イオンネクスト、Epsilon Retail Mediaに聞く:イオンの新ネットスーパーGreen Beansが挑むリテールメディアとは

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日本でも盛り上がりを見せるリテールメディア。その導入は小売業でもさまざまな分野に広がっていますが、その一つがスーパーマーケットによるネットスーパーです。今回は、2023年7月にローンチしたイオンの新ネットスーパー「Green Beans」を運営するイオンネクスト株式会社の藤田泰寛さんと、Green Beansのリテールメディアのシステムを提供するEpsilon Retail Mediaの青木健司さんに、ネットスーパーのリテールメディアについて、日本で見られるこの2年ほどの大きな変化、今後の展望などについて話を伺いました。

話し手
イオンネクスト株式会社
メディアビジネス推進 担当部長
藤田泰寛さん

Epsilon Retail Media
Director, Retail Partnerships
青木健司さん

聞き手
アタラ株式会社
代表取締役CEO
杉原剛

販売から商品の発送までワンストップで担うイオンの新ネットスーパー「Green Beans」

杉原:まず、藤田さんの自己紹介と簡単な会社紹介をお願いします。

藤田:大学卒業後、インターネット広告会社に14年ほど勤務しました。SEOや新規の事業開発およびインターネット広告の効果測定ツールの開発のプロデューサーなどを務めた経験を踏まえ、ソーシャルグルメのサービス会社に転職し、広告事業に携わった後は事業開発室長を務めました。2022年12月にイオンネクスト株式会社に入社し、現在に至ります。今はメディアビジネス推進の担当部長として、Green Beansをベースとした広告やオウンドメディアなどのメディアビジネス全てを管轄しています。

イオンネクスト株式会社 藤田さん

イオンネクスト株式会社 藤田さん

イオンネクストは、イオンのデジタル戦略の一環として2019年に設立されました。そして、2023年の7月にオンラインマーケットサービス、いわゆるネットスーパーの「Green Beans」を開業しました。開業に関しては、Ocado社の技術提供を受け、日本で唯一、Ocadoのシステムソリューションを使用したサービスを展開しています。「CFC(顧客フルフィルメントセンター)」と呼んでいる物流の拠点が千葉県にあり、食料品から非食料品まで最大5万点という非常に多くの品目を取り扱うことが可能です。

主力の生鮮品では、温度管理を徹底したコールドチェーンにより「1週間鮮度保証」という野菜を販売していて、非常に評判がよいです。お客さまの購買のバスケット構成では、主力の生鮮品をはじめ大容量商品や冷凍食品など、幅広いカテゴリーからまとめ買いされています。

もう一つの大きな特徴としては「ラストワンマイル」といわれている配送の領域も全て自社で行っていることです。イオンネクストの子会社であるイオンネクストデリバリー株式会社が、Green Beansで注文していただいたお客さまに、商品をトラックで配送しています。配送時間も7時から23時まで1時間単位で配送しています。大手の運送会社に委託するのではなく商品をお届けするところまで提供している点は、他のネットスーパーにはない特徴だといえるでしょう。

現在の展開エリアは千葉県、東京都、神奈川県の一部ですが、順次エリアを拡大予定です。配送効率を高めるために、「スポーク」という中継地点を設けています。CFCから大型トラックで一度スポークまで配送し、そこから小分けして配送します。このスポークを拡大することで、都内の展開エリアを広げる戦略です。

Green Beans

画像出典:https://aeonnext.co.jp/pages/business

杉原:会員には、どのような特徴がありますか。

藤田:顧客の3割以上が20代から30代で、最も大きな顧客層です。60代や一部の70代も含まれていますが、全般的にはこの範囲が主要な購買層となっています。会員は、東京都心部を含む地域に広がっています。開業当初はCFCのある千葉県中心でしたが、現在は都内の会員が半数を占めています。

デジタル上での会員獲得以外に、地域コミュニティに入っていくことも非常に重要だと思っています。エリアの中でどれだけシェアを伸ばせるかが重要だと思っており、配送エリアが限定的であるという点から、縦に掘っていく戦略も同時に行っています。

青木:配達員の方の対応が、とてもよいですよね。

藤田:非接触のオンライン取引において配送は唯一の直接的な顧客接点であるため、接客スキルを重視し、従業員の教育に注力しています。お客さまから非常に好評をいただいており、そのような体験をワンストップで最初から練り上げてできていることは、われわれの強みになっています。

オンサイト・オフサイト連携可能な広告配信プラットフォーム「Epsilon Retail Media」

杉原:では、青木さんの自己紹介と会社のご紹介をお願いします。

青木:私は、2023年の5月にEpsilon Retail Mediaの前身であるCitrusAdに入社しました。ディレクター・オブ・パートナーシップとして、イオンネクスト様をメインに広告代理店、他社のリテーラー様、プラットフォーマー様などを含めた、パートナーシップを広げる役割を担っています。

CitrusAdは、2017年にオーストラリアで設立された会社で、創業の翌年に英国のOcado社とパートナーシップを組み、Epsilonに買収されました。海外では、グループの中に広告代理店の機能はありつつも、われわれのようなプラットフォーマーやEpsilonのようなCDPを持っているデータプラットフォームの会社を買収して、グループでマーケティング全体を包括する動きはよく見られます。一方で、Epsilonは、広告代理店のPublicisグループに買収されました。その流れをくみCitrusAdは、2024年3月19日にグローバルでEpsilon Retail Mediaという名前に変わりました。

弊社のシステムは世界34カ国、143以上のリテーラー様に導入していただいています。アメリカとカナダが中心ですが、APECとしてオーストラリア、香港、韓国、タイ、ベトナムなどにも拠点があり、日本ではイオンネクスト様とのお取り組みが中心です。

杉原:Epsilon Retail Mediaのサービスについて教えてください。

青木:もともとCitrusAdは、基本的にはオンサイトの広告配信プラットフォームです。なので、基本的にはオンサイトのデータを基に、広告の配信をしています。役割としてはDSPになるのですが、CDPを持つEpsilonとパートナーを組むことによって、オフサイトのデータと統合してCDPにため込み、Citrus Adが保有するオンサイトのデータと一緒により高度なターゲティング広告ができる、現在のEpsilon Retail Mediaになりました。

また、Amazonのようにスポンサープロダクトやバナー広告といった通常の機能は備えていますが、Criteoとの大きな違いは、Epsilonのグループによるオンサイトの広告、オンサイトの連携です。

Epsilon Retail Media 青木さん

Epsilon Retail Media 青木さん

杉原:マネージドサービスはあるのでしょうか。

青木:基本的にセルフでやっていただいています。

杉原:その他に、どのような特徴がありますか。

青木:他社とのアルゴリズムの違いによる高い精度が特徴的です。特に言語対応については、他社に負けないのではないのでしょうか。Epsilonとの統合、リネーム、リブランディングによるものが大きいと思っています。

なお、日本に進出したのは2023年7月で、イオンネクスト様の「Green Beans」ローンチの時期にリリースを出しました。

Epsilonとの統合

画像出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000121374.html

サプライヤーとともに取り組む、イオンネクストのリテールメディア

杉原:次に、リテールメディアについて伺います。2023年7月のローンチの際、イオンの新ネットスーパーに加えてリテールメディアの発表が同時にあったと思うのですが、リテールメディアは最初から計画されていたのでしょうか。

藤田:そうですね。開業以前から水面下で、商品を取り扱っている各種メーカー様には事前にアナウンスさせていただいていました。

やはり最初はインベントリー(在庫)もない中で、リテールメディアというマーケット環境を事前にご理解いただいた上で一緒に取り組んでいきましょう、という形の戦略で、2023年に何社か参画していただきました。なので、1年目は収益というよりも、メーカー様とわれわれがリテールメディアの本当の価値をお互いに勉強する期間と位置付けをしていました。

やはり、費用対効果を重要視されるメーカー様もいらっしゃいますが、リテールメディアに対する注目度は非常に高かったので「まずイオンネクストさんと一緒にやってみよう」とご賛同いただきました。そのため昨年は、お互いに各種レポートを共有しながらリテールメディアを使用し、どのように商品をお客さまにお届けできるか、体験を増やしていけるか、などを一緒に研究していました。

杉原:米国では、特にリテールメディアの取り組みが早かった会社は、ブランドメーカーとともにリテールメディアに最初からしっかりと取り組み、一緒に商品開発をしていましたね。

藤田:Walmartなどは、メーカー様と一緒にJBP(Joint Business Planの略。顧客・売場起点で、ブランドと小売業が直面している課題をお互いに理解した上で、継続的かつ、体系的に解決していく協働プロセス)を組み、どう活用していくのかをしっかりと対策しており、よいお手本だと思いました。日本の広告業界は、広告主がいて、広告代理店がいて、メディアがあってと縦につながっていますが、リテールメディアは、取引上の関係というよりもパートナーとしてつながっていけるかが大きいと考えます。日本では、まだその文化が根付いていないと思いますが、われわれもメーカー様と一緒にパートナーとしてやっていく、というスタンスです。

杉原:もともと小売りの文化だったJBPを、Googleなどの大手のプラットフォーマーでは一部の大手広告主とやられていますね。デジタル広告の領域でも、そのようなカルチャーが出てくるといいですね。

藤田:そうですね。昨年はそれをラーニングとしてやりましたが、今年はイントロダクションになり、どのように拡大していけるか。そしてグロースは2025年と、3年をかけたGTM(Go To Marketの略。市場進出戦略)を考えています。

日本でもリテールメディアへの予算が増加傾向

杉原:日本の業界では、今年2024年は予算を増やしてリテールメディアをしっかりと研究していこう、ということがトップダウンで下りてきていますね。

藤田:おっしゃるとおりですね。昨年は広域営業が窓口となっていたのですが、今年に入ってからはマーケティング担当の方が出てきてくださって、広域の営業と一緒に商品をどう売っていくのかという点でのリテールメディアの活用方法の模索に向け、動き出しました。これは、ラーニングという位置付けで作ったさまざまなデータを、広域営業の方がマーケティング部門に共有してくださった結果です。最初にラーニング期間を設けたのは、非常によかったです。

アタラ代表 杉原

杉原:販促予算と宣伝予算という縦割りで分断しているものにリテールメディアがどう影響するか、というのは前から言われていましたが「どちらの予算とも言わずにやっていこう」という機運が高まっていますね。

イオンネクストはなぜEpsilon Retail Mediaと組んだのか。サードパーティCookie問題とリテールメディア

杉原:イオンネクストがEpsilon Retail Mediaと組むことに決まったのは、なぜでしょうか。

藤田:われわれはグローバルで成功しているOcadoのソリューションを使用したサービスを提供している、と先ほども申し上げましたが、Ocadoが唯一パートナーとして統合しているのがEpsilon Retail Mediaです。海外の成功事例を踏まえた上で、われわれもシステムのデューデリジェンスをさせていただいたのですが、Ocadoからの推薦もあり、日本でEpsilon Retail Mediaを使ってみよう、というところがきっかけです。

杉原:Ocadoのシステムは、日本ではイオンネクストのみに導入されているのですか。

藤田:Ocadoの基本展開戦略としては、ワン・リージョン・ワン・パートナーです。カナダはSobeys、USはKroger、オーストラリアはColesが使っていますが、日本ではわれわれしか使えません。北欧でも展開されているので、ユーロは結構あります。海外はリテールメディアもそうですがEC回りも進んでいるので、われわれのようなリテーラーと海外のリテーラーが情報共有することができる点が、Ocadoと連携した強みの一つです。

ECはインターネットの1ジャンルであり、3年後どうなるかが分からないので、進んでいる海外の情報を早めにキャッチアップすることはビジネス上でも非常に重要だと思います。

杉原:リテールメディアに限定した話で言うと、今はどのような体制なのでしょうか。

藤田:体制としては10人前後ですが、MDが完全にバックアップに就いて、商品部が各メーカーの商品仕入れを全面支援しています。また、IT部門からの各種支援もあります。

杉原:今は全部内製なのでしょうか。

藤田:はい。社内の役割としては商品部が、まず各メーカー様にリテールメディアの渉外などをします。その後のプランニングや目標設計、レポーティング、効果測定などは全て、われわれの方で行う体制になっています。営業レバレッジは非常に大きいのですが、対応しなければいけない数が増えたため現在、絶賛人材募集中です。

杉原:ニーズがそれだけある、ということですよね。予算がしっかり付いてきたこと、機運が高まっていることだけでなく、サードパーティCookieの問題もあるのでしょうか。

藤田:あると思います。ただ、ファーストパーティにも課題はあります。投資する側の目線で見ると、ウォレットシェアに対してどのようにアロケーションしていくのか、という考え方と、そこに対する運用工数をどうするのか。それを考えると、恐らくメーカー様が一番重いのではないでしょうか。

なぜかというと、例えばECサイトが五つあった場合に、5社対応しなければいけないですよね。それぞれがファーストパーティだといっているものに対して5社対応するのと、1個の統合されたIDによって5社をワンストップで全部管理できるようなものがあるのとでは、やはり、そこにクライアントはいくのではないかと。要するに、DSPのようなものです。ECサイトとクライアントをつなぐ仕組みが、今後登場するのではないかと思います。やはり対応するのは大変という声をメーカー様から聞きます。

杉原:断片化されたものに全部対応するには、標準化がまだ進んでいないからですか。レポーティングでも列あわせをしなければいけないといったような。

藤田:おっしゃるとおりです。なので先ほどのお話にあったとおり、広域営業の方が販促という領域で扱うには限界が出てきます。そのため、マーケティング部門などが支援として入ってきているようですね。

やはり、われわれを含めて競合になるようなECサイトもどんどん会員を伸ばしていると思うのですが、最終的には、どれだけアクティブユーザーを押さえられるかによって、小さいところは広告配信系のところに統合されていきつつ、そこから抜け出した会社が残っていくのではないでしょうか。

非常に高いCVR。キーワード発掘で「棚」が増える

杉原:効果で特筆すべき点はありますか。

藤田:われわれがメインでお客さまに提供している「商品検索」が、非常に効果が高いです。平均CTRは各社あまり変わらないのですが、CVRがすこぶる高いところはあります。CTRは、一般的なプログラマティック広告であるGDN(Google ディスプレイネットワーク)やYDA(Yahoo!広告 ディスプレイ広告)の効果に比べると、見たことのない数字が出ていますね。

カウント方法が異なり、1クリックに対して2個買うこともあるので、CVRは100%を超えて非常に高くなります。デイリー品などのヨーグルトや牛乳、パンは、回転が早く数量が出るので、そうすると費用対効果が変わってくるのですよ。

杉原:商品検索や購買はSNSと連動していますか。

藤田:SNSとの連動は非常に大きく、SNS上でバズっている商品が、われわれの商品検索クエリとほぼイコールになります。例えば、あるメーカー様の特定のキャンディ商品の販売終了が発表されたときは、そちらの商品名の検索クエリが急増しました。世の中で話題となっている商品などと連動するのです。

もう一つの効果事例としては、リテールメディアを利用しているメーカー様と利用していないメーカー様とを比較すると、1カ月間の販売数量における構成比が変わります。リテールメディア経由の購入とリテールメディア経由ではない購入の構成比は、高いところで40%ほどがリテールメディア経由で買われています。

例えば、1カ月1000点売っている商品の400個程度が、リテールメディア経由で商品購入されているということです。オフラインのお店と同様に、商品検索でも上のほうの枠を取るデジタルシェルフとしての棚取りが、非常に効果的です。ただ一つ違うのが、店舗はルートが一つなのに対してわれわれのルートはキーワードなので、いかにキーワードを発掘できるかで取れる棚が無数にあるという意味でチャンスは多くあります。

そこに気付き始めたメーカー様は多いのですが、やはり広域営業の方ではキーワード設計や広告のキャンペーン、グループの配信設計やアーキテクチャーをつくれない、という問題があります。

杉原:セルフサービスなので基本はメーカーがやるけれどもオンボードサポートは行う、ということでしょうか。

藤田:昨年のラーニング期間は、ほとんどわれわれがオンボーディングさせていただいて運用代行をしました。今年もまだ残っているのですが、今年を移行期間と捉え、来年ぐらいからはセルフサーブに転換していきたいと考えています。いきなりの移行は不安が残るため、導入から3年かけて移行する計画です。

イオンネクスト株式会社 藤田さん 青木さん

成功の鍵は「オフライン=デリバリー」にあり

杉原:イオンネクストとしてのリテールメディアの展望や、お取り組みを教えてください。

藤田:ECサイトを運営する会社のうちリテールメディアに取り組む会社は、恐らく皆さん乗り越えなければいけない壁があります。その一つはインベントリーです。インベントリーは、あればあるだけよいと思います。やはりアクセス解析ツールなどで見ていても、Amazonのインベントリーは莫大なPVがあります。われわれの強みを生かしてインベントリー問題を解消するには、デリバリーなどをどのようにリテールメディア化し、価値提供するかが大事だと思っています。

店舗を持つスーパーや小売、リテール系の会社がECにも取り組むとなると、オンラインとオフラインを両方持っていることになります。われわれは最初からデジタルなので、持っているオフラインはデリバリーなのです。お客さまの満足度を高めるためにデリバリーはあるのですが、広告の在り方として収益化できないかと考えて、デリバリー経由でサンプリング商品をお客さまにお届けし始めました。ワンストップでデリバリーまで担っている、われわれだからこそできる他にはないサービスだと考えております。サンプリング商品は、お客さまの満足度が高まるだけでなく家の中に商品がお届けできることから、メーカー様にも非常にご好評いただいて、すでに数社からお申し込みいただいています。

将来的には、同封のチラシにQRコードを付けてアンケートをとれるような形で効果測定にも取り組み、さらには、所有している顧客データを用いてセグメンテーションしたいと考えています。その次には、商品を購入された方の購入履歴から、一人一人のお客さまに適した商品をサンプリングとしてお届けすることもできると期待しています。

青木:リテールメディアが伸びたら広告代理店がいらなくなってしまいますが、広告代理店出身の私がリテールメディアをやりながら思うのは、広告がなくなることはないとしても広告代理店側の業務は狭まってくるのではないか、ということです。今後、DOOHや独自開発のサイネージ系などの連携で、よりいっそうオフラインとの統合がグローバルで進んでいくと考えています。

杉原:私は以前からリテールメディア関連のカンファレンスなどによく行っているのですが、Mars Agencyさんがリテールメディアの取り組みで「リテールメディアやデジタルは、デジタルとはもう言わない。辛うじてコネクテッドと言うけれど、施策の違いの話をしなければいけないときは、そう言うけど、同じだから」といったことを、すごく言っていたのですよ。

藤田:海外も、今はもうデジタルというより、どちらかというとオフラインにまた戻り始めている傾向があるように思います。日本もやはりオフラインがまだサイネージなどになっているので、今後、別の進化をしていくのだろうなと考えています。

青木:だからこそ、パートナーシップが重要になってくるのではないでしょうか。ただ、もちろん広告代理店側も、イオンネクストさんのようなリテーラー側も、われわれのようなプラットフォーマーも、ばらばらにやりながらもリテールメディアを中心にパートナーシップを結ぶ。その上で、最終的に商品を届けるのは消費者ないし生活者です。そこを中心に考えた場合、われわれがどうパートナーシップをつくっていけるか、というのが、私自身のミッションでもあるし、日本のリテールメディアを成功させるためのミッションなのかな、というのは強く感じますね。どこかが抜けてしまうと、やはりバランスが悪くなってしまいます。

杉原:最後に、Epsilon Retail Mediaとしての国内での近未来の取り組みや展望を教えてください。

青木:国内では、やはりイオンネクスト様とのビジネスの普及を進めることは、より重要になってくると思います。また、冒頭にお話ししましたが、Citrus AdからEpsilon retail Mediaとなったことによってオンサイトとオフサイト、インストアをつないで、最終的に消費者の購買行動が円滑になることが僕らの重要なポジショニングだと思っています。

日本だと、なかなかまだECサイトが浸透していないので、私としてはチャレンジングな部分は正直あるのですが、そこはやはり、Epsilon Retail Medialになったことによって広がっていけるところはあるかなと思っています。

杉原:本日はありがとうございました。

※本記事の内容、所属、肩書きは取材当時(2024年4月)のものです。


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