Criteoリセラープログラムは日本のリテールメディアには必須のソリューションだ

Criteoリセラープログラムは日本のリテールメディアには必須のソリューションだ

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「今年は日本のリテールメディアの元年だ」と年初に予測して、早くも3カ月が経とうとしています。

※参考リンク:

引き続き日本においてもリテールメディア領域は盛り上がりを見せつつも、日本特有の大きな課題が立ちはだかります。それは、自社ECのトラフィックがまだ途上段階の企業が多い点にあります。優良なファーストパーティデータは豊富にありますが、広告在庫が少ないオンサイトで生かしきれない。そこをどう乗り越えるかが日本のリテールメディア発展の鍵を握る、と思っていたところ、CRITEO株式会社のリセラープログラム担当カスタマー・ソリューション&イノベーション部門責任者である平澤新人さんにお話を伺う機会がありました。伺った話から、Criteoがどのようにこの課題に挑んでいるかを解説していければと思います。

Criteoリセラープログラムとは

Criteoリセラープログラムの生い立ちは、7年前の2016年に、Yahoo!ショッピングと共同で取り組んだサービスが前身にあたります。当時は、まだプロダクトはなく、ある種ハックのようなものから生まれたそうです。5年ほど前からプロダクト化に着手し、それをサポートするチームが発足したのも3年ほど前とのことです。

Criteoリセラープログラムを図解したものがこちらです。

Criteoリセラープログラム

一番左がCriteoの「リセラープログラム」いうプログラムで、真ん中の「マーケットプレイス」は、例えばeコマースサイトやトラベルのサイトなどのことです。一番右は、マーケットプレイスで商品やサービスを売ったり、ホテルの予約を取ったりしている企業で「出店企業」「店舗」または「広告主」と呼んでいます。

Criteoはこの真ん中のマーケットプレイスに対してターゲティング、マーケティングの技術のソリューションを提供しています。マーケットプレイス側は、一番右の出店企業に対して広告の販売を行います。このとき、Criteoの技術を再販するような形で広告販売を行っています。

通常のCriteoの広告では、この図のマーケットプレイスがCriteoに自社の広告予算を拠出します。このプログラムの場合は、マーケットプレイスが広告プラットフォームを提供することで、一番右の出店企業から広告予算を得ることになります。

どうやってマーケットプレイスが収益を得るのか

マーケットプレイスは、出店企業に請求する広告費に、Criteoに支払う手数料を付けることによって収益を得ます。Criteoはマーケットプレイスから広告費をそのまま受け取る形で利益を得るので、マーケットプレイスとCriteoにとってこの仕組みを使うことはWin-Win-Winの関係になります。

CRP活用イメージ_セラーのメリット

よって、マーケットプレイスのメリットはCriteoの技術を使った広告商品ができること、そして、それを活用してマネタイズできることにあります。Criteoとマーケットプレイスというと、従来は媒体社と大手広告主という関係でした。このCriteoリセラープログラムを採用した場合、マーケットプレイスがCriteoと一緒になって、その先の出店企業のニーズに合わせた広告商品をつくっていきます。つまり、これまでとお互いの立ち位置が変わってくるというユニークな部分があります。

出店企業の広告キャンペーンは、マーケットプレイスが自社運用するケースが多いようです(一部広告代理店に委託するケースもあります)。リセラーであるマーケットプレイス用の管理画面では一括で、数千、数万という広告キャンペーンを作成・管理できるそうです。

出店企業のメリットとしては、有効な集客手段が得られることにあります。大きなマーケットプレイスだと数万店舗、数百万店舗の中から、せっかくユーザーが見つけてくれ店舗に来てくれたとしても、一般的なコンバージョンレートから考えると、買ってくれるのは100人のうち1人ぐらいしかおらず、99人が離脱します。そこで、Criteoリセラープログラムでは、多くの出店企業の中から見つけてくれたユーザーにしっかりともう1回アプローチして、購入につなげることができます。ここはリターゲティングの一番の強み、特徴であり、今までCriteoが提供してきた部分です。

Criteoは技術提供することで、当然、マーケットプレイス全体としての広告予算の拡大につながります。集客効果があり、出店企業の売上が上がれば、さらに広告予算も増える可能性もあるわけです。

まさに三方よしのプログラム。出店企業の先の生活者も意中の商品やサービスを見つけやすくなれば、四方よしとも言える、よく考えられたプログラムなのではないかと思います。

アッパーファネルで新規顧客の集客も対象に

Criteoは2022年11月に、Criteoリセラープログラムのアッパーファネル向け機能拡大を発表しています。これまではマーケットプレイスのWebサイトを訪れたことのあるユーザーに対するリターゲティング・キャンペーンの実施のみが可能でしたが、このたびの機能拡張により、Criteoの膨大なオーディエンスユーザーの中から、購買につながる見込みの高い新規ユーザーに対してターゲティング・キャンペーンを実施することが可能になりました。つまり、マーケットプレイスのさらなる収益性の向上と、各出店企業の新規ユーザーの集客や購買をサポートできるようになりました。

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平澤さんとしては、一番多く使ってもらえるのではと思っている機能は「コマースオーディエンス」「シミラーオーディエンス」とのことです。

広告キャンペーンの配信対象オーディエンスを拡大

コマースオーディエンスは、Googleプロダクトカテゴリに基づく興味・関心やターゲットブランド、性別、消費習慣など特定のユーザーを指定したオーディエンスになります。シミラーオーディエンスは、その名のとおり、訪問した人の属性に近いユーザーにリーチができます。

結果として、新規出店企業は、売り上げが欲しいがオーディエンスとしてリターゲティングは使えないときに「たくさん新規トラフィックを持ってきましょう、新規オーディエンスを持ってきましょう」といったマーケティング施策ができるようになります。既存の出店企業も大きくなればなるほど、より大きな売り上げを求めますが、リターゲティングだとどうしても限界はあります。さらなる売り上げをつくろうと思うと、やはり他のオーディエンスも使わなければいけません。「その部分がようやく提供できるようになった」と平澤さんは述べています。

Criteoが現在提供するオーディエンス機能を目的別に示すと、以下のとおりになります。

Criteoが提供するオーディエンス機能

これまでリターゲティングが中心でしたが、今ではアッパーファネルも、ジオターゲティングも可能になっています。不動産や中古車などは対象エリアの顧客が重要なので、“半径何キロ”というようなターゲティングが必要になります。ジオターゲティングでは、そうしたターゲティングが可能になりますし、他のオーディエンスと組み合わせることで、より精度が高くなります。平澤さん個人としては“チラシのDX化”だと考えているそうです。

「そもそも、このリセラープログラム自体、少額だと月に数千円といった予算の規模の小さな広告を扱っています。まさにチラシの領域。例えば、スポーツジムやエステティックサロンといった業種のチラシは、今も毎日のようにポストに入っていると思います。そういったエリアが非常に重要視される企業のDX化は、まだまだ進んでいないところはあります。少額でも対応できるという点からも、このジオターゲティングを使っての“チラシのDX化”に挑戦したいと思っている」と平澤さんは語っていました。

Criteoリセラープログラムの対象となる企業は

リセラープログラムの顧客企業で一番多いのは、やはりECモールとのこと。クラシファイド広告(目的や地域によって分類された募集広告や告知を、一覧形式で掲載する広告媒体)というものがありますが、これを提供するマーケットプレイスがまさにそれに当てはまります。日本はこのクラシファイド広告にユーザーが集まる傾向があり、パワーがあるので、リセラープログラムをそのクラシファイド広告のマーケットプレイスに対してのマネタイズのソリューションだと位置付けているそうです。かつ、リテールメディアもあるので「小売事業者も、クラシファイド広告を提供するマーケットプレイスも、両方とも収益化のお手伝いができる」とCriteoは考えています。

業界別のCRP導入事例

基本的に広告予算が大きく、かつ、そもそものサイトがモール、旅行サイト、求人も含めて、広告モデルでのサイト運営の会社が顧客企業の大半なので「自社の広告メニューはあります。ただし、当然もっと収益化したい」といったときには、他に売るものが欲しい。そのときにオフサイトでパフォーマンスがよいという点で、Criteoが選ばれることが多いそうです。

実例として、応援購入サービスを提供する「Makuake(マクアケ)」での利用が挙げられます。

MakuakeにおけるCriteoリセラープログラムの利用例

Makuakeというプラットフォームに自分が実現したい製品を掲載しただけでは、やはり何万というプロジェクトの中から見つけてもらうことになるので、“待ち”になりがちです。実際にサポーターに応援購入してもらうために、待ちではなくて攻めとして、サポーターにアプローチをしていく、リーチしていく、そのときに広告を使います。MakuakeとCriteoとの関わりは、その広告の手法の中でパフォーマンスがよいものということで、まずはリターゲティングを使い、Criteoリセラープログラムを提供したという経緯だそうです。

一方で、Makuakeのようなサービスだと、その商品のページがアップされて初めて、その商品が世に知られてユーザーに見られるようになるので、このアップした日は、リターゲティングユーザーは実質ゼロに等しい状態です。かつ、各プロジェクトは期間もあるので、初速が非常に重要です。「アッパーファネルも含めた、立ち上げ時のプロジェクトでユーザーがある程度集まってきたら、パフォーマンスがよいリターゲティングの比率がどんどん上がってくる、よいスキームができている」と平澤さんは述べています。

オンサイトとオフサイトの相乗効果/日本らしいリテールメディアの進み方

Criteoのリテールメディアプラットフォームにはオフサイト配信という機能もあり、その部分でCriteoリセラープログラムのチームと連携することがあるといいます。リテールメディアを運営する小売事業者からすると、自社内の広告で完結することが恐らくベストだとは思いつつ、例えば繁忙期、自社での売上がこのままいくと着地は100だが目標として150売りたいというときに、さてどうするか、ということになります。そこで、オンサイトだけではなくてオフサイトからもお客さまに来ていただいて、販売額を増やしていくことは、スポットでも年間通してもあるニーズです。「オンサイトとオフサイト、両方できることで相乗効果を生み出していきたい」と平澤さんは述べています。

平澤さんが面白い例えをしてくれたのですが、大人気のコンビニエンスストアのPB商品。販売しているのはコンビニ店舗で、利用者からすると「コンビニ企業の」おいしいハンバーグを食べている。ただし、実際には、メーカーが製造しています。

Criteoリセラープログラムにもリテールメディアにも通じる話ですが、自社でオンサイトの広告を、ただ単に枠を設置して1カ月掲載するだけなら、恐らく簡単です。ただ、どのユーザーが、例えばコーヒーを飲みたがっているか、アウトドアに興味があるか、といったところまで含めて、精度の高い広告のシステムをつくるのには莫大なコストがかかります。

同様にオフサイトでの広告配信も、配信することだけなら簡単かもしれませんが、パフォーマンスを出すとか、ニーズに合わせた形の配信については、やはりCriteoがこれまで培ってきたものが役に立ちます。先ほどのPB商品でいうと、工場をCriteoが提供して、しっかりとクオリティの高いものをスタートの段階からユーザーに提供できる、出店企業に提供できる。その点では、リテールメディアとこのリセラープログラムには同じフィロソフィがあると考えているとのことです。

Criteoのリセラープログラムとリテールメディアのソリューションは別々のソリューションでありつつ、現状はオーバーラップしたり連携したりする部分もあります。これはCriteo内でも、もう少し整理していくそうです。ですが、前述のとおり、目指すところは同じです。リテールメディア文脈で考えても、特に冒頭にも書いた、自社のECトラフィックがない中でリテールメディアを運営しようとしている日本の小売事業者には、オフサイトのトラフィックをどのように活用するかの視点が必要です。自社ECを育てつつ、初期の頃からきちんとマネタイズすることを実現しようとした際には、Criteoが持ち合わせているオーディエンスやテクノロジープラットフォームは一日の長があるように思います。

今回お話を伺って、Criteoがリターゲティングソリューションを提供する企業から、幅広い事業者が広告利用および提供を通じて事業を拡大することを支援する企業に変革している最中なのだと、あらためて認識を新たにした次第です。

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