進化するデータフィードサービス:Unyoo.jp特別対談 株式会社フィードフォース塚田耕司さん、川田智明さんに聞く

進化するデータフィードサービス:Unyoo.jp特別対談 株式会社フィードフォース塚田耕司さん、川田智明さんに聞く

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「フィード」ビジネスを強みに、2012年にデータフィードサービスを立ち上げた株式会社フィードフォース。データフィードサービスを手がけた背景、今後のロードマップについてなどを、社長の塚田氏とデータフィードサービスを担当する川田氏にお話を伺いました。

 

フィードフォースの概要について

杉原:フィードフォースさんの会社概要と事業内容について、まず教えていただいてよろしいでしょうか?

塚田:やっていることは、企業向けにクラウド型のデジタルマーケティングサービスを自社で企画開発し、できたものを企業様に導入して、そのサービスを使いながら企業のデジタルマーケティングの支援をさせていただくということになります。「情報に新しい架け橋を」というのが我々のスローガンなのですが、こういったスローガンを掲げて、主に企業と消費者の間の情報流通をサポートするような各種サービスを企画開発して提供しています。

杉原:フィードフォースさん、何年目になりますか?

塚田:2006年創業ですね。丸8年になりました。今は、皆さんが知っているような大手企業様を中心に、だいたい300社強ほどのお客様に、我々のマーケティングクラウドサービスを使っていただいて、マーケティングのご支援をさせていただいています。

杉原:いくつかの事業を展開されているという理解でよろしいでしょうか?

塚田:そうですね。だいたい1年に1つづつくらい、企業向けの新しいマーケティングサービスを開発していますので、設立から言うと7つか8つくらいのサービスがあるんですけど、とはいえ、普及したものもあればそうではないものがあったり、時代の流れによって運用モードになっているようなものもあったりで、今あるサービスの中で一番力を入れていて、かつ伸ばしているのは2つのサービスになります。一つ目がソーシャルPLUSという、いわゆるソーシャルメディアマーケティングを支援するようなクラウドサービスと、2つめはDF PLUSという、データフィード最適化を支援するようなサービスになります。会社としても力を入れてますし、導入数もどんどん伸びています。

杉原:メンバーは何人いるのですか?

塚田:今は社員数で言うと34名。インターン等を含めると40名ほどになります。

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データフィードサービス「DF PLUS」

杉原:DF PLUSのサービス概要を教えていただけますか?

川田:DF PLUSは2012年に立ち上げたサービスになります。お客様から商品のマスタデータをご用意いただいて、それをまるっと弊社に投げていただければ、それぞれ仕様が異なる各広告媒体に、最適な形で変換をして、広告効果を最大化するようなデータ変換のサービスとしてご提供しています。お客様からマスタデータをいただく場合もあれば、クローリングという形で、お客様のHTMLソースから自動でデータを取得する場合もあります。

杉原:配信先はどちらでしょうか?

川田:Googleだったり、Criteoに代表されるダイナミックバナー配信、アフィリエイトASP、価格比較サイトというところが主だったところです。ここ最近ですとモバイルのアプリ向けへのフィード配信も増えています。

杉原:ほう、そうなんですか。

川田:はい、WEAR(ウェア)とIQON(アイコン)に代表されるファッションコーディネートアプリです。例を挙げると、WEARはファッションコーディネートアプリなので、商品のデータが必要になってくるんですが、Googleと同じかそれ以上のデータ項目を用意しないといけない仕様になっています。そのため、ファション系のアパレルの企業様で事例が出てきています。従来はPCの媒体への配信が多かったんですが、今後はモバイルのアプリも視野に入れていきたいところですね。

杉原:なるほど。興味深いですね。他の分野でも配信先は増えていますか?

川田:レコメンドの広告は徐々に増えていますね。あと、Googleに関しては、どんどんサービスが進化して、PCだとGoogleショッピング、商品リスト広告、動的リマーケティング。それ以外だとDynamic Xがフルロンチされ、全業種の企業で利用可能になりました。 弊社としてもGoogleさんとの関係性も強いです。また、商品リスト広告はモバイルに対応していて、Googleもインプレッションを増やしています。コンバージョンも数もモバイルがPCを逆転している事例もありますね。2015年、個人的には実店舗の在庫情報が検索結果に表示されるローカル在庫広告というオムニチャネル施策にも注目しています。

杉原:ヤフーはありましたっけ?

川田:現状はヤフーショッピングに対応はしていないんですが、ヤフーが買収したconeco.net(コネコネット)への配信の実績はあります。

 

本格普及のきっかけはCriteo

杉原:DF PLUSを開発した背景を教えてください。

塚田:元々弊社は会社立ち上げの際、RSSフィードのサービスから始めたという経緯があって、フィードに関する経験やノウハウはかなり多く持っていました。その後、他のサービスを作ったりもしていましたが、2-3年前にリターゲティング広告の盛り上がりに伴って、データフィードを最適化したいというニーズの高まりを受けて、そういうニーズがあるのであれば、得意領域のフィードでサービス化しようと考えました。プロトタイピングから始めて、サービスの本格開始、そして普及に至った、というのがDF PLUSの背景になります。

杉原:名前からして自然ですよね(笑)作ろう!と思った際の社内の反応はいかがだったんですか?

塚田:最初はそれほどここまでニーズがあるとは誰も思っていなかったというか、どちらかと言うと、お客様から「こういうことやれないですか?」というような話を受けて、だったらちょっとやってみようかな程度の軽い気持ちで始めたというのが正直なところです。社内的にもすごく期待されてできたプロダクトではなかったという感じです。

杉原:やってみないとわからない的な(笑)それにしては開発も早かったし、どんどん配信先も追加されるし、かなり本格的な印象でしたけどね(笑)

塚田:そうですね。一つのきっかけはCriteoが日本で本格的に普及したというのがあると思うんですよね。で、我々が着手していたのはそのちょっと前ですから。どちらかというと最初はデクワス向けのデータフィードを最初に取り組んでましたね。

川田:自分はまだ入社前でしたね(川田さんは2012年入社)。

塚田:当初は別の担当者がやってて、で、やってみると意外とニーズもあり、どんどん導入も増えていったという感じです。

杉原:ドライバーはCriteoですか。

塚田:そう思いますね、はい。

杉原:導入状況を教えてください。

川田:社数というところで言うと、すでに100社以上のお客様にご導入いただいています。業界に関しても、ある程度幅広いです。EC、人材、不動産、旅行。各業界のトップのレイヤーのお客様にご導入いただいている状況です。

杉原:その中で代表的な事例はありますか?

川田:リブセンス様はご導入いただいていて、フィードのマネジメントに関してはすべて弊社のサービスをご利用いただいている状況です。Criteo、Google Dynamic Xに加え、人材系のIndeed、Career Jetも含めご利用いただいています。

杉原:さすがですね、リブセンスさん。

川田:EC業界ですとカイザークラフト様、セレクトスクエア様ですね。人材業界ですとパソナ様、エンジャパン様、マイナビ様になります。

杉原:業界ではどちらが多いんでしょうか?

川田:社数としてはEC、その次が人材。その他ですと大きな差はないですね。弊社の他のサービスで人材業界のお客様がそもそも多かったということもあります。あとは、人材業界がいわゆるポータルサイトにデータを配信するというのが進んでいたこともあり、フィードの配信のご紹介をすると、結構すんなりと受け入れていただけたということもあります。

杉原:やはり商品点数が多く、商品の情報更新性が求めれる業界が多いということになりますね。

川田:はい、そうですね。

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今後ますます顕著になるデータフィード導入のメリット

杉原:同様のサービスを提供する他社さんと比べて、DF?PLUSだからできることってありますか?

川田:まず、対応の業種の広さというのはありますね。ECのみに特化されている会社さんもありますが、弊社は幅広くいろんな業種に対応しています。

杉原:あ、そうなんですね。

川田:はい。そういう意味ではEC以外ではあまりぶつかりません。むしろぶつかるのは自社開発をしている場合になります。そこと比較したときのコストメリット、機能になりますね。

杉原:なるほど。まあ、自社で開発している場合も確かに考えられますね。ただ、配信先の追加、仕様変更だけを考えても、圧倒的に御社のようなサービスを使ったほうがコストメリットがあると思うんですよね。

塚田:そう思いますね。できそうなので社内で取りかかることが多いと思うんですが、本当にやれるか、維持できるかというとなかなかそうでもないということが多いと思います。

杉原:あー、APIでも同じですね。「APIぐらい叩けるよ」ということで取り組むんです。たしかにできますけど、これだけ進化が早く、対応施策が増える中で、運用しつづけられるかは別問題なんですよね。

川田:あと弊社が他社さんと違う点とすれば、データ変換のツールとしてただご導入いただくだけではなく、各広告媒体毎にパフォーマンスを上げるためのヒントやメソッドがあるので、例えば「Googleで、この業界向けだったら、こういうフィードの作成の仕方がいいです」というようなノウハウを持っているので、しっかりとお客様に対してもそういったご提案をします。あと、ビジネスモデルに関してもしっかりとヒアリングして、一歩踏み込んでデータを設計するアプローチをとっています。

杉原:すばらしいですね。大事な部分です。ということは、仕様は決まっているので、あとは準備はお客様の努力にかかっているというケースもあるわけですね。僕がよく話すことなんですが、CRMにしても商品データベースにしても、そのままマーケティング利用できるような仕様になっているところって少ないと思うんですよ。元のDBを改良できる会社はそうすればいいし、なかなかそこにメスを入れにくい会社は中間処理をかけるということをすればいいわけですが、やはりノウハウがないケースがほとんどかと思うので、「うまくいく方法を教えて欲しい」というのが実際のところかと思います。ですので、ビジネスモデルや現状まで踏み込んで言ってくれるというのは助かると思うんですよね。

塚田:フィードは今後ますます重要になるだろうと思う理由はいくつかあります。何かというと、「サイトからアイテムへ」という流れが間違いなくあると思います。で、いくつかその背景があるんですが、一つはデバイスがどんどん小さくなっていると。もともとPCがあって、スマホがあって、iWatchみたいなものがあって、画面がどんどん小さくなっていくと、サイトから下りていくことがそもそも難しくなっていくから、アイテムダイレクトに出すしかないと思うんです。
あと、レコメンデーションがどんどん発達してくると、「あなたにとって必要なのはこれですよ」という感じでアイテムをダイレクトにレコメンドしてくることも可能になるでしょう。
あと、スマホやウェアラブル端末になったとき、その場所、そのタイミングで、まさにこれが必要という感じで、これもアイテムをダイレクトに提示することになると思います。
たぶん、サイトというよりはサイトをバラバラに分解したアイテムを、そのときのコンテキストでつないでいく、というような、多分そっちの方向に間違いなくなっていくと考えています。そうすると、アイテムの束をフィードでガツッと渡すという行為自体が必須になると思っているので、フィードのニーズは高まるだろうと思っています。

 

戦略的Facebook広告対応サービス Feedmatic

杉原:今後のロードマップについて教えてもらえますか?

塚田:今後のロードマップとしてやろうとしていることが大きく2つほどあります。
一つが発表したばかりの『Feedmatic』(https://jp.feedmatic.net/)。Facebookのニュースフィードの中に動的リターゲティング広告を出せるようなサービスになります。これは恐らく世界初です。マルチプロダクトアドというのがありますが、3つ商品が並ぶ広告メニューですね。あの広告フォーマットを使って、ユーザー行動から導き出した最も関心が高いであろう商品と、それに関連性の高い商品が挿入される、まさしくダイナミックリターゲティングを実現しています。これをフィードベースで出せるサービスです。
元々データフィードで、いろんな会社さんのフィードをマネジメントさせていただきましたが、それを発展させた新しい広告サービスになります。

杉原:他社さんでもマルチプロダクトアドは対応してますね。それらとはどう違いますか?

塚田:はい、他社さんでも何社かツールで対応していますが、管理画面で手動でひとつひとつクリエイティブおよび広告セットを作って入稿するような仕様かと思います。我々のは、データフィードと行動履歴をもとに動的にクリエイティブを構築し、商品ページを見た人に対して広告を出すというのを自動的にやってしまいます。レコメンデーションエンジンを使って、見た商品と関連性のある他の商品も、動的に生成して表示します。

杉原:なるほど!しかし、その広告はかなりよさそうですね。

塚田:テストするとクリック率やコンバージョン率がかなり高いことはわかっています。今Facebookでいうとスマホ経由の利用が9割以上らしいのですが、スマホでこの広告を見た際も、かなりウォールの中でも目立つので、見た目のインパクトもありますし、一度見たことがある商品ですから。自分で見てておもしろいなと思ったのは、PCで見た商品が普通にスマホに広告として出るんですよ。今までのクッキーベースのリターゲティング広告だとデバイス毎に分断されていて、やや難しかったと思いますが、それがFacebookのIDを使うことで朝PCで見たものが、夜スマホで出ているということが実現できているんですよね。結構この体験は新鮮でした。

杉原:提供形態は?

塚田:DF PLUSとは別で、独立した広告サービスになります。ユーザー属性やクリエイティブ含めいろいろ変数があって、運用もノウハウがある程度必要そうなので、ツールをベースに運用管理までやります。我々なりにどういう動きをするかも把握しながらツール側にフィードバックをしていきます。

杉原:そうですか。Facebook広告も、今ちょうどノウハウの貯め時というか、いい時期だと思うんですよね。

 

DF PLUSも時代のニーズに合わせて進化

杉原:では、もう一つを教えていただけますか?

川田:DF PLUSそのもので新しい取り組みを考えています。より広告効果の高いフィードサービスにしていくため、お客様から効果改善の数値を共有いただきながらタイトル・説明文のA/Bテストを実施しながら効果改善を追っかけていきます。社内の仕組みも作っていまして、それができることでよりPDCAを回しやすくなります。フィードのチューニングをして、どの媒体がどういう効果をもたらすのかを把握していきたいと思っています。

杉原:ツール側でも何か変化はあるんでしょうか?管理画面が実装されるとか。

川田:そういうわけではないです。効果数字などはお客様の環境は各社各様なので、ご協力いただけるお客様とまずはご一緒して効果改善を図り、次のステップとして、例えばお客様のGoogle Analyticsと連携して、フィードの効果を一元的に管理できるようにするというのはあるかと思います。まずはより効果の高いフィードサービスにしていくということを考えています。
もう一つとしては、モバイル環境も進化している中で、モバイルに注力していきます。
また、ネイティブアド周りに注力をしていきたいと思います。そこにフィードを絡めて、媒体に馴染むネイティブアドのフォーマットをやっていきたいというのが、もう少し先の話として考えています。

杉原:楽しみですね!フィードもどんどん応用範囲が広がっていきそうで、ウェブビジネスを展開する企業にとってはますます不可欠な取り組みになってきましたね。本日はありがとうございました!

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以上

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対談者プロフィール
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株式会社フィードフォース
代表取締役

塚田耕司?Koji Tsukada

1968年生まれ、香川県出身。京都大学工学部卒業後、金融機関にて勤務したのち、96年に企業のウェブサイト構築、支援を行う(株)ルートコミュニケーションズを設立し、代表取締役に就任(現在は取締役)。
その後、2006年に企業向けのデジタルマーケティングサービスを提供する(株)フィードフォースを設立し、代表取締役に就任(現任)。
一貫して、企業のデジタルマーケティングの支援に様々な形で関わり続けている。

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株式会社フィードフォース
セールスチーム

川田智明?Tomoaki Kawada

2012年、株式会社フィードフォース入社。「オウンドメディアのソーシャル化サービス」の市場調査?セールスを行った後、新規事業として商品データ最適化サービス「DF PLUS」を立ち上げる。現在は、外部企業との事業提携から広告主の集客最大化の提案まで幅広く担当。

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