された今年のテーマと目玉アップデートの概要Part.1 はこちら

【イベントレポート】Adobe Summit 2020で紹介された今年のテーマと目玉アップデートの概要Part.2はこちら


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