BIツール活用に向けてデータをコンテキスト化しよう:データビジュアライゼーション玉手箱 第1回

BIツールやデータ活用に踏み切れない企業の特徴:データビジュアライゼーション玉手箱 第2回

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『データビジュアライゼーション玉手箱』連載の趣旨

データは、その量も種類も日々、加速度的に増えています。どの企業もデータをうまく活用したいと考えていますが、どんなデータがあるのか、それを、どう使えばビジネスの意思決定やアクションにつながるのか、どんなKPIを追えばいいのか、など実際の現場では課題も多く、データをあまりうまく使えていないという話を多く耳にします。

データビジュアリゼーション玉手箱は、データビジュアライゼーションについて、さまざまなデータソースを取り上げたり、効果的な可視化・見える化の手法について試行錯誤した結果を共有するシリーズです。初回の今回はデータを「コンテキスト化」することについて考えてみましょう。

 

何のためのデータビジュアライゼーションか

昨今のBIツールやダッシュボードツールは機能的にとてもよくできているので、データがツールに一旦集まれば、比較的簡単に、さまざまなグラフを作るなど可視化をすることができます。

私の周りでも、手持ちのデータからこういった可視化の取り組みを始めてしまうことが意外と多いものです。これは決して悪いことではなく、自分でいろいろなデータの選び方や見方を模索する中で、わかってくることもあります。ただ、やはり、到達したい目標があって、それを実現するために乗り越えるべきビジネス課題は何か?さらに、それをクリアするためにすべきことは何か?とどんどん細かく掘り下げていく必要があります。その視点で、データを選んだり、グラフ化しないと、なんのためのビジュアライゼーションだったっけ?と思ってしまうことになってしまいます。

※参考:対談ドーモ株式会社 福﨑さんに聞く:広告運用者が意識しておくべきKPIマネジメントのコツ

あくまでも、データビジュアライゼーションは、 ビジネスにおける目標を達成する過程で、問題発生⇒原因追求⇒解決のためのアクションを導き出しやすくするためのものであるという視点に常に立ち戻って、何をそこで表現すべきかを決めることが重要です。

 

アクションすべきかを特定するデータの「コンテキスト化」

上述のように何らかのアクションが必要である、という判断をするためには、データでビジネスの健康状態を測る必要があります。

英語で”contexualize“という言葉があります。なかなか一言で言い表す言葉が日本語ではないのですが、「ある状況、イベント、情報/データを単独でなく、関連したものと一緒に見る/考慮する、ことで自らの立ち位置を明確化する」という意味になります。

この観点から考えると、以下の見方に集約されます。

 

対目標

支店毎の販売金額が見たい、と思った場合、Aのようなグラフを作りがちです。東京本社が大きくて名古屋支社が小さい、ということはわかります。これに目標金額と達成率を足したのがBのグラフです。東京本社は達成率でいうと良いわけではなく、名古屋支社のほうが進捗していることがわかります。

対目標 グラフ

これに加え、別のデータで、例えば見込み度合いの高い商談の積み上がり金額を足して達成見込みを見ることが考えられます。または、広告ビジネスや課金系ビジネスなど、定常的に日の進捗によって販売金額が積み上がっていくタイプのビジネスであれば、 ランレート(過去のデータを参考にして作成した(売上や需要などの)推計データ。単純な計算でいうと、販売金額を過去経過日数で割って1日あたりの販売金額を割り出し、残日数分を計算し足し合わせるなど)で計算することも考えられます。その場合は、日数経過率(例えば30日の月で15日経過していたら50%)を別のビジュアライゼーションで見せておくと、現在の進捗が進んでいるのか遅れているのかの判断がつきます。

 

前比

次は前比を見てみましょう。前比とは、前年比、前月比、前四半期比など現在と過去を比較するために使うものですが、これも対目標と同じで、現在のスナップショットだけを見ててもあまりインサイトは得られません。例えば、「今月、店舗での販売数が1000もあった」 とした場合、これだけを見るととても大きく見えるかもしれませんが、先月1500だったら?または前年比70%だったら?評価できない、ということになります。至極当たり前のようですが、こういうこともよく起きるのです。

前比 グラフ

今年の販売金額だけの場合がAですが、ここからわかることも少ないのはもう理解いただけるでしょう。これに加え、前年販売金額を棒グラフで、前年比を折れ線グラフで見えるようにしたものがBです。前年よりも販売金額が伸びている/落ちている商品がよくわかりますね。

 

市場・競合比

意外と見落としがちなのが、自社と市場全体や競合企業とを比較することです。「今年の売上が15%も伸びました!」とだけ聞くと、とても伸びていると錯覚しますが、自身が所属する市場や、もっとも意識している競合他社が売上を30%も伸ばしていたらどうでしょう?ちょっと考えてしまいますよね?

対市場・競合 グラフ

こちらのデータでもAを見ると後半とても伸びている、と判断しがちです。もちろん伸びてはいるかもしれませんが、Bのように競合2社と並べてみると、ウェブ訪問数がもっとも少ない(一番下)ということがわかります。

市場や競合のデータは入手しづらいものが多いのですが、そもそもデータの存在を知らなかったり、最初から「取得できない」と諦めてしまっているケースも多く見受けられます。例えばTVの視聴率データやPOSデータなどは他社ブランドのものも購入することができます。国や業界団体が公開している市場データも活用できるものはすべきです。自社でリサーチをかけてデータを定点観測する会社も多く存在します。

 

ポイントは「何か読み取れるものがあるか」と「読み解くのに時間がかからないか」

ビジュアライズしたデータが使えるものか否かの判断は、そこから「何か読み取れるものがあるか」ということと、「読み解くのに時間がかからないか」に尽きます。読み取れるものがあれば採用、なければ補助的なものとして使うか、破棄しましょう。

読み解くのに毎回ある程度の時間をかけて考えないといけない、またはわかりづらいものは、さほど長続きしません。データがあれば、さまざまなビジュアライゼーションができてしまうので、どんどん作るし、どれもとっておきたいと思うこともありますが、時間は限られていますし、それを見ることに時間を取られ、ビジネスの意思決定やアクションにつながらないとしたら、それはビジュアライゼーションする意味がありません。前述のように、なんのためのビジュアライゼーションかを常に意識して、取捨選択を繰り返してください。

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