MightyHive(現media.monks)の考える日本市場の独自性と今後の展開

MightyHive(現media.monks)の考える日本市場の独自性と今後の展開

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MightyHive(現media.monks)とは

アメリカに本社を置くMightyHiveは、統合的なプログラマティック・バイイングおよびアナリティクスに関するコンサルティングとサービスを主軸とした新世代のコンサルタンシー企業です。2018年にマーティン・ソレル率いる新世代マーケティングサービスカンパニーであるS4 Capitalと統合したのも記憶に新しく、メディアオペレーション、トレーニング、データやアナリティクスに関する各種支援を、広告主のみならず広告代理店、メディアに対しても提供するという点で、唯一無二のビジネスモデルを展開する企業であると言えます。

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2019年2月より日本市場に本格参入したMightyHiveですが、現在の日本市場をどう捉えているのか、また日本においてどのような支援を行っていくのかなどの展望を、COOのクリストファー・マーティン氏と、ビジネスデベロップメントリードの松崎氏、ソン氏にお伺いしました。

 

今日の話し手:MightyHive クリストファー・マーティンさん、松崎亮さん、ソン・ヨンさん

話し手:
MightyHive
COO クリストファー・マーティンさん
ビジネスデベロップメントリード/シニアディレクター 松崎亮さん
ビジネスデベロップメントリード/シニアディレクター ソン・ヨンさん

聞き手:
アタラ合同会社
CEO 杉原剛

 

杉原:まずは自己紹介と、御社の紹介をお願いします。

 

クリストファー:MightyHiveのCOO、およびS4Capitalグループのエグゼクティブ・ディレクターでもある、クリストファー・マーティンです。我々は主にメディア・データ・コンテンツにフォーカスしたサービスを提供しており、これらが将来のマーケティングサービス業界の3つの柱になると固く信じており、それらを通して、西欧市場だけでなく中国・日本・インドを含むアジア市場に展開、世界中で1800人以上の社員が活躍しています。

 

松崎:ビジネスデベロップメントリード、シニアディレクターとしてMightyHiveに参画した、松崎と申します。以前はAIスタートアップのエンタープライズ事業の立ち上げに携わり、それ以前はGoogleにてGoogle Marketing Platform(以下GMP)チームに所属していました。MightyHiveにおいては、日本におけるビジネスサイド全般をリードする役割を担っています。

 

ソン:松崎と同じく、ビジネスデベロップメントリードのソン・ヨンです。前職は、ルビコン・プロジェクトというSSPの日本支社にいたため、その経験を活かしメディアサイドでのビジネスを含め、松崎と共にMightyHiveの日本におけるビジネスサイド全般をリードする役割を担っています。

 

なぜ今日本市場に参入したのか

 

杉原:ありがとうございます。御社は2019年2月に日本市場に参入されたわけですが、どうしてこのタイミングだったのでしょうか?

 

クリストファー:弊社グループは多くのグローバルなクライアントとお付き合いさせて頂いており、また日本は言わずもがな世界3番目のマーケットです。マーケティングとそのエコシステムがファーストパーティデータ主権の時代に移行するにつれ、マーケティング担当者がもっとコントロールを握りユーザーと直接やりとりするようになると、コミュニケーションを管理できる大規模システムを集中して構築する必要が生じます。

 

もはや、1つのメッセージを数百万の人に配信することは大切ではなく、1人に対して多くの適切なメッセージを届けることが重要だと考えています。それを行うにはデータ基盤の購買などのユーザーアクションの出口や、コミュニケーションにおけるサプライチェーンにより繋がりを持たせ、ビジネスそのものに近づけて意味付けをしていく必要があります。

 

日本は非常に大きく、かつマーケティングに関して言えば特別でユニークなマーケットです。これまで長年にわたってすばらしいビジネスのインフラが構築され機能してきましたが、構造的な変化が求められている今、我々はグローバルにおける経験から成るナレッジやサービスを日本でも提供したいと考えています。つまり、日本のクライアントがより効率的なマーケティングを行えるようにするために、メディアバイイング、データ分析、またファーストパーティデータのアクティベーションに関するサービスを提供するために参入いたしました。

 

松崎:ここ数年日本においても、ファーストパーティデータの利活用に関して、エンドクライアントの動きが大きく変わってきていると感じています。例えば、そのために利用が進んでいるGMPを含むテックプラットフォームの単なる導入サポートではなく、戦略的な使い方に関するサービスニーズが高まっています。だからこそ、USやヨーロッパなどでそれらに関するサービスをビジネスの主として成長してきたMightyHiveが、このタイミングで参入したことに違和感はないと思います。

 

クリストファー:日本はグローバルプレイヤーとしての優位性を維持するために努力していると思います。議論の余地のあるトピックではありますが、文化や軍事の輸出面において日本が世界をリードしている一方で、マーケティングにおいては機械学習と分析以外では世界的に遅れていると考えています。そして今、その状況から脱しようとしていることも理解しています。もし日本の製造業と各CMOやマーケティングのトッププレイヤーたちが日本のブランドのために更なる力をつけるとしたら、グローバルかつハイレベルなコンサルティングによって強化される必要があります。

 

杉原:なるほど。御社は創立から何年になるのでしょうか?

 

クリストファー:MightyHiveは7年、グループ会社のMediaMonksは13年になります。

 

杉原:先程、大規模システムの集中化と構築についてお話いただきましたが、これまで色々な国を見てこられた中で、アメリカなどの先進国のクライアントはかなり先を行っているのでしょうか?

 

クリストファー:私はこの状況を単一のレースとして捉えていないので、どのマーケットが他より先を行っているといった見方はしていません。オリンピックに例えるとわかりやすいかもしれません。オリンピックには多くの異なるカテゴリーが存在し、また国・競技によって銅メダルよりも金メダルを多く獲得できる場合もあります。

 

データサイエンスと機械学習が優れている特定のマーケットはいくつか存在しますが、中でも日本は非常に先進的なマーケットだと思います。一方、RTBによるメディアバイイングにおいては、日本でも採用されてはいるものの、アメリカやヨーロッパよりも遅れています。ある国では金メダルが多く獲れ、またある国では銅メダルを多く獲得できるといったように、個々のマーケティングエコシステムもマーケットにとても依存しています。

 

私の経験では、いくつかの点では欧米や中国に比べても日本は非常に進歩していますが、特定のソフトウェアプラットフォームや機能、テクノロジーを採用するのにより時間がかかった場合もあります。そうした際に、我々は各スポーツにおいてそれぞれのプレイヤーをトレーニングすることができます。我々は各スポーツを極めたいわけでもなく、またプレイヤーになりたいわけでもなく、様々な分野、特にメディア、データ、コンテンツ(クリエイティブ)のすべてにおけるコーチになりたいのです。

 

杉原:御社のクライアントは、ブランドだけでなくエージェンシーやメディアにもなり得ますか?

 

クリストファー:仰るとおり、我々のクライアントは、単なるブランド企業だけでなく、クライアントに提供するソリューションを必要とするメディア、クライアントへのサービス構築をするために我々と取引をするエージェンシー、またエージェンシーにインフラをより有効的に使ってもらうために我々と協業するブランド、と様々です。

 

例えば、複数の異なるブランド運営会社のデータをすべて一箇所にまとめ、ブランドごとにCDPを構築し、それぞれの担当エージェンシーに共有する場合、ファーストパーティデータを活用するためには彼ら全員がCDPにログインする必要があります。それには適したデータガバナンス、インフラ設計とインストールも必要になります。弊社のコンサルティングサービスでは、マーケティングに関するインフラストラクチャにフォーカスしています。またMediaMonksはクリエイティブなコンテンツを構築し、さまざまなテクノロジープラットフォーム全体に配信することにフォーカスをしています。しかし私達は全てをゼロから作るわけでもメディアプランナーでもありません。メッセージングを構築し、スケーラブルな方法でマーケットやオーディエンスへ届けるための効率的な方法をお伝えする存在だと考えています。

 

完全にユニークなビジネスモデル

 

杉原:日本だけでなく、御社の事業形態はとてもユニークだと思いますが、2012年の創立当初からこの手のビジネスモデルを構想されていたのでしょうか?

 

クリストファー:当初は、CRMシステムからファーストパーティデータを取り出し、デジタルマーケティング用に有効化するというサービスに基づいて設立されました。我々は、あらゆるソースからデータを活用し、メディアプランニング、分析、アトリビューション、モデリングに役立つためのエンタープライズプラットフォームになりたかったのです。当時の誰もが使ってみたいと思えるソフトウェアを構築しましたが、実際にはメディアのバイイングに関わる際には、クライアントではなく、エージェンシーの担当者が運用をするようになっていました。メディアのプラニングやバイイングのために直接広告主が利用するためのプラットフォームという概念が、早すぎたのです。

 

そこで我々は、メディアのバイイングやそれに関わるトレーニング事業に参入し、クライアントに各プラットフォームの使い方などをトレーニングしながら、マーケットが追いつくのを待ちました。その後、欧米が同モデルを採用し始め、当社のサービスに対するニーズが急増し、Sprintのような主要なクライアントが現在、グローバルスケールで包括的なインフラ構築とデータの有効活用のために当社を採用しています。日本でもぜひやりたい形です。すでに導入されているソリューションをさらにうまく活用できるようなサポートや、必要に応じた修正を促すサポートなど、日本のクライアントにマッチする形でサービスできる基盤を築いていければと思っています。

 

杉原:ユニークさで言えば、御社は従来のエージェンシーとは一線を画したビジネスモデルだと考えています。次世代のデジタル広告・マーケティングサービス会社として同様のことを行っている競合他社はいるのでしょうか?

 

クリストファー:このビジネスで完全にユニークになることは不可能です。我々は分析ソリューションの実装や分析サポートのソフトウェアの構築はできますが、GA360とは競合していませんし、エージェンシーを競合ともみなしていません。なぜかというと、我々はエージェンシー機能を果たすビジネスではないからです。メディアバイイングのトレーニングやそのシステムを導入するサービス、および長期的にアウトソーシングするにはコストが高くなりがちなサポートをポイントで行うソリューションなどを生み出すのが、我々のビジネスだと考えています。

 

エージェンシーとブランドは、いずれはより良い運営構造を決定する必要があると思います。我々は、デジタルトランスフォーメーションの急速な移行をサポートするサービス、また一定のサービス提供期間を通してクライアントを独り立ちさせることに長けており、一歩下がった立場でクライアントのビジネスをより低コスト・高効率で運用できるようにします。例えばあるプロジェクトでは、広告メディアや他のデータソースを統合したり、また新しいインフルエンサーネットワークを活用する際など、私達はそれらの新しい機会を全てのクライアントに採用する場を持っていただく専門家になりたいのです。そして、導入提案をするだけでなく、それらを活用できるようにサポートをさせて頂き、その後、去っていくのです。この方法は、エージェンシーにもブランドにとっても有益なモデルであり、エコシステム全体をより効率的にできると考えています。

 

松崎:これは注目するに値するモデルであり、グローバルでMightyHiveが先導しています。例えばブランドをインハウス化するための1年間のサポートサービスをして、弊社から卒業していくプログラムなどもそうですが、エージェンシーへプラットフォーム利用のアドバンストトレーニングを行うなど、形は様々です。

 

ソン:先日クライアントさんと話していて、「御社は大変ですね」と言われたことがありました。理由を伺ったところ、やはり今日本に存在していないサービス領域なので、多くの方がすぐには腑に落ちないだろうというフィードバックでした。興味深い意見だと思うと同時に、弊社のユニークネスにはなると思った瞬間でした。

 

また、世界の流れとして、今後CDO(Chief Digital Officer)という役割が増えていくと思っています。結局CDO支援もコンサルティング会社と仕事をする部署と、エージェンシーと仕事をする部署ではっきり分かれていたりするため、そこを統括して応援していけるという部分も、弊社のユニークなポジションだと思っています。

 

杉原:確かにCDOは増えていますね。日本のブランドやエージェンシー、メディアは、御社をどのように捉えていると思われますか?

 

クリストファー:我々は日本マーケットに参入してまだ日が浅いため、企業との関係を構築するにはもう少し時間がかかると思っています。まさに今、いくつかのクライアントと大規模なプロジェクトを開始するところですが、これらの事例を早くお話できることを楽しみにしています。

 

また、変化に乗り遅れたと思われるクライアントやマーケットがある場合、それに適したトレーニングの必要があると思いますし、それに応じた何かしらのシステムを構築する必要があります。多くの場合、そういったクライアントは既存の枠組みではなく、テクノロジーやメディアソースを理解するために支援してくれる専門家を必要としています。そのようなケースでのソリューションは必ずしもインハウス化だけではなく、むしろプラットフォームやデータ、メディアをコントロールできるイニシアチブを握ることであり、インハウス化はその一つの手法でしかないとも我々は捉えています。そのコントロールは特にブランドにとって非常に重要です。

 

今後の日本市場での展望

 

杉原:今後の日本における展望についても、教えていただけますか。

 

松崎:パートナーシップ戦略、コンサルテーションサービス、インハウスサポートに注力していくことになるかと思います。パートナーシップに関しては、弊社はGMPにおいても世界最初かつ最大手の公認パートナーであるため、Googleを中心とするプラットフォームパートナーとの協業を進めていますが、戦略コンサルティングやエージェンシー、また各サービスベンダーとの協業をどんどん進めていこうと思っています。

杉原:Googleに限らずということですね。

 

松崎:はい。ここはGoogleに限らず、各種プラットフォームを中心としたエコシステムのサービシングを行うことで、この業界全体のスピードアップを図る役割を我々は担っていると思います。

 

杉原:それは、クライアントがブランドであってもエージェンシーであっても、ということでしょうか?

 

松崎:ブランド企業からスタートしましたが、すでにエージェンシーさんへのトレーニングや協業も始まっており、もともとの我々のキャパシティを考慮すると、ブランドもエージェンシーも重要なクライアントにもパートナーにもなると思っています。

 

杉原:エージェンシーがGMPを使いこなすためのサポートも、視野に入っているということですね。

 

松崎:そうですね。また先ほどお伝えしたコンサルテーションに関しては、ファーストパーティデータの利活用の部分に注力します。先程クリスが申し上げた、ファーストパーティデータのアクティベーションを「アンロック」するというような意味合いです。個人的にはエンドクライアントが中心になると思いますが、この分野はまだこれから始まる部分だと考えています。今はクライアントにより多くの意味のあるファーストパーティデータが集まってきており、そのアクティベーションをより有効的にできるように各方面へのサービス提供ができればと思っています。

 

杉原:ファーストパーティデータの環境は、環境やデータが異なるため、クライアントによってまちまちだと思います。それぞれに合わせてアドバイスをするのか、そもそも構築部分から関わるのでしょうか。

 

松崎:両者の選択肢があると思います。最初の構築から入るというのは時間はかかるかもしれませんが、サービスできる体制は整っています。実際に我々は、データ収集と変換、計算、分析、アクティベーションという5ステップのフレームワークのサービスを持っており、その際にどのようなテクノロジーを使うのかを含めてアドバイスすることになると思っています。

 

3つ目のインハウスに関しては、特にエンドクライアントが自身で様々なデータを活用したマーケティング活動の支援をやっていきたいなと思っています。その上で、例えばプラットフォームの導入から、必要に応じたインテグレーション、あとは日々の運用面などを12ヶ月位のメニューでノウハウをお伝えするといったことをすでにスタートさせています。

 

他にも、最終的にはノウハウをクライアントにパスする前提でキャンペーンの運用代行を行ったり、チームビルディング段階から入り込んで、一緒に人選やトレーニングを実施することもあります。これはエンドクライアントに関わらず、例えばエージェンシーへのサービスも含まれています。

 

杉原:必要に応じて、体制構築全体も行うということですね。

 

松崎:はい。ポイントは、インハウスサービスを提供する場合はクライアントの自立支援を目指すための全体的な支援を行っていきたいです。

 

杉原:インハウスと言うと、やはりブランド向けのサービスのイメージが先行するのですが。

 

松崎:メインはそうかも知れませんが、前述通り、エージェンシーへのプラットフォームトレーニングなどを行ってナレッジの底上げを図るなど、エコシステムを良くすることが役割だと思っています。

 

ソン:また、これまで透明性というワードは日本マーケットではあまり通じない気がしていたのですが、ここにきてようやく透明性の担保に注目する風潮が生まれてきていると思っています。その部分の教育を含め、体制構築などを支援していきたいなと考えています。

 

 

杉原:透明性については2年位前から色々な場面で言われてきましたが、蓋を開けてみると誰も何もしていないという状況が続いたと思います。選択肢がなかっただけかもしれませんが。御社が選択肢の一つになり得るわけですが、今後、御社内のチーム規模、人材教育の面などはどうお考えですか?

 

クリストファー:2019年の目標はすでに達成しており、現状2020年の予算編成プロセスに入っているのですが、今後4ヶ月以内にチーム規模が2倍になるのは容易と見ています。

 

松崎:もし一緒に仲間になってくれる方がいらっしゃるのならば、例えばクライアントサイドにいた方ももちろんですし、データなどをアクティベーションまで繋げることが得意なプラットフォームやメディアに強い方などがいてくれると嬉しいですね。

 

ソン:また、基本的にはコンサル領域を含め専門性を出せるということが必要だと思います。また、プロジェクトマネジメントの能力がないと、コンサル領域はサポートしにくいと思います。ただし、そこは育成できる部分でもあると思うので、安定するまでは弊社がサポートできると思います。それがメディアであれ分析であれ、チームの体制構築であれ、いろんな意味で専門知識が必要になるため、様々な知識の相乗効果でより拡大させていきたいと思います。

杉原:お三方とも、本日は貴重なお話をありがとうございました。

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