テレワーク時代のダッシュボード活用法:Unyoo.jp Online道場 Vol.1 イベントレポート

テレワーク時代のダッシュボード活用法:Unyoo.jp Online道場 Vol.1 イベントレポート

アタラ BIツール導入コンサルティングサービス

テレワーク時代のダッシュボード活用とはを語る

昨今、新型コロナウィルス感染症などの影響により、日本でもテレワークの導入が進んでいます。テレワークには通勤時やオフィスでの密を避けるというメリットはあるものの、一方で対面ミーティングとのコミュニケーション方法の違いや社員の勤怠管理のしづらさなどの課題も徐々に見えてきています。

これを受けてUnyoo.jpでは、2020年4月24日にUnyoo.jp初のウェビナー「導入の進む今だから知りたい!テレワーク時代のダッシュボード活用法」を開催しました。同イベントではデータ活用の専門家達が、ダッシュボードがテレワークにもたらす効果や活用ポイントの解説、ダッシュボードのデモンストレーションなどを行いました。

本記事では同イベントの様子を、当日使用したデモなどを交えながらレポートします。ウェビナーにご参加いただいた方は復習に利用していただき、当日ご参加いただけなかった方はこちらをテレワーク時のデータ活用のご参考にしていただけたら幸いです。


登壇者の紹介

①ドーモ株式会社 コーポレート・ストラテジー・ディレクター 兼
プリセールスソリューションズ・ディレクター
福崎 一郎氏

②アタラ合同会社 CEO
杉原 剛

③アタラ合同会社 コンサルタント
海生 怜

④アタラ合同会社 コンサルタント
寺本桂(モデレータ)

ダッシュボードがもたらす効果とは

BIの必要性

アタラ合同会社(以下、アタラ)の杉原が、自社ではこれまで数年間にわたってダッシュボード活用に取り組み、ノウハウを蓄積してきたが、社会に目を向けるとそのメリットを享受できている企業はごく一部であると説きました。さらに杉原はBI/ダッシュボード(以下、ダッシュボード)は20年以上前から存在していたが、テレワークがきっかけで、意思決定、レポーティングにあたって必須ツールとなると話しました。ダッシュボードが必要となる根拠として、杉原は以下の2点を挙げました。

 

・在宅勤務によって、必要なデータが取れないこと
・テレワークによって労働状況が見えない問題があること

 

ドーモ社におけるダッシュボードの活用事例

続いてドーモ株式会社の福崎さんが、テレワーク移行に関する自社の状況について語りました。ドーモでは社内システムと自社で用いているダッシュボード「Domo」が共にクラウドシステムであったため、自宅からもアクセスできるという点でテレワークへの移行は比較的スムーズだったと言います。ただし、社員の勤務状況や精神状態については把握しづらいため、定期的なオンライン飲み会や安否確認及び、勤務状況を確認するためのダッシュボードを今回新たに導入したそうです。

 

・社員の勤務状況の把握が難しい
・社員の精神状況がわからない

 

“dashboard_anpi”

画像提供:ドーモ株式会社
 

また福崎さんは、新型コロナウィルス感染症の現状をDomoで可視化した取り組みについても紹介しました(以下のリンクを参照)。経営者の活用方法として、ダッシュボードを社員の安全や経営のリスクヘッジに活用してほしいと福崎さんは結びました。

コロナ状況下におけるATARAでのBIツール活用

一方杉原は、アタラでの新型コロナウィルス感染症への対応を紹介。アタラでは東京都が出した新型コロナウィルス感染症に関するオープンデータをDomoに取り込んで可視化、感染者の推移を見ながら、完全在宅勤務への切り替えを決定したと説明しました。杉原自身経営者としての立場で、このような非常時の迅速な意思決定にダッシュボードは非常に役立ったと語っていました。

ダッシュボードのポイント

デモンストレーションをより深く理解するために、アタラの寺本からダッシュボードの有効活用にあたるポイントとして、コンテキスト化とアクショナブルという2つの概念について説明がありました。

コンテキスト化とはデータを基準値と比較して評価すること、アクショナブルとは定量データを基にアクションできる状態のことを指します。データ活用を始めたものの効果を実感できていない組織は、まずこの2つを徹底することで早期にビジネスインパクトが見えてくるかもしれません。ダッシュボード活用のためのポイントについては以下の記事でより細かく触れているので、確認してみてください。

“dashboard_context”

image:Unyoo.jp Online道場 Vol.1の講演資料より抜粋

“dashboard_actionable1”

image:Unyoo.jp Online道場 Vol.1の講演資料より抜粋

“dashboard_actionable1”

image:Unyoo.jp Online道場 Vol.1の講演資料より抜粋
 

テレワーク時代のチームマネジメントダッシュボード

ダッシュボード構築にあたっての背景

次にアタラの海生より、政府主導の「テレワーク・デイズ2019」の調査で挙げられた課題からダッシュボードで改善できる課題を抽出して作成したダッシュボードを紹介しました。まずテレワークで課題となっているもののうち、下図1~3はダッシュボードを活用することで改善が見込めそうだと海生は言います。

“dashboard_background1”

image:Unyoo.jp Online道場 Vol.1の講演資料より抜粋

これらをダッシュボード化するにあたって、今回のデモでは下図のようなスコープを設定しました。
“dashboard_background2”

image:Unyoo.jp Online道場 Vol.1の講演資料より抜粋

スコープ設定後にダッシュボード化し、共有するまでのフローは以下の図のようになります。
“dashboard_background3”

image:Unyoo.jp Online道場 Vol.1の講演資料より抜粋
 

ダッシュボードの説明

今回作成するダッシュボードの構成は、以下のように分かれています。

 

・単位:部署と個人
・テーマ:予実状況、労務状況、タスク状況

 

活用イメージとしては、部署のマネージャーが部署全体の各テーマ(予実状況、労務状況、タスク状況)をまず確認し、部署状況を把握した上で、個人単位の把握を進め、定量的な根拠を基に適切なアクションを取る流れです。ここでは要点に絞って、それぞれのカードの説明と着目点について説明します。セミナー動画のダッシュボードパートも合わせてご確認ください。

 

テーマ:部署の予実達成

以下のカードは、予実が達成できているか、過去実績をベースにした想定見込みの達成状況をどうかを確認できます。マネージャーはこのカードを見れば、部署単位で予実が達成できているのかを一目で把握できます。

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image:今回作成したデモカード画像

以下のカードは、個人別での予算実績と見込みの達成状況を把握できます。マネージャーは部署単位の予実達成状況と個人の実績を結びつけて、予実乖離の原因を探ることができます。

“onlinedojo1_dep2”

image:今回作成したデモカード画像

以下のカードでは、Domoの予測機能を使って、予実の達成見込みを把握することもできます(DOMOでは線形回帰や移動平均などのモデルを用意)。マネージャーはより精度の高い達成見込みを基に、乖離の解消に向けて、行動することができます。より精度の高い予測を業務に組み込む場合は、DOMOのautoml機能(機械学習の自動作成)を活用することもできます。こちらの機械学習技術はAmazonのSageMakerが使われています。


“onlinedojo1_dep3”

image:今回作成したデモカード画像
 

テーマ:部署の労務状況

以下のカードでは、フェイスカードと呼ばれるカードで、残業時間の超過割合を色で示しています。このカードをマネージャーが見れば、チームの働き方が健全かどうかが一目で理解できます。

“onlinedojo1_dep4”

image:今回作成したデモカード画像

以下のカードでは部署別、個人別の残業時間推移が確認でき、規定を超えた人はアラートを意味する赤色に色付くように設定してあります。このケースでは水谷、奥村、小島が規定の業務時間を超過しているので、マネージャーが彼らと業務状況の相談をしてあげることが必要になります。部署の事情によってアラートとなる値を手前に調整することで、業務時間を越す前にアラートが発生し、労働状況が悪化する前に改善措置をとることができます。

“onlinedojo1_dep5”

image:今回作成したデモカード画像
 

テーマ:部署のタスク状況

以下のカードでは、完了率をみることで部署としてタスクが問題なく進捗しているか、充足率をみることで部署単位でタスクが適切に配分できているかが確認できます。

“onlinedojo1_dep6”

image:今回作成したデモカード画像

以下のカードでは個人別のタスク達成状況が確認できます。青色のグラフが完了したタスク、オレンジ色が未完了のタスクを表しており、どのメンバーがどの程度タスクを積み残しているかを確認できます。

“onlinedojo1_dep7”

image:今回作成したデモカード画像

以下のカードではバブルチャートを利用し、タスクの達成率、タスクの充足率、労働時間の3軸で可視化しています。これらを可視化するメリットは、達成率と充足率のバランスを見てチーム全体のタスクを調整することで、チームのタスク改善率を改善できる点です。具体的には4象限を見ながら、マネージャーが以下の対応ができると考えられます。(あくまで一例です)

・右上:達成率と充足率が高い→理想の状態なので、引き続き頑張ってもらう
・右下:充足率が高いが、達成率が低い→タスクの振り分けが多いので、余裕のある人への振り分けを考える
・左上:達成率が高いが充足率が低い→負荷がかかっている右下の人からタスクを振り分ける
・左下:達成率と充足率が共に低い→年次に合わせた対応を考える。新人なら周りのサポートが足りていない可能性があるのでサポートを充実させる、中堅からベテランなら仕事の仕方を厳しく見直してもらうなど

“onlinedojo1_dep8”

image:今回作成したデモカード画像

用語説明
・タスク充足率:タスクの積み上げ時間/総労働時間

ここまでは部署別のデモダッシュボードを確認してきましたが、ここからは個人単位での状況をダッシュボードで確認していきます。

テーマ:個人の予実達成

以下のカードでは部署同様に予実達成、見込み達成を確認できます。

“onlinedojo1_member1”

image:今回作成したデモカード画像

“onlinedojo1_member2”

image:今回作成したデモカード画像
 

テーマ:個人の労務状況

以下のカードでは残業時間の超過割合をフェイスカードで確認できます。部署でのカードと同様に、規定値を超えると、フェイスカードの表情と色が変化します。

“onlinedojo1_member3”

image:今回作成したデモカード画像

以下のカードではロリポップチャートを使って、週単位の業務時間推移を確認できます。このデモでは個人の平均残業時間が2時間を超えた週はバーが赤色になるように設定されているため、マネージャーはこのバーを目安に指導を行います。

“onlinedojo1_member4”

image:今回作成したデモカード画像
 

テーマ:個人のタスク状況

以下のカードではタスクが問題なく進捗しているか、タスク配分が適切にできていることを確認することができます。

“onlinedojo1_member5”

image:今回作成したデモカード画像

以下のカードではタスクが遅延がしていれば、該当するタスクの行が赤く色付くように設定されています。マネージャーがクリティカルパス上にあるタスクが遅延していないかを把握するのに利用できます。

“onlinedojo1_member6”

image:今回作成したデモカード画像

以下のカードでは、タスクの完了率推移を見て、パフォーマンス状況を確認できます。マネージャーはメンバーのパフォーマンスが安定しているかを確認し、安定しない場合はその原因は何か探る必要があります。

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image:今回作成したデモカード画像

以下のカードでは、ガントチャートを使い、中長期タスクを可視化し、長期タスクとの兼ね合いを考えて、新規タスクを割り振ることができます。下記の例では4/24日時点で、株式会社ブライトのリード育成対応の未完タスクがあるので、これらの進捗を考慮した上で5月以降のタスク振り分けをマネージャーは考えないといけません。

“onlinedojo1_member8”

image:今回作成したデモカード画像
 

デモンストレーション後の議論

ダッシュボードのデモンストレーションを受けて、福崎さんから充足率と達成率といった切り口はとても良いというコメントがありました。さらに福崎さんは、充足率と達成率を可視化することでマネージャーがメンバーを管理するだけでなく、メンバーが自分の成果を定量的に評価し、行動できるようになるのではないかと言及しています。それに対し海生は、タスクの振り分け自体もメンバーがダッシュボードを見て個人でやるのが理想であると話しました。

テレワーク時代の健康管理ダッシュボード

メンタル状態の把握

テレワーク状況では、個人の健康状態の把握が一つの重要なテーマになります。杉原は、テレワーク状況下では特にメンタル面の健康状況の把握が重要であり、それらを分析する必要性を説きました。下記のチーム内コミュニケーション分析では、あるメンバーからあるメンバーに対するコミュニケーションがポジティブかネガティブか、またコミュニケーションは強いかなどを見ることができます。チーム内コミュニケーション分析は、エンゲージメント改善ツール「:We」のプロダクトデータを利用しています。

“onlinedojo1_health1”

image:今回作成したデモカード画像
 

健康管理 杉原編

メンタル状態の分析に引き続き、杉原はプライベートなデータを活用した健康管理についても紹介しました。DomoにはFitbit(健康管理にフォーカスしたスマートウォッチ)のコネクタがあるため、杉原は個人的にウォーキング、消費カロリー、睡眠時間、体重を取得して管理しているそうです。お酒好きな杉原は、飲み過ぎるのを防ぐため禁酒日を設定していると語りましたが、そのデータ取得方法はGoogle Calendarで終日予定に禁酒日を設定しDomoのコネクタで読み込むだけで集計できるという非常に容易なものです。この方法は各メンバーに出社日、自宅勤務などをGoogle Calendarに終日予定で登録してもらってコネクタで読み込むことで、勤怠管理にも転用できると言います。

“onlinedojo1_health2”

image:杉原の個人ダッシュボード画像

用語説明
・コネクター:外部データをノンプログラミングで取得するDOMOのツールのこと

 

今回はUnyoo.jp初のオンラインセミナーでしたが、皆さんのデータ活用、ダッシュボード活用の参考になれば非常に嬉しいです。

 

次回は、今回質問の多かった「ダッシュボード活用のためのデータ収集」にフォーカスしたオンラインセミナー「Unyoo.jp Online道場Vol.2」を5月22日に実施予定です。こちらもイベントレポート、動画公開予定なので、ぜひご期待ください。

 

「Unyoo.jp Online道場Vol.2」開催概要はこちら(すでに募集は締め切りました):

 

また、今回のセミナーにはたくさんの質問が寄せられていたため、別途質疑応答編の記事も公開しています。ぜひそちらもご確認ください。

 

「Unyoo.jp Online道場Vol.1 質疑応答編」はこちら:


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