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BeRealに聞く:Z世代に届く「映えないSNS」と広告の新常識とは

BeRealに聞く:Z世代に届く「映えないSNS」と広告の新常識とは

急速に変化するSNSの利用環境において、Z世代の「自然なつながり」は、マーケティングにおける新たなテーマとなりつつあります。フランス発のSNS「BeReal.」は、フィルターや加工を排し、1日1回の通知を通じて「ありのままの日常」を共有する仕組みで、ユーザーが急増、日本でも若年層を中心に支持を集めています。広告配信においても、従来型の「見せる」から「共に過ごす」へと軸足を移しながら、企業やブランドとの新しい関係性を築きつつあります。

本記事では、BeReal日本市場の責任者・笹川明人さんと代理店パートナーシップリード兼コンテンツソリューションマネージャー・国定希生さんに、同サービスがZ世代に選ばれる理由や、広告クリエイティブの考え方、今後のプロダクト戦略などについて詳しく伺いました。

こんな人におすすめ

  • Z世代や若年層とのリアルな接点を模索している
  • 「映え」文化に疲れた、広告を避けがちな層との低ストレスな接点を探している
  • タレントやインフルエンサーとの新しい関係性・発信方法を模索している

話し手
BeReal.
日本市場責任者
笹川明人さん

代理店パートナーシップリード兼コンテンツソリューションマネージャー
国定希生さん

聞き手
アタラ株式会社
代表取締役CEO
杉原剛

コンサルタント
岡弘太

フランス発、親しい人とリアルを共有する新しいSNS「BeReal.」とは

杉原:まずは自己紹介をお願いします。

笹川:BeRealの笹川と申します。現在、BeRealでは日本市場における責任者を務めています。これまでのキャリアはマーケティング領域が中心です。新卒でテレビ局に入社し、番組制作に携わるとともに、ビジネスサイドの業務にも関わってきました。その後は、GoogleやPinterestといったIT系の大手テックカンパニーで、広告およびマーケティングを担当しました。直近では、SaaS系企業であるHubSpotにて、ミッドマーケット部門の責任者を務めていました。

BeReal, 笹川氏

国定:BeRealの国定です。僕のほうが笹川よりも先にBeRealに入社し、Pinterest時代の先輩だった笹川に声をかけて二人でBeRealJapanの立ち上げを進めてきました。キャリアとしては、最初に株式会社アサツー ディ・ケイでマーケティングに携わり、株式会社電通デジタルを経て、Twitter、Pinterest、そしてBeRealに至ります。現在は、代理店チームを担当するとともに、主にコンテンツソリューション領域を担っています。具体的には、公式アカウントやタレントの活用提案、パッケージの作成、ならびに芸能事務所の方々への支援を行っています。

代理店パートナーシップリード兼コンテンツソリューションマネージャー 国定氏

杉原:では、貴社について紹介していただけますか。

笹川:BeRealは2020年に創業し、現在はフランスの大手ゲーム会社Voodooの子会社となっています。Voodooは、アプリのダウンロード数で見るとGoogle、Metaに次いで世界第3位の規模を誇る企業です。そのVoodooが、BeRealというベンチャー企業を2024年6月に買収しました。BeRealは写真や動画を共有するSNSですが、大きな特徴は「フィルターや加工がないこと」、そして「1日1回、ランダムなタイミングで通知が届くこと」にあります。また、投稿は24時間で他のユーザーからは見えなくなります。

日本においては「映え」を意識しすぎるあまりSNSに息苦しさを感じているユーザーも多い中で、BeRealは本当に親しい人たちと日常の一コマを気軽に共有し、楽しむことができるSNSになっています。

User Experience

杉原:面白いですね、バックグラウンドがゲーム会社なのですね。

笹川:特徴的なのは、やはりゲーム会社が運営しているSNSであるという点です。例えば「1日1回通知が届く」仕組みや「他人の投稿を見るには自分も投稿しなければならない」「再撮影の回数が明確に表示される」といった設計など、ゲーム的な要素やエンターテインメント性がエッセンスになっています。

熱烈な支持層はZ世代の若者たち

杉原:BeRealのユーザー像については、多くの方が関心を持たれているポイントだと思います。どのようなユーザーが中心なのでしょうか。

笹川:日本国内でのユーザー数は、現在およそ500万人にまで拡大しています。そのうち約83%がZ世代、つまり14歳から27歳のユーザー層となっており、非常に若い世代に支持されているのが特徴です。さらに具体的に言うと、日本国内の大学生の数は約240万人なのですが、BeRealの同年代のユーザーは約220万人にのぼります。つまり、大学生世代のかなりの割合をカバーしているといえます。他のメディアとの違いは、このZ世代の若者たちが熱狂的に利用しているという点です。ちなみにアプリの利用が可能なのは13歳以上となっています。

熱烈な支持層はZ世代の若者たち

熱烈な支持層はZ世代の若者たち2

「Look at me」から「Be Yourself」へ──日記的SNSとしてのBeReal

杉原:ユーザーの皆さんは、どのような使い方をされることが多いのでしょうか。

アタラ 杉原

笹川:他のSNSと比較して大きく異なるのが、BeRealは「見せるため」ではなく「共有するため」のプラットフォームだという点です。例えば、InstagramやTikTokは、フォロワー数を増やすことを意識した「見られる投稿」が中心になりますが、BeRealはLINEのグループのようにもっとクローズドな関係性の中で使われています。本当に親しい友人と、ありのままの日常を共有する場というイメージです。

実際、BeRealでは1人あたりの友人数は平均して30人程度なのですよ。これは高校生や大学生の場合で、社会人になるとさらに少なくなり、5〜10人というケースも珍しくありません。「盛らなければ」といったプレッシャーがなく日々の日常を共有できるのが、BeRealの魅力の一つだと思います。

国定:BeRealは、従来のSNSとはマインドセットが大きく異なると感じています。よく話に出るのが「ソーシャルメディアは大きく二つのスタンスで成り立ってきた」ということです。一つは「Look at me(私を見て)」、もう一つは 「Look at this(これを見て)」。前者の代表格がInstagramであり、後者がX(旧・Twitter)やPinterestといったプラットフォームです。しかしBeRealはそのどちらにも所属しません。

例えば、SNSがこれまで担ってきたのは「ハレの日の体験を祝う社交の場」だったという視点です。それに対してBeRealは「ケの日=日常そのもの」を共有することに価値を見出した、初めてのSNSなのではないかと。偽りの自分を演出するのではなく、ありのままの自分と、リアルな毎日をシェアすることを軸にしているのがBeRealです。

User Experience

杉原:面白いですね。投稿が24時間で消えるのはなぜですか。

笹川:BeRealには「特別なイベントがあるわけではない、ふだん通りの1日であっても、その瞬間には価値がある」という考え方があります。そんな1日1日を共有していくというのがBeRealのスタイルです。一方で自分自身には「メモリー」という形で残り、いつでも見られるようになっています。日本はメモリー機能の利用率や滞在時間が、他国に比べてすごく高い傾向にあります。他の人の投稿を見るだけではなく、自分の投稿を振り返る場として使っているのは面白いですよね。

User Experience

笹川:カレンダー形式で自分が撮ったものが見えるようになっているので、何気ない日常を振り返る場として使われています。

杉原:それは面白いですね。つながっている友達の投稿は24時間しか見られないけれど、日本では自分を振り返るという形でも使われていると。

N.1のDAUを誇る日本市場

国定:僕にとって「究極のリアル」を感じさせる存在だったのは、これまではTwitterでした。多くのユーザーが匿名で利用していたため、実名のプレッシャーがなく、自由に投稿できる空間だったからです。だからこそ、生活者にとって最も身近なメディアとして機能していたと思っています。

そんな中でBeRealが登場したのは非常に大きな出来事でした。というのも、BeRealではユーザー全員が顔を出し、ありのままの自分を写して投稿します。つまり、自分自身を完全にさらしながら、それでも「リアル」を共有しているわけです。これは、これまでのSNSにはなかったスタイルです。だからこそ、BeRealは究極のリアルを実現しているし、究極のUGC(User Generated Contentの略。ユーザーが生成したコンテンツのこと)が自然に生まれる場でもあります。Xとは異なる形で、生活者に非常に近い感覚を持った、新しいSNSが誕生したことには大きな意味があると思います。

笹川:さらに補足すると、なんとユーザーの全体の80%が毎日投稿しているんです。匿名であれば毎日投稿するというケースもあるかもしれませんが、BeRealの場合は顔を出して、ありのままの自分を写して投稿しているにもかかわらず、非常に高い数字です。

杉原:自分の顔をほぼ同時に撮影する仕組みも、最初に見たときに驚きました。スマートフォンのフロントカメラとバックカメラ、両方を同時に使って撮影するという仕様ですよね。この設計にはどのような意図があるのか、興味があるのですが。

笹川:やはり「リアルを見せる」という点においては、自分が見ている景色だけでなく、自分自身の表情や姿も両方撮るとよいよね、という考えがあります。

杉原:なるほど。そこもリアルの一部ということですね。

笹川:はい。加えて、少し細かい話になりますが、例えばグループ写真を撮るとき、普通は撮影者自身が写真に入れないことが多いですよね。でもこの仕組みなら、撮影する本人もインカメラで同時に写ることができる。そうした点でも、友達とのリアルな瞬間をしっかり残せるというのは、個人的にもすごくよいなと思っています。

国定:先ほどお話しした「Look at me」と「Be Yourself」は、実は深くつながっていると思っています。「Look at me」のスタンスでは、自分自身や対象をいかに魅力的に見せるかが重視されますよね。でも、BeRealは「日記」のようなものなのです。日常を記録していくダイアリーのような存在なので、自分の顔も含めて、その日の出来事をメモリーとして残していくことに自然な整合性があってすごくいいと思います。

BeReal広告の主軸は「視認性」と「共感力」

杉原:とても興味深いお話ですね。ありがとうございます。それでは現在展開されている広告について、詳しく伺えればと思います。どのような内容の広告サービスを提供されているのでしょうか。

笹川:現在展開している広告は、マーケティングファネルでいうと、主にブランディングや認知(Awareness)のフェーズにフォーカスしたものが多くなっています。ただ最近では、いわゆる中間のファネル、つまり検討段階(Consideration)というところも出てきています。広告フォーマットとしては、画像や動画を活用したものが中心です。Instagramのような形で、投稿と投稿の間に表示されます。

BeReal広告の主軸は「視認性」と「共感力」

特徴的なのは、BeRealが持つ高い視認性です。例えば、他社のSNSでは、フィードが延々とスクロールできる設計になっていて、広告も次々に表示され続けます。一方でBeRealは、平均フレンド数が約30人と少人数での利用が多いため、フィードの投稿数自体が少なく、自然と流れが一度止まるのです。そのため、投稿と投稿の間に挿入される広告が、しっかりと目に留まりやすい。スパム的に流れていく広告ではなく、一つ一つの広告がちゃんと「見られる」環境が整っているのです。その結果として、ブランドリフトなどの指標でも、他のメディアと比較してよい成果が出ている実感があります。

杉原:なるほど、確かにそうなりますよね。

事例 新規層にしっかり届くプラットフォーム

笹川:事例としては、株式会社アシックスのフィード広告があります。当初アシックスのご要望としては「Z世代などの若年層にリーチしたい」「新規層の開拓を図りたい」というものでした。そこでBeRealで広告展開を行った結果、なんと広告からの流入ユーザーの97%が、アシックスの公式サイトに初めて訪れた方々だったのです。つまり、BeReal経由でこれまで接点のなかった若年層にしっかりリーチできるという証明になりました。

多くの企業が「若者にアプローチしたい」と漠然と考えていますが、BeRealは実際にその新規層にしっかり届くプラットフォームとして、非常に大きな価値を発揮していると感じています。

新規層にしっかり届くプラットフォーム

杉原:97%は脅威的ですね。どのような業界の企業がBeReal.の広告を活用されているのでしょうか。

笹川:日本で広告事業を本格的に開始してからまだ1年未満ですが、すでに200社以上の企業に出稿していただいています。その多くが、いわゆる「ナショナルクライアント」と呼ばれる大手企業です。具体的には、コスメ、日用品、食品・飲料といったカテゴリが中心です。これらの広告主の共通点としては「リーチするだけでなく、きちんと購入意向も高めたい」「しかも新規層に届けたい」といったニーズを持っている点です。そして実際に、BeRealではそのような成果が出ているケースが多くあります。

さらにBeRealでは、ユーザーへのアンケート調査も実施しています。例えば、あるクレジットカード会社から「自社ブランドは若年層にどれくらい知られているのか、肌感ではなく実態を知りたい」とご相談いただいた際には、BeRealユーザーに対して年齢別の決済手段に関する調査を行いました。その結果「A社は認知度が高い」「Bは思ったほど知られていない」「Cは認知率がわずか2%」といったように、明確な定量データが得られたのです。

杉原:それは非常に興味深いですね。世代によって印象と実態が全然違うのですね。

笹川:まさにそうです。例えば、僕の世代ではずっとテレビCMもやっている「Xカードが最強」という感覚がありました。しかしBeRealの調査では、今の若者にとって一番身近なのは某決済アプリの名前を冠したカードだったのです。理由を聞いてみると、その決済アプリを通じてお小遣いをもらったり、日常的に使っているからなじみがあるという声が多く聞かれました。大学生になってクレジットカードを作るタイミングで、そのまま親しみのあるそのアプリのカードを選ぶ、という流れがあるようです。

杉原:それは全く予想していませんでした。

笹川:そういった肌感と実態のギャップを、調査データによって可視化できるのは非常に価値があると思っています。

杉原:そのアンケートは、どういった形式で行っているのですか。

笹川:アプリ内にポップアップ形式で表示される仕組みです。下からスライドアップするように出てきます。

杉原:回答率はいかがですか。

国定:高いです。

笹川:このアンケート調査も含めたパッケージとして提供している広告メニューもあるので、興味を持ってくださる企業さんは多いですし、実際に導入していただくケースも増えています。

杉原:それは面白いですね。まさに、想定していなかったようなインサイトが得られそうです。

笹川:はい。僕ら自身も驚くような結果が出ることが多いです。

笹川氏 国定氏

クリエイティブの勝ちパターン Z世代には「広告っぽくない広告」を

岡:細かい話になりますが、訴求やクリエイティブにおいて、いわゆる「勝ちパターン」のようなものはありますか。

笹川:端的に言うと「広告っぽくない広告」が圧倒的に効果的ですね。これはどのメディアでも言われることではありますが、BeRealではその傾向がより顕著です。若者、特にZ世代は、僕らよりもはるかに速く広告を検知します。僕らが「広告かな?」と判断するよりもはるかに速いスピードで「あ、広告だ」と見抜いてスルーする力がある。というのも、彼らは物心ついたときからXやInstagramといったSNSが身近にあり、デジタル広告に常に接してきた世代だからです。

そのため、BeRealでも「いかに広告っぽく見せないか」が極めて重要です。例えば、某社のキャンペーンでは、いわゆる「バナーっぽい広告」と、ユーザーのBeReal投稿の雰囲気に寄せた「リアル風広告」の2種類を出し分けたところ、CTRがなんと10倍も違いました。

杉原:10倍とは驚きですね。

笹川:はい、それほど若い世代は敏感なのです。広告への嫌悪感があるものの、逆に言えば「自分に合っている」「リアルで好感が持てる」と感じれば、きちんと受け入れてくれる要素があります。例えば、この、とあるチョコレートのキャンペーンでも、4パターンのクリエイティブを出したところ「どれが一番クリックされたか?」という質問に正解できる人は、かなり少ないのですよ。

杉原:こういうの、当てたことがないのですよね(笑)。でもこの高校生が自分たちでも撮れそうな写真のこれですか。

笹川:正解です(笑)。実はこれが一番高いクリック率でした。というのも、それが一番高校生の日常に本当にありそうな、自然なワンシーンだったからです。逆に、いかにも広告用に作り込んだようなビジュアルは、かわいくても「作られた感」があってスルーされがちです。

杉原:そこまで違いが出ると考えさせられますね。

国定:先ほど笹川も言っていたとおり、Z世代は生まれたときにはすでにSNSが存在していた世代です。だからこそ広告に対する耐性も強く、その反動で、広告色のない「いつメンSNS」的な、身近な人だけとつながる空間に回帰している。それは、ある意味で原点回帰であり、SNSの歴史に対するアイロニーでもあると思っています。

公式アカウントで広がる世代間の接点

杉原:とても分かりやすかったです。では最後に、今後のプロダクトやサービス展開について、日本での営業戦略も含め、お話しいただける範囲でお聞かせいただけますか。

笹川:まずプロダクト面では、Z世代を中心により快適に使ってもらえるような改善を進めつつ、それ以外の世代、例えば30代以降にもリーチを広げていきたいと考えています。その一つの取り組みが「公式アカウント」の展開です。

公式アカウントで広がる世代間の接点

芸能人やアイドル、芸人の方々に参加してもらい、そこをきっかけに多様な年代のユーザーがBeRealに興味を持ち始めています。例えば、30〜40代に人気のタレントやアイドルが「ありのまま」を投稿したら、その世代のユーザーも見てみたくなりますよね。一方で、Z世代に人気のインフルエンサーが参加すれば、Z世代のユーザー体験もより豊かになります。

杉原:なるほど。公式アカウントというのは、芸能人などの個人が対象でしょうか。企業も含まれますか。

笹川:どちらも対象ですが、他のSNSと大きく異なるのは、BeRealでは当社が承認したアカウントにしか「公式バッジ」が付かないという点です。お金を払えば認証されるというものではありません。例えばファッション雑誌や、Jリーグの公式アカウントも開設していただいています。Jリーグでは現在、J2の3チームが参加していて、Bリーグとの取り組みも進行中です。選手がロッカールームやベンチから撮影した、ありのままの姿が見られるのが魅力です。

国定:面白いのは、最初は選手のことを全然知らなかったのに、フォローして毎日見ているうちに「近所のお兄ちゃん」みたいな親近感が湧いてくるのです。すると、今度長崎に出張したときに「一度試合を見てみようかな」と思ったりして、接点がどんどん広がっていくことが期待できます。

笹川:プロボクサーの那須川天心選手もBeRealを活用していて、Instagramではバッチリ決めたポーズを見せることが多いんですが、BeRealでは本当に素で(笑)。その「飾らない姿」が魅力なのですよね。

国定:BeRealはクローズドなSNSなので、基本的には拡散を前提とした設計ではありません。それでも、JリーグやBリーグのアカウントが登場すると、BeReal内の公式アカウント一覧からそのアカウントを見つけたユーザーが「これ見て!」とXなど外部SNSで情報を共有し合い、ちょっとした盛り上がりが生まれます。最近では、サッカーチームのベガルタ仙台の公式アカウントが話題になりました。「この選手が見たいからBeReal始めた」という動きも出てきていて、まさに公式アカウントがハブになっている印象です。

さらにユニークな事例としては、お笑い芸人のクロちゃんの公式アカウントがあります。X上でもクロちゃんのアカウントはすごく盛り上がるのですが、Xだと「いつどこで撮った画像なのか」が分かりませんよね。でもBeRealならクロちゃんが本当にそこにいることが分かる。その結果、SNS上で「クロちゃん捜索隊」のようなイベントが始まるという現象も出てきています。

杉原:遊び心が発揮しやすいプラットフォームということですね。

国定:そう思います。XやInstagramが本当にリアルかどうかが問われる今、BeRealは「プライベートかつリアル」を両立させている、まさに唯一無二のSNSだと感じています。タレントさん側にとっても、安心してリアルな自分を表現できるプラットフォームは実は少ないのです。BeRealでは「投稿しなきゃいけない」という設計が言い訳になることで、自然体で発信しやすい。たとえまだ有名でなかったとしても、有名だったとしても、ここで“第二のブレイク”を果たす可能性もある場所でもあると思うのですよね。

笹川:本当にカッコつけていない感じがBeRealの一番の魅力かもしれません。

インフルエンサーマーケティングの新潮流──BeUP!で広がるプレミアムな訴求

岡:今お話に上がったインフルエンサーによる投稿について伺いたいのですが、いわゆるインフルエンサーマーケティングとしての展開は、現在どのような状況でしょうか。

笹川:実際にそういった取り組みはすでに進めています。

国定:それが「BeUP!(ビーアップ)」という新たな取り組みです。BeUP!は、BeRealが認定した「プレミアムなコンテンツパートナー」との協業によって実現する、より訴求力の高い広告フォーマットです。

BeUP!で広がるプレミアムな訴求

岡:それは面白そうですね。

国定:このプランでは、制作やキャスティング費用を弊社側が負担する形になっていて、クリエイティブの重要性が増している今、非常に活用しやすい仕組みになっています。ただし、ブランドの公式アカウントで展開するのがいいのか、それとも第三者のタレントアカウントを通じて行うのがいいのか、そこは今まさに検証を進めているところです。

岡:確かに、商材にもよりますよね。

国定:おっしゃるとおりです。BeRealはある意味、Z世代にとってSauce of Trues、つまり「本当の情報源」になり得るSNSです。だからこそ、あまりにも「Look at me」的なタイアップ投稿ばかりになると、BeRealの本来の姿から逸れてしまう懸念もあります。そのため、どう見せるのが適切かは引き続き丁寧に検証していきたいと思っています。

すでに複数の企業と個別パートナーとしての協業の話が進んでおり、タレントのキャスティングに限らず、さまざまな形で展開が広がっています。例えば、文化放送とは「声優×Z世代×BeReal」というテーマでタイアップを実施中です。毎週決まった曜日に15分枠の番組と連動し、その内容をBeReal上でも展開しています。こうしたトラディショナルメディアとのコラボも、今後さらに増えていく見込みです。

岡:他にも、今後登場する予定の機能などはありますか。

笹川:はい。新しい機能開発にも取り組んでいます。BeRealは現在、投稿に撮影時間のタイムスタンプがついていますが、現在検討しているのが「場所」の概念の導入です。例えば「渋谷でBeRealを撮っている人のフィード」を見ると、みんなが渋谷でどういう楽しみ方をしているかが分かる、というものです。Instagramのような映えではなく、リアルな日常を共有し合う新しい体験になると思っています。もちろん、位置情報はユーザーがオン・オフを選べます。

岡:BeRealならではの楽しみ方が広がりそうな機能ですね。

杉原:SNSというと、どうしても「目立つこと」「映えること」が価値だと思いがちです。けれどBeRealのお話を伺って「ありのままでいること」「見せるよりも、共有すること」にこそ、これからの時代に必要なリアルがあるのではないかと感じました。Z世代の熱狂には、未来のヒントが詰まっています。彼らは、ただ「広告を避けている」のではなく、自分たちの感性や価値観にフィットするものだけを選び取っている。その感度の高さに寄り添うためには、企業も広告も、もっと“人間的”であることが求められるのだと思います。

BeRealが築こうとしているのは「誰かの特別な日常に、さりげなく寄り添うブランド」の在り方です。そこに、SNSと広告の新しい関係性があるのではないでしょうか。本日は、非常に示唆に富むお話をありがとうございました。

 

 

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