Google 広告の自動入札を使いこなすための基礎

Google広告の自動入札を使いこなすための基礎

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運用型広告にとって、入札はキャンペーンのROIに大きく左右する重要な要素のひとつです。直近ではGoogle 広告の自動入札にアトリビューションを加味した入札機能が加わるなど、現在進行形でプロダクトの進化が進んでいます。
関連記事: Google 広告 の「データドリブンアトリビューション×自動入札」から考える、広告運用者のこれから

 

その一方で、「過去に自動入札が暴走してCPA が悪化した」「手動の方がパフォーマンスが出せる」などといった声も聞かれ、導入が進んでいないケースが多々見受けられます。

 

運用者からすると、入札をアルゴリズムに任せることになるので、CPC がなぜそのように動いたのかをうまく説明できないケースも多く、アルゴリズムをブラックボックスのように感じている方も多いのではないでしょうか。

 

入札に関する基本的な考え方さえ押さえておけば、基本的には自動入札も同じです。自動入札の挙動について、運用者自身で説明できることも多いと思いますので、あらためて入札の基礎を振り返ってみたいと思います。

 

入札価格を決めるのは Conversion Rate

 

入札価格を考えるには、CPA を因数分解をしてみるとわかりやすいかと思います。

CPA因数分解

CPA は運用者が決める項目なので、クリック単価を決める要素は Conversion Rate (以下CVR)ということになります。目標CPA が300円で、CVR が5% のキーワードがあった場合、CPCは300 * 5% = 15円となるので、上限入札単価を15円に設定すれば良いということになります。現役の運用者のなかでも意外と忘れがちなポイントではないでしょうか?

 

統計別、自動入札の入札方針

 

検索連動型広告における自動入札では、キーワードは表示回数、クリック、コンバージョンの有無によっておおまかに4つのグループに分類され、それぞれに対して下記のように入札しています。

 

統計データごとの入札方針

 

自動入札はCVR に基いて入札しているわけですから、コンバージョンが発生しているキーワード群には実際のCVR を使用し、そうでないキーワード群には広告グループ全体のCVRや、キャンペーン、アカウント全体のCVRを参照するなど、もっとも近しいと思われるデータを使って入札していきます。もともと履歴のないデータには表示機会を与えるように入札価格を調整していきます。

 

もちろん実際のアルゴリズムはもっと複雑ですが、3rd Party の入札ツールもGoogle 広告の自動入札も、おおまかな仕組みとしては図のように動いています。

 

CVR をより正確に予測するための「シグナル」

 

CVR を決める要因には「デバイス」、「時間帯」、「地域」など様々な要素があります。これらの要素のことをGoogleの公式資料では「シグナル」と呼んでいますので、ここでもシグナルと呼びます。自動入札は機械学習の一種なので、シグナルが多ければ多いほど、より正確なCVR が予測できることになります。下記はGoogle 広告の自動入札が検索連動型広告で使用しているシグナルの一覧です。

 

シグナル一覧

引用元: 検索ネットワークにおける自動入札機能の活用ガイド

関連記事:Google 広告の自動入札をちゃんと理解するためにオフィシャル解説書「Setting Smarter Search Bids」を読み込んでみた

 

Google 広告の自動入札はこれらのオークションごとにこれらのシグナルをもとにCVR を予測し、入札価格を決定しています。「実際の検索語句」や「言語」「ブラウザ」「OS」などのシグナルはプラットフォーム側しか持つことができない情報です。3rd Party が提供する自動入札ツールは基本的にAPI で取得できるレポートデータを基にアルゴリズムを開発しているため、管理画面で確認できるデータ以上のシグナルを使用することができません。

 

また、API を利用しているため、入札の頻度も1日に2 ~ 4回と制限があるのに対し、Google 広告の自動入札はオークションごとに入札価格が決定されます。

 

これから自動入札のご利用を検討している方には、特別な事情がないかぎりGoogle 広告の自動入札を使用することをお奨めします。

 

自動入札の運用上のポイント

 

自動入札は過去のCVR の傾向を学習して入札する関係上、運用する上では下記の3点に気をつける必要があります。

 

?パフォーマンスが暴れたと感じたら
目標CPA・ROAS を変更していない限り、クリック単価の変化とCVR の変化は比例しますので、過去のCVR の推移を確認してみるとよいでしょう。下図のように過去14日間の期間で「日」「時間」「デバイス」にデータを分割し、レポートを抽出しCVR の推移を確認しましょう。

 

自動入札デバッグ

 

前週に祝日があったり、取り扱っているサービスがメディアで紹介されたなどの影響で、CVR に変動があった場合、それらのデータに引きづられて入札単価が高ぶれする可能性があります。

 

CVR の変動が緩やかであれば、自動入札自体が自然に目標CPA/ROAS に修正していきますので、自動入札に任せておくというのもひとつの手です。2 ~ 3週間すれば目標CPA/ROAS に落ち着いてくるでしょう。

 

1週間単位でROI を見ている、といったような場合、週内に自動入札の修正が間に合わない場合がありますので、eCPC に切り替えしばらくの間手動で運用すると良いかと思います。

 

?セールの翌週
セールなどの影響でCVR が一定期間上がることが想定される場合は注意が必要です。自動入札は過去のCVR に基いて入札しているので、前週がセールだった場合、次の週も前週のCVR の傾向が続くとアルゴリズムが判断してしまい、実際はセールが終わっているにも関わらず、翌週もセールがあったかのように入札してしまいます。

 

あらかじめCVR がスパイクする期間が予測できる場合、セール終了後のCVR 下降時にeCPC に切り替えて手動で運用することをお奨めします。自動入札はCVR の上昇には比較的うまく対応できるのですが、CVR の低下にはまだうまく対応できていないというのが現状です。

 

?「ブランドターム」への入札
自動入札機能は基本的にCVR をもとに入札価格を決めています。サービス名や会社名を指す「ブランドターム」ではCVR が20 ~ 30% になることも珍しくなく、自動入札はCPC を高く入札してしまいがちで、手動入札では10円程度のCPC に落ち着くキーワードにも2000円 ~ 3000円ほどの価格で入札してしまい、結果的に実際のクリック単価が200 ~ 300円ほどになってしまうケースがあります。ブランドタームへの入札は手動に切り替えて10円前後のCPCで入札を固定して運用することをお奨めします。

 

以上、簡単に入札の基礎を振り返りましたが、いかがでしたでしょうか? 自動入札が賢いからといってキーワードをむやみに追加したりするといったような運用方法もちらほら聞こえてきますが、基本的には自動入札は機械学習なので、できるだけノイズの少ない教師データを作ることが重要です。自動入札のパフォーマンスを高めるためにも、キャンペーン構成をしっかりと考えて運用しましょう。

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