リテールメディアの日本での可能性:Walmartのパートナー戦略に見る

Walmartのパートナー戦略に見る日本のリテールメディアの可能性

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Walmartがさまざまなパートナーとの連携を発表

Walmartは2022年9月20日に、同社のリテールメディアプラットフォームWalmart Connectにおいて、ソーシャルフィード、ライブストリーム、ビデオ、モバイル、コネクテッドTV(CTV)など、広告およびマーケティングサービスをサポートできる一連の「イノベーションパートナー」を紹介しました。

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どのようなパートナーシップか

Walmartは2022年7月にも、自社のパートナープログラムを発展させる目的で、スポンサードプロダクトを中心とした広告キャンペーンを効率的に管理できるツールを提供するソリューションパートナー、The Trade Deskなどと技術的な連携をベースに、オンサイト/オフサイトへの広告配信を可能にするテクノロジーパートナー、そして、エージェンシーなどのサービスパートナーを発表しています。

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そして、今回「イノベーションパートナー」として発表されたのは5社。厳密に言うとRokuはすでに発表されていたので純粋な新規は4社です。1社づつ紹介する前に、この背景ですが、2つあります。1つ目ですが、アクセンチュアの調査によると、ソーシャルコマースは、eコマース全体の10%から2025年までに17%に成長すると言われており、Z世代とミレニアル世代の消費者が牽引します。また、ソーシャルメディア利用者の約3分の2(64%)が、過去1年間にソーシャルメディア上で購入したと回答しています(ソーシャルバイヤー数は20億人と推定されます)。

2つ目ですが、Walmartは現在の市場環境と提携の理由を次のように説明しています。“As the media funnel continues to collapse, advertisers are realizing the opportunity to reach shoppers on leading platforms where they are increasingly spending their time.”(メディアファネルが引き続き崩壊する中、広告主は買い物客が一番時間を費やすプラットフォームで、彼らにリーチする機会があることに気づいています)。新しいメディアやプラットフォームが続々と生まれ、「断片化」が進む中、人がもっとも集まる新世代プラットフォームといち早く提携したわけです。

発表されたイノベーションパートナーは、TikTok、Snap、Firework、TalkShopLive、Rokuの5社です。

TikTok – Walmart ConnectとTikTokのパイロット版連携により、広告主はTikTokでインフィード広告を配信する機会を得ることができます。TikTokユーザーの50%以上が、広告をスクロールして通過するのではなく、フィード上で見ていると回答しています。このパートナーシップは、TikTokのフルスクリーンビデオフォーマットとWalmart Connectのターゲティングおよび測定機能を組み合わせたものです。

Snap Inc – Snapchatとの連携により、Snap Ads、Collection Ads、Snap ARとWalmart Connectのジオベースの測定によるオムニチャネルの売上増加機会を広告主に提供します。広告主がWalmart Connectを通じてSnap広告ユニットを購入できるのは、今回が初めてです。Dallaireの調査によると、Snapユーザーの75%は米国の13歳から24歳で、このグループは1兆9000億ドル以上の消費力を持っているといいます。

Firework – Firework との連携により、Fireworkは、Walmart.com/liveにおいて、サプライヤーがファンディングするショッピング可能なライブストリームとショッピング可能なショートビデオを提供します。Walmart Connect は、ブランドがFireworkの機能を活用してプレミアムで魅力的なモバイルファーストのビデオ体験をどのように実現できるかを検証しており、まずジョンソン&ジョンソン、ロレアル、P&G、ユニリーバと取り組んでいます。

TalkShopLive – TalkShopLiveとの連携により、サプライヤーがファンディングするショッピング可能なライブストリームを、TalkShopLiveの埋め込み型ビデオプレーヤーを通じてWalmart.com/live、TalkShopLiveプラットフォーム、ブランドおよびパブリッシャーのサイト、そしてウェブ全体において配信することが可能です。すでに、ジョンソン&ジョンソン、P&G、サムスンなどとライブストリームを実施しています。

Roku – Walmartは最近、TVストリーミングを次のeコマース・ショッピングの場にするため、Rokuとの提携を発表しました。Walmartが取り扱う商品をストリーミングで購入できるようにする独占リテーラーとして、ユーザーに商品の発見とチェックアウトの体験を提供し、インスピレーションを受けた時に直接購入できるようにします。Walmart Connectは、Roku上のTコマース・プラットフォームを通じてブランドと顧客を結びつけます。広告主は、Walmart Connectの測定機能により、効果に関するインサイトを得ることができます。

 

Walmartのパートナー戦略に見る日本のリテールメディアの可能性

このようなパートナープログラムを実施した理由ですが、プラットフォームが面を増やす目的で、プラットフォーム外の掲載パートナーを獲得するのは定石です。Walmartのeコマースは大きいですが、今後成長を続けたとしても広告在庫の限界はありますので、それを外部に拡張するのは当然の動きです。

それ以上に、前述のように人が集まる新世代のプラットフォームにいち早く網を張ったという印象が強いです。どれもすでにユーザーベースがすでに大きく、引き続き成長し、ユーザーのエンゲージメントが高いプラットフォームが選定されています。パートナー企業からするとWalmartの顧客ベース、商品点数、商品力は非常に魅力的ですので、連携するメリットは十分あると判断したと思われます。ソーシャル各社はeコマースの入口になるべく、マーチャント向けにさまざまな機能を実装していますが、今のところは直接マネタイズするスキームではありません。このパートナーシップによって対eコマース戦略が強化され、さらにマネタイズにも寄与するのであれば、やらない手はないかと思います。マーチャントにとっては面が増え、強力なターゲティング、測定機能で売上拡大を図ることができます。ユーザーにとっても、使い慣れたプラットフォームで商品を見つけ、一気通貫でチェックアウトまで可能になる体験を享受できるのは大きなポイントです。

すべてのステークホルダーにとってメリットのある「三方良し、ならぬ四方良し」の本パートナープログラム。今後もWalmart Connectのパートナー拡大は続くと考えられます。日本においては来年以降、国内の小売業者による新しいリテールメディアが出現してくるものと思われます。日本の場合、小売業者のeコマース自体に規模感がないため、サービス開始当初からこのような外部パートナー企業と組み、広告在庫の規模感を出していく戦略は可能性としてはあるかもしれません。広告事業は広告を買うバイサイドと、売るセルサイドが絶妙なバランスを持って増えていくスキームがないと広告事業としては伸びません。「鶏が先か、卵が先か」なのですが、ただ、どちらかというと掲載面がないと広告主も誘因できないですし、予算を投下してもボリューム感が出ないと大手広告主はついてきません。自社枠、パートナー枠を合わせた広告在庫の獲得に尽力することで、広告主獲得もブーストする可能性が出てくるのではないでしょうか。そしてWalmart Connectのパートナー戦略が成功するかが、今後の日本のリテールメディアの手本となるケースとなるように思えてなりません。

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