ATARA LIVE 2018イベントレポート④

ATARA LIVE 2018イベントレポート④

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これからのデータドリブンマーケティングを語り尽くす

2018年10月10日(水)に開催された「ATARA LIVE 2018」のイベントレポートをお届けします。

 

「ATARA LIVE 2018」は「これからのデータドリブンマーケティング」と銘打ち、「キーノートセッション」、5つの「パネルディスカッション」「クロージングセッション」を通じて、最先端のデータドリブンマーケティングを実践している企業の方々に現状や今後の展望について語り尽くすイベントとなりました。

 

前回は、「パネルディスカッション3:これからのデータ収集と可視化2」「パネルディスカッション4:これからのマーケティング運用」をお届けしました。

 

 

今回は下記の2つのセッションについてレポートします。
・パネルディスカッション5:「KPIマネジメントの実施方法とストラテジーマップの作成」
・クロージングセッション:「今日までそして明日から」

 

 

 

パネルディスカッション5:「KPIマネジメントの実施方法とストラテジーマップの作成」

 

登壇者
ドーモ株式会社 ビジネスコンサルタント
福﨑一郎さん

 

ナビゲーター:杉原 剛(アタラ合同会社 CEO)

提供されたKPIを追いかけることにひたすら終始している人は、意外と多いのではないでしょうか。しかし本来KPI・KGIは常に疑うものであり、上流からドリルダウンして設計するのが本来の姿であるとナビゲーターの杉原は言います。

 

同セッションでは、ドーモ株式会社でビジネスコンサルタントとしてダッシュボードの導入支援を行っている福﨑さんに、KPIの設計・マネジメントのコツやエッセンスについて語っていただきました。

マネジメントの基本はプロセスへの分解と計測
そもそも、なぜKPIを設定する必要があるのでしょうか。福﨑さんは、ひとえに業績管理が難しいからだといいます。売上目標はどの企業も立てますが、重要な成功要因がわからないまま月々の数字のみを課題としているとしたら、それは結果しか見られていない、つまりきちんとマネジメントできていないことになります。

 

福崎さんによると、マネジメントを実施するにあたっては、「測定できないものに責任を負うべきではない」「プロセスを記述できなければ、自分で何をしているのか理解できていない」という2つの原則があるそうです。つまり、マネジメントする際はプロセスに分解してきちんと計測することが重要です。

Critical Success Factorを探す
KPIをマネジメントすることでメンバーやチーム個々の日々の活動、戦略目標の方向性が一致するため、組織全体のパフォーマンスが向上すると福﨑さんはいいます。その際、重要となるのが、「Critical Success Factor(CSF 重要成功要因)」というキーワードです。

 

 

全体のパフォーマンスを決めているのは、図中のSection Eのように詰まっている部分であり、これをCSFと言います。CSFを改善し、どの程度スムーズに流れているかを測るのがKPIです。詰まり部分は一定以上改善するとパフォーマンスが上がらなくなり、他の部分にボトルネックが発生するため、今度はそこに注力する必要があります。つまり、CSFは移動するものであり、それに伴ってKPIも変化するものなのだそうです。

 

その他にも、KPIをマネジメントすることで以下のメリットがあるそうです。

 

・進捗の見える化による社員のモチベーションアップ
・現場への権限移譲、能力開発が進みやすくなる
・PDCAが回せるため、業務改善が進む
・バランスの取れた評価指標とは何かを社員に伝える手助けになる

KPIの特徴
福﨑さんは、KPIとするべき指標として8つの特徴を挙げました。

 

・CSFを計測していること
・非財務であること
・計測頻度が高いこと
・CEOや経営層が注目していること
・シンプルであること
・チーム指標であること
・適切なアクションが取られること
・マクロ指標ではなく、自身のアクションでコントロール可能な指標であること

 

KPIを設定する際に重要なのが、マネジメント層がコミットして「これで結果を出すぞ」と宣言することだそうです。また、ゴール(KGI)を明確化しないままKPIを追っても全く意味がないため、ゴールからマイルストーンを明確化し、CSFは何かを検討したうえでKPIを設定することが大切だと語ります。

 

CSFをあぶり出すことは難しい場合が多いため、関連指標を全てモニタリングし、問題個所を導き出す方法もあるとのことです。設定後は現場に落とし込み、ダッシュボードを構築し、継続的に改善し続けます。

ストラテジーマップで中長期的な戦略目標を明確に
最後に、ストラテジーマップについても紹介されました。ストラテジーマップとは、長期的な戦略目標を図式化したもので、これにより事業戦略が明確化され、実現実行に繋がるそうです。

 

 

クロージングセッション:「今日までそして明日から」

 

登壇者
電通総研 カウンセル兼フェロー/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント/アタラ合同会社 フェロー/zonari合同会社 代表執行役社長 有園 雄一さん

 

ナビゲーター:杉原 剛(アタラ合同会社 CEO)

 

「ATARA LIVE 2018」最後のセッションは、弊社フェローの有園さんと、CEOの杉原による、少し進んだ未来のマーケティングの姿についてのセッションでした。

 

リゾームマーケティングの時代
冒頭で有園さんは、日本政府の取り組む「ソサエティ5.0」について語りました。ソサエティ5.0とは、すべての人とモノがネットに繋がっているIoT社会のことを指します。例えば「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」。コンビニで販売されている商品に電子タグを埋めることにより、誰が何を買ったか、リサイクルをしたかどうかまでトラッキングできるようになります。また他の例として、デジタルメディスンや人工皮膚、DNAテスティングなどが挙げられました。これらはすべて、個人情報にあたります。

 

このようにして世の中すべてがネットに繋がる世界が来ると、マーケティングの対象が変わってくると有園さんは言います。1907年のT型フォード販売からマスマーケティングが始まり、その後インターネットの台頭によりOne to Oneマーケティングが可能となりました。さらに2007年にiPhoneが登場して以来、どこにいてもネットに繋がる時代が到来しました。こうした状態を有園さんは、リゾームマーケティングの時代だと言います。

 

リゾームとは、以下のような特徴があるそうです。

 

・つながりがある
・動きがある
・中心がない
・ノードがある、ハブがある
・かたまりがある
・始まりも終わりもない
・開放的で解放的

 

リンク:

 

つまり、リゾームマーケティングとは、マスとして固まっていた集団が一度バラバラになり、IoTにより個々に繋がっているイメージだと言います。

 

マイデータの管理を個々が考える
また、現在デジタルマーケティング周りは強力で巨大な媒体が中心にいるデュオポリー状態にありますが、この状況はパノプティコン(ヨーロッパの監獄監視装置)と同様だと言われているそうです。そうではなく真ん中に個人がいて、自分の情報は自分で管理する、つまり誰も監視人がいない状態が望まれています。これもリゾームと言えます。

 

こうした中で、個人情報・マイデータそのものが媒体になってきていると有園さんは指摘します。杉原も、今後は個々が自分のデータをどこに預けるのかを選別する時代がくるのではないかと予想しました。

縦軸と横軸に何をおくのか
有園さんは、ネット広告の分野において「広告弾力性(投資に対する広告効果の変化率)」を常に考えてきたそうです。広告弾力性について考える中で、分析をする際にグラフの縦軸・横軸に何を置くかを知ることが重要だと気付いたといいます。

 

今後IoT技術の進化により収集できるデータの種類は増加の一途をたどると予想されますが、結局は何を軸に分析するかを見極める、マーケターとしての目を養うことが重要なのではないかと考えているそうです。また、データはすべて可視化できるわけではありません。有園さんは、数値化できないものを形にする力も、未来を生きるマーケターにとっては必要なスキルだと思うと結びました。

 

今回、様々な角度からデータドリブンの重要性や可能性を語り尽くしたイベントとなった「ATARA LIVE 2018」。ここで語られた内容が、少しでも来場者の方々の業務のヒントとなることを、アタラ一同は願っています。

 

次回は番外編として、出展企業様へのインタビューをお届けする予定です。お楽しみに!

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