Amazon広告のポストクッキー後の野望。Connections Marketplaceとは

Amazon広告のポストクッキー後の野望。Connections Marketplaceとは

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Amazon Connections Marketplaceとは?

Amazonがポストクッキー時代のID領域を見据えた動きを見せています。その先に考えていることは何でしょうか?

※参考リンク:

Connections Marketplaceは昨年発表はされていたものの、その中に参加するIDベンダーは明かされていませんでした。この度ID5やLiveRampが参加し、メディア/パブリッシャーは、サードパーティのIDサービスやクリエイティブサービス(広告品質担保やフォーマット提供など)を簡単に実装し、テストすることができます。Amazon Publisher Service(APS)の一部であるこのマッチングサービスでは、APSへの単一の接続さえ実装できていれば、Amazon Connections Marketplaceに登録されているサービスを選択し、導入リクエストをサブミットし、アクティベーションするだけですぐに使えるというものです。

ログインベースのIDを持っていなく、自社オーディエンスについて理解していない多くのメディア/パブリッシャーは、2023年後半にChromeのサードパーティクッキー廃止後の世界に備える必要があります。自社に合ったサービスをなるべく早く見つけテストしたいものの、それぞれのサービスの接続は調査や開発にリソースと時間がかかります。ですが、こういった仕組みがあれば、開発は最小限で、複数のサービスを迅速に、かつ安価に比較検討できるようになります。メディア/パブリッシャーにとって十分メリットはあるサービスと言えるでしょう。

Amazon Connections Marketplace

Amazon Connections Marketplace

Amazon Connections Marketplace自体の利用は無料(各接続サービスの料金体系は別途発生する場合があります)で、導入や活用にあたってのカスタマーサポート、モニタリングツールの提供、継続的な最適化サポートなども提供するという、かなり太っ腹な内容と考えられます。今後もID、クリエイティブサービス以外でもサービスを拡充すべく、メディア/パブリッシャーの要望をヒアリング中とのことです。

 

メディアを陣営に迎えた後の思惑とは?

Amazonがここまで、大盤振る舞いにも見えるサービスをメディア/パブリッシャーに提供するのはなぜでしょう?

今回のAmazon Connections Marketplaceに似た動きをGoogleもすでに行っています。Googleは暗号化されたシグナルをビッダーと共有するソリューションをベータで提供開始しています。暗号化シグナルは、メディア/パブリッシャーがGoogle Ad Managerの提携テクノロジーパートナーと連携し、安全なバックチャネルを通じてデータを交換するための方法です。

また、ヘッダービッディングにおいてもGoogleと競合しています。Googleの場合、Google Ad Managerにリクエストを送信する前に各SSPに入札させ、その上で、もっとも高単価な広告とGoogle Ad Managerの広告を競わせ、単価が高い方の広告を配信する仕組みで、メディア/パブリッシャーの収益アップにつながります。Amazon Publisher Serviceの中にもTransparent Ad Marketplaceというヘッダービッディングのソリューションも提供しています。Amazonの商品広告が豊富に掲載されるのが特徴で、Amazonのセール時期になると収益性が大きく上がりやすいのが特徴です。また、S2S(Server to Server)になるため遅延も発生しにくく、透明性も高いというのを売りにしています。

狙いはGoogleの牙城を崩すことと考えるのが妥当でしょう。ただ、メディア/パブリッシャーにおいてGoogleの存在は大きいですが、ヘッダービッディングでの参入であれば可能です。Amazonのヘッダービッディングは数年前から存在していましたが、メディア/パブリッシャーが現在困っているID課題を切り口に、Amazon陣営に巻き込むことで、Amazon Publisher Serviceに取り込み、Amazon DSP経由でAmazon外での収益を確保しようと目論んでいるのはないかと思われます。

Amazonの広告事業は好調ですが、2022年第一四半期段階の広告事業売上ではAmazon 1.06兆円に対してGoogle7.16兆円と依然差は大きい状況です。新型コロナウィルス感染症の影響でオンライン経由の購入が爆発的に増えた2021年と比較すると、売上も鈍化していますし、WalmartやTargetなど新興のリテールメディアとの競争もあります。Amazonは言うまでもなく強力な購買データを軸としたIDを持っていますので、それをAmazon外の世界でさらに活用していくというのは戦略としても理にかなっているのではないかと思います。


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