運用型広告の運用とは、何を指すのか?広告運用者が運用で意識していることから考える

運用型広告の運用とは、何を指すのか?

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運用型広告の運用とは?

運用型広告は運用が重要です、とよく言われます。しかし、運用とは何なのか?何を指して運用と言うのか?この素朴な疑問に答えることは、簡単ではありません。

今回は、運用とは何なのか?何を指して運用というのか?自分なりの答えを出してみようと思います。

 

運用=PDCAが最適なのか?

運用型広告の運用現場では「PDCA」をしっかり回しましょうと言います。運用者にとって「PDCA」という単語を耳にしない日はないくらい聞きます。

もちろん、「PDCA」を運用で意識することは大切です。しかし、「PDCA」という言葉のイメージと実際の運用業務の間には少し違和感を感じてしまう部分があります。

この違和感は、いったいどこから来るのでしょうか?広告運用者が運用で意識していることから、探っていきたいと思います。

 

運用者が「運用」で意識していること。

運用では、「悪化した」、「改善した」という言葉を頻繁に使います。「悪化した」、「改善した」と言う為には、基準値が必要です。運用者は、基準値との「差」を見て、「悪化した」、「改善した」と言います。

つまり、運用者が運用で意識していることは「差」です。では、この「差」とは具体的にどのようなことでしょうか?

文章だけでは伝わりずらいと思いますので、具体例で説明したいと思います。

検索連動型広告のある広告グループで広告文検証を実施した例になります。その架空の広告レポートが下記になります。
※前提条件は下記になります。
・広告グループが属しているキャンペーンの予算は変更していない。
・広告グループ内のキーワードは、追加・削除していない。
・広告グループ内のキーワードの検索トレンドは9月、10月ほぼ同じ。

検索連動型広告の広告グループで広告文検証を実施した例

このレポートは、上段が9月の掲載結果、下段が10月の掲載結果になります。

上段の9月は、広告Aと広告Bを比較検証しています。広告Aは、広告Bよりもクリック率が高く効果が良いと判断し掲載を継続。広告Bは、9月末で停止しました。

下段の10月は、継続した広告Aと広告C(10月から掲載)を比較検証しました。その結果をまとめ、これから分析するところです。

そこで、上記のレポートに運用者が見る視点を追記しました。

比較検証用の広告レポート
※P:ポイントの略

運用者にとって1番知りたいことは9月末で広告Bを停止し、広告Cを追加したことで効果があったのか?です。

それでは、施策の結果を分析して見ましょう。まず、広告検証が可能であるかを確認をします。

広告グループ全体での、表示回数は9月とほぼ同じです。広告Aと広告C、それぞれ表示回数もほぼ均等な状態です。

前月とほぼ同じ条件で、広告間の表示回数の差も誤差と判断できますので広告検証の分析に入りましょう。

広告グループ全体で、前月と比較で約12%ほどクリック数が増加しています。クリック率も0.23ポイント上昇し、全体として改善傾向が読み取れます。

そこで改善した要因を詳しく見ていきます。まず、広告Aと広告Cの比較検証を見てみましょう。

広告Aは、広告Cよりクリック率が高い広告であると判断できます。9月に引き続き、広告Aは効果が高い広告と判断出来ます。

同時に、広告Aの9月と10月の表示回数、クリック数、クリック率の差がほぼないことを、念のため確認しておきましょう。

9月に広告Aのクリック率を基準値として、広告Bの効果が悪いと判断しました。10月に広告Aのクリック率が大きく下がった場合は、広告Aを基準値として、広告Cを判断することは、判断する基準値を変更したことと同じになります。出発点の基準値が変化しないように、同時に確認しておくことも大切です。

一方、広告Cは、9月に停止した広告Bと比較すると、表示回数はほぼ同じですがクリック数は約45%増加し、クリック率も0.55ポイント増加しています。結果、広告Bを停止し、広告Cを追加した施策は成功したと判断します。

上記の例は、伝わりやすいように極端な例にしていますが、このように運用者は「差」正確に書くと「基準値との差」を確認していくことで施策結果の分析を進めます。

 

基準値との差を作り出していくこと

アカウント設計や各種の検証設計は、「差」の確認が明確になるように設定します。「差」が確認できない状態では、何も判断が出来ないため、基準値との差を作り出していくことを運用者は意識的にしています。運用がスムーズに実行されているか否かは、差を意識して運用をしたか否かが分岐点になると思います。

運用型広告は、「差」を作り出し、検証していくことが、とても大切です。

また、掲載開始直後は「差」を確認するための、基準値を出す期間になります。もちろん改善に向けて何もしない訳ではないのですが、基準値がなければ「差」を導きだすことが出来ないということも理解しておく必要があります。迅速に改善していくことができる運用型広告でも、基準値を導くための一定の期間は、必要になります。

 

まとめ

「PDCA」に違和感を覚えることを起点に、運用とは何を指すのか?を書きました。運用は「差」を作り出し、判断し、改善していくこと、だと思います。

運用型広告の最前線で運用している運用者はもちろん、関わる人全員が「差」を意識し運用に携わることは大切だと思います。

 

補足

下記のサイクルが、個人的には運用のイメージに近いです。

Measure:計測→Report:レポート→Analyse:分析→Optimise:最適化

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