運用型広告の新規施策の提案で大切にしている3つのこと

運用型広告の新規施策の提案で大切にしている3つのこと

アタラ 広告代理店運用強化トレーニング

新規施策の提案の難しさ

広告代理店勤務時代、今頃が最も忙しかったと思う。日々の運用に加えて、4月以降の提案が大小関わらず毎週のようにあった。今でもそうだが、新規施策の提案を通すことは難しい。いろいろと準備をしても、提案が通らないことも多い。

運用型広告の運用者になっての3年ほど経った頃、どんな業種や予算規模の大小に関わらず安定した結果を出せるようになっていた。定例会もスムーズに進められるようになり自分だけで定例会に参加する場面も増えていった。運用型広告に閉じない視点で担当者と会話が出来るようになり周囲から評価されている実感も少しづつ湧いていた。

 

「伝える」のではなく「伝わる」の大切さ

ある日の定例会で担当者に向けて、新規施策を提案した。しかし、提案した内容は通らなかった。提案した内容は、他の広告主でも実施している施策だったし、受け入れてもらえるものだと思っていた。

他の広告主では効果も出ており、イマイチ受け入れてもらえない理由が分からず、不思議な感覚だったことを覚えている。

その後、何度目かの定例会で「効果も安定していて助かっています。もっと良くするためにどうしたいいですか?」という質問を担当者からもらった。

正直、頭の中は「えっ…!?」となったが、同時に、はっと気づいた。

過去の定例会で提案していた新規施策は、自分自身の頭の中では現状と未来が繋がっていた。しかし、担当者の頭の中では繋がっていなかったのだ。

 

否定的な文脈で話さない

以前に提案した時のことを思い出すと、「私は、こう思うんですけど、どう思いますか?」という質問が何度かもらっていた。

この質問は運用型広告の定例会で、よく投げかけられる質問だと思う。それに対して丁寧に解答しているつもりだったが、否定的な文脈になってしまっていたことに気づいた。

運用に自信が出てきたので、任せて頂ければ結果を出す自信はあった。実際に結果も出ていたし。しかし、結果を出していたことにで、自分の考えを通すことが優先になり、担当者の疑問に正しく答えていなかった。独りよがりで、担当者に寄り添うことことが出来なくなっていたのだ。

誰でも、否定的なことを言われると辛い気持ちになる。しかし、新しい施策の提案を通すことが目的になり、意図せず否定的な文脈で話してしまっていた。この経験から、可能な限り定例会では、否定的な文脈を使わないように心掛けている。

このことに気づいた後、否定的な文脈にならないように慎重に言葉を選びながら、定例会を進めることにした。

 

思考の過程を共有する

また、新規施策の提案内容に辿り着くまでには、いくつかの分岐点がある。複数の選択肢から熟考した結果だということが伝わるようにした。その為に、選択しなかった選択肢について、丁寧に説明するように心掛けた。

選択しなかった選択肢の背景に重点を置いた理由は「私は、こう思うんですけど、どう思いますか?」という質問を言い換えると、「この選択肢は考えましたか?」という投げかけだと解釈したからだ。

20分ほど定例会を延長してもらい、くどくならないように説明しながら、現状から考えられる最小限のリスクで最大限の効果が出る提案であることを伝えた。

すると担当者から「この選択肢が理想なんですけど、リスクを考えるれば取らなかったんですね」「この選択肢を取ろうとするなら、弊社内の調整が必要ですよね…。この選択肢を取りたいので上司に相談します。と言っても時間が必要なので、提案してもらったことを進めて頂けますか?」という会話が出てきた。

結果として、過去に提案していた新規施策のほとんどを合意してもらうことが出来た。

この経験は、担当者に理解してもらえる言葉で話すことだけではなく、担当者も納得できるように思考過程を共有することが大切だと気づかせてくれた。

 

期待値をコントロールする

新規施策に合意してもらった後、担当者から「これで、大きく改善しますね!」という言葉をもらった。

もちろん、改善するために新規施策を提案した。結果を出すために一生懸命に運用をする。しかし、新規施策の全てが成功するとは限らない。担当者も理解はしているが、どうしても期待値が大きくなることがある。過去に別の広告主の担当者から、改善しているにも関わらず、施策が失敗したと思われるような経験をしていた。

この経験から、この時は期待値が大きくならないようにデメリットは適切に伝えるようにした。しかし、デメリットを強調し過ぎると提案が通らなくなる可能性もある。適切な説明が重要だと思う。

特に、新しい施策がどの指標に影響するのか?を明確にした方がいい。

担当者からすれば、獲得単価が改善、獲得数の増加が最も望ましい。もちろん、運用者も同じことを考えて提案している。しかし、運用型広告は魔法の杖ではない。一足飛びに改善することは難しい。

着実に改善を進めるために、必要な施策であることを理解してもらい、合意した上で見るべき指標を決めた方がよい。出来ないことを出来るように思わせることは避けるべきだ。

 

まとめ

これまでの経験から、運用型広告の新規施策の提案で大切にしていることをまとめると、以下の3つに集約される。

・否定的な文脈で話さない
・思考の過程を共有する
・期待値をコントロールする

この3つに共通するのは、相手に寄り添い、丁寧に自分の考えを理解してもらうことだと思う。定例会では和やかな雰囲気であるにも関わらず、新しい施策の提案になると定例会の雰囲気が変わる場面に出会うことがある。

コミュニケーションの出発点は、相手と自分は違うという前提を認識することだ。だからこそ、相手を思いやり、自分の考えを押し付けるのではなく、スムーズに受け入れてもらえるように工夫して説明することが大切だと思う。難しいかもしれないが、日々の努力で出来るようになると思う。

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