テレビメタデータが切り開く、通信と放送の融合の可能性

テレビメタデータが切り開く、通信と放送の融合の可能性

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「テレビメタデータ」ってなんですか

有園:株式会社エム・データの取締役、薄井司さんと、ライフログ総合研究所の所長、梅田仁さんに、お話を伺います。エム・データさんはテレビメタデータを作っている会社ですね。まずは「テレビメタデータ」ってなんですか。

薄井:テレビメタデータというのは、テレビ番組およびテレビCMの放送実績の全てをテキスト化したデータのことをいいます。未来の番組表とは違い、放送実績に基づいて記録するテキストデータのことを、業界では「テレビメタデータ」と呼んでいます。

有園:テキストデータなんですね。音声認識技術を使っているという噂を聞いたことがあるのですが、実際はどうやっているんですか。

薄井:一部、画像や音声認識テクノロジーを使っていますが、基本は人海戦術、人力でテレビメタデータを生成しています。茨城県水戸市にデータ入力センターがありまして、100名近いオペレーターが在籍しており、24時間365日ひたすらテレビを見ながら人力で、全ての放送実績を独自のノウハウで要約(サマライズ)し、テキスト化しています。

有園:テレビを見て、その内容を手で打つってことですか。

薄井:そういうことです。だいたい、6時間から8時間を、4シフトから6シフトくらいでローテーションしています。当然、間に休憩はありますが、基本的にはひたすらテレビを見続けて、ある一定の入力ルール、ガイドラインに基づいて入力作業を続けています。

放送内容に連動して情報が出る

有園:リアルタイムあるいは10分遅れくらいでテレビの放送内容に関連した情報が、たとえば、ヤフーの検索結果に出るんですよね。

薄井:そうです。テレビメタデータには4つのデータベースがありまして、基本は、番組の詳細情報の「番組データ」とCMの放送実績ログと呼ばれる「CMデータ」。この2つのデータベースが中心です。また、番組データの中から番組で紹介された商品の情報や、店舗・施設の情報だけをセグメントして、「商品データ」と「店舗・宿泊施設などのスポットデータ」を作っています。これらで4種のデータを構成します。

その他に、人物(出演者)や楽曲の情報、放送時間や回数でランキングしたコンテンツなども生成しております。4種のデータがこちらです。

1_4つのDB

有園:たとえば「王様のブランチ」みたいな番組で商品が紹介されたら、いつ、誰が出て、どのような内容であったのか、ということとは別に、商品名やジャンル、URLなどもデータにするってことですか?

薄井:番組内で紹介された固有名詞商品に対して、各メジャーECサイトのどのページで当該商品が売られているかというURLも採録しています。

有園:それは、オペレーターが検索するということですか。ヤフーショッピングの中で「これだ」と探すということ? ということは、ヤフーショッピングの中であらかじめ登録されている商品にだけ対応するということでしょうか。

薄井:実際は1日あたりの商品の紹介点数は、東京キー局だけでも1日平均で300点前後(名・阪局を合わせると1日700点前後)あり、それを全て採録対象にしています。楽天さんやヤフーさん、Amazonさんクラスになると、その8割から9割の商品を取り扱っており、我々のオペレーターは、たとえばヤフーさんにお届けするときは、ヤフーさんの取扱商品のデータだけをセグメント配信しています。

有園:これ、効果はどんなんでしょうか? テレビで紹介した商品はネットで売れているんですか?

薄井:はい。テレビの影響もあり、爆発的なセールスにつながっています。売れる月は、取引のあるECサイトさんの合計額で、数千万から億を。ヤフーさんの場合は、ヤフーショッピングで買えることもあるのですが、検索が強みなので検索と連動させています。

長い商品名を視聴者の方がテレビ番組を見て、一瞬で覚えられるかというと、なかなか難しいです。

でも、見ていた番組名は記憶に残っていますから、番組名で検索すると、直前に紹介された商品の情報が検索結果の上位に表示されるよう機能化されています。

有園:長い商品名は覚えられなくても、その商品が「王様のブランチ」で紹介されたことは覚えているから「王様のブランチ」と検索したとき、検索結果の上位に出てくるように仕込んでおくってことですね。

薄井:そういうことです。当然、テレビで紹介された当該商品は売れるのですが、関連、類似、周辺商品のレコメンドも最適化されており、ついで買いも売り上げに貢献しているようです。その派生で、他のEC事業者さんや、最近ですとリスティング広告連動、DSPとの連携が、モデルとして出てきています。

2_Yahoo実績

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