BIツール Domoでデータストーリーテリングなダッシュボードを構築するポイント ストラクチャー偏:Domopalooza 2020イベントレポート

BIツール Domoでデータストーリーテリングなダッシュボードを構築するポイント ビジュアライズ編

アタラ BIツール導入コンサルティングサービス
ビジネス最適化ソリューション「Domo」を提供する、Domo社が主催するカンファレンス「Domopalooza 2020」が、3月18日にオンデマンドで開催されました。様々なセッションが開催されましたが、本コラムでは「データストーリーテリング」について紹介したいと思います。昨年のコラムでデータストーリーテリングについて紹介しましたが、本コラムではその続編となる「ストーリーテリングの構成(ストラクチャー)」について、DomoのBrent Dykes氏が語った内容をもとに、説明したいと思います。

 

※バックナンバー:


 

データストーリーテリングはインサイトからアクションにつなげる有効な手段

データ分析には複数のプロセスがあります。まずは様々なデータシステムからデータを収集(Data Collection)して加工(Data Preparation)します。そして、データを可視化(Data Visualization)し、そこから問題点などがないか探索(Data Exploration)します。幸いにも何かしらのインサイトが発見できたらステークホルダーとコミュニケーション(Insight Communication)をするでしょう。そこで同意が得られたならば改善施策を実行(Take Action)します。しかし、Brent Dykes氏は時に発見したインサイトからアクションへと実行するのに苦労することがあると述べていました。

 

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image:Domopalooza 2020の講演資料より抜粋

 

例えば、発見したインサイトから実行されるアクションが自身の役割のみで完結する場合は個々の判断で実行できるでしょう。しかし、インサイトから発見されるアクションが自身の役割のみで完結しない場合、例えば予算増加やリソースの調整、他部署との連携が必要になるケースでは様々なステークホルダーとコミュニケーションして同意を得なければなりません。そのコミュニケーションが失敗に終わった場合、アクションが実行できず、改善することができなくなると述べていました。

 

データはデータサイエンティストやアナリストなどのデータに精通した人だけが見るものではありません。特にデータに精通していないステークホルダーとコミュニケーションをする際はその人たちが理解できるものでなければいけません。そのような場合にストーリーテリングは有効な手段になります。

 

インサイトを伝える4つのステップ

インサイトを伝えるには4つのステップがあり、それぞれのステップのゴールを達成しなければいけません。そうしなければ最終的にアクションを実行することができず、価値を出すことができないと、Brent Dykes氏は語ります。

 

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image:Domopalooza 2020の講演資料より抜粋

 

まずは「ATTENTION」です。多くの人に多くの情報を共有する場合、伝えたいインサイトに対してオーディエンスの興味を引き付けられるかが重要です。次は「UNDERSTAND」です。インサイトがどのようなものなのか明確にし、オーディエンスに対して理解させることが大事になります。「REMEMBER」では、インサイトを多く共有すればオーディエンスは時々忘れてしまうケースがあります。そのため、共有したインサイトはオーディエンスに対して寄り添っていなければなりません。最後は「ACT」です。明確で正確なインサイトは各組織に行動するよう促すことができます。うまく行動に移せていないケースはインサイトが不明瞭かつ不正確な場合です。正しい行動を促すためには正しいインサイトを提供する必要があるとのことです。

 

データストーリーテリングを構成する3つの要素とそれぞれの役割

Brent Dykes氏によると、データストーリーテリングには以下3つの要素が組み合わさっているそうです。

 

NARRATIVE(物語)
DATA(データ)
VISUAL(可視化)

 

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image:Domopalooza 2020の講演資料より抜粋

 

上図のように、「NARRATIVE」と「DATA」を組み合わせることで、データの意味や物事の本質を、より明瞭に人々に伝えることでき、「DATA」と「VISUAL」を組み合わせることでデータの傾向から何が起きているのかが把握できます。また、「NARRATIVE」と「VISUAL」を組み合わせることでお互いが密接になり、より相互関係を持つことができます。そして、上記3つの要素が組み合わされば人々にモチベーション与え、行動に影響して変化を生み出すと述べていました。

 

そして、上記3つの要素を担う担当者は以下のように分類できるそうです。「DATA」はデータの収集から加工までを担う人、「NARRATIVE」はKPIとそれに対応するKAI、それらを駆使してどのようにPDCAを回しているのか把握している人、「VISUAL」はデータをビジュアライズする目的に応じて適切なチャート、デザインを選択できる人が担当するべきでしょう。

 

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image:Domopalooza 2020の講演資料より抜粋

 

前述した通り、それぞれの要素には強みと弱みがあります。これらの要素を複合することで互いの弱みを補い、相乗効果を生むことができます。下記の図はそれぞれの要素で気を付けるべき5つの点が記載されています。本セッションではこれら5つの内、1番目の内容が紹介されたので、それについて説明します。

 

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image:Domopalooza 2020の講演資料より抜粋

 

まず「DATA」においての注意点は「先入観」です。データを扱っている人は時に自身の先入観に囚われ、ミスリードを引き起こします。自身が好むインサイトを発見したらそれを詳しく精査しようとしなくなります。先入観は、時に人を愚かにするのです。Brent Dykes氏は人は先入観によって誤った推論や情報、知識にとらわれて間違った答えを出してしまう恐れがあり、注意する必要があると語りました。

 

「NARRATIVE」においての注意点はデータストーリーテリングの「ストーリー構成」です。以下の図がデータストーリーテリングでの「ストーリー構成モデル」になると述べていました。
 

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image:Domopalooza 2020の講演資料より抜粋

 

これは、「FREYTAG’S PYRAMID」と呼ばれるストーリー構成がベースになっており、「序幕」「上昇」「クライマックス」「下降」「破局」の五段階構成となっています。この構成にデータを当てはめていけば良いストーリーを構築できます。

 

まず最初の段階にある「Setting & Hook」では現状を説明(どのようなデータを使用し、何を分析しているか)するとともに、注意を引くフック(指標が上昇、減少など)を仕掛けます。「Rising Insights」の段階では玉ねぎの皮をむいていくように、インサイトを徐々に明らかにしていき、そこから「Aha Moment」ではなるほど!と思う瞬間で最も重要な要素を発見します。そして「Solution & Next Steps」の段階では「Aha Moment」から発見したインサイトに対して、改善アクションを提示します。

 

この「ストーリー構成」を意識してダッシュボードを作成すればオーディエンスの理解が高まり、アクションが実行される可能性はより高まると述べていました。

 

さらに、ピクサーのSTORY SPINEと呼ばれる大まかな物語の構成を作るのに役立つ素晴らしいストーリーテリングの型があり、データストーリーテリングの「ストーリー構成モデル」と比較することができると述べていました。

 

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image:Domopalooza 2020の講演資料より抜粋

 

これらを照らし合わせることにより、「このダッシュボードで何を伝えたいのか」が明確になるため不必要なデータを省くことができ、データストーリーテリングを構築するのに役立てることができます。

 

DATA SROTYTELLING ARC & PIXAR’S STORY SPINE

Data STORYTELLING ARC POINT PIXAR’S STORY SPINE
SETTING どんなデータを使用し、
何を分析しているかの概要
Once upon a time there was___.
(昔々、あるところに〜〜〜)
HOOK 興味を引く指標、データを設定 Every day___.
(毎日、〜〜〜)
HOOK 興味を引く指標、データを設定 But, one day___.
(しかしある日、〜〜〜 )
RISING INSIGHTS 現状の詳細や何が起こっているか Because of that___.
(このせいで、〜〜〜)
RISING INSIGHTS 現状の詳細や何が起こっているか Because of that___.
(そのため、〜〜〜)
RISING INSIGHTS 現状の詳細や何が起こっているか Because of that___.
(そのせいで、〜〜〜)
AHA MOMENT 原因から導き出した結論 Until finally___.
(ついに、〜〜〜)
SOLUTION 結論から導き出したアクションの提案 And, ever since then___.
(それ以来、〜〜〜)

 
最後は「VISUALS」についてです。ここでは、「視覚心理」に注意するべきだとBrent Dykes氏は述べています。人は、サイズや色、位置などの視覚効果により、無意識に対象に注意を向けるようになっています。「視覚認知のゲシュタルトの法則」や「無意識的視覚情報」と呼ばれるものですが、ストーリーテリングでは重要な要素の1つとなります。詳細は以下のコラムで詳しく解説しているので確認ください。

 

※バックナンバー:


 

ストーリーテリングなダッシュボードを構築する際に、多くの方は「ビジュアライズ」、「デザイン」にフォーカスしていると思いますが「ストラクチャー」もまた重要な要素の1つです。これから構築する人、すでに構築している人は自身のダッシュボードのストーリー構成を「DATA SROTYTELLING ARC」と「PIXAR’S STORY SPINE」に照らし合わせて、再度確認することをお勧めします。

 

Brent Dykes氏による本セッションの内容は、同氏の最近の著書に詳細が紹介されています。ご興味ある方はぜひ手にとっていただければと思います。

 

Effective Data Storytelling How to Drive Change with Data, Narrative and Visuals

Effective Data Storytelling: How to Drive Change with Data, Narrative and Visuals(英語版)


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