インハウスマーケティングをとことん追求するとどういうチームができるのか:ビズリーチ山口理沙さんに聞く

インハウスマーケティングをとことん追求するとどういうチームができるのか:ビズリーチ山口理沙さんに聞く

アタラ 伴走型インハウス化支援サービス
*本インタビューは2016年1月14日に収録した内容になります

 

杉原:まずはビズリーチさんの会社概要を教えていただけますか。

 

山口:2009年にサービスを開始し、今年で7年目になる会社です。管理職・グローバル人材に特化した会員制転職サイト「ビズリーチ」などを運営しています。人材紹介会社は企業と求職者を仲介し、企業に求職者の方を紹介しますが、弊社は即戦力人材に特化した人材プラットフォームを企業に公開し、経営者や人事の方がダイレクトに、求職者にアプローチできるサービスを展開しています。

 

杉原:グループとしてはいろいろなサービスをやっていらっしゃいますよね。ここはこれと分野を決めていらっしゃるのですか?

 

山口:まず、弊社が掲げるミッションについて説明させて下さい。「インターネットの力で、世の中の選択肢と可能性を広げていく」というもので、弊社が展開しているすべての事業の根底にはこの考えがあります。

 

ビズリーチ」をはじめ、20代をターゲットとした転職サイト「careertrek(キャリアトレック)」、ビズリーチの女性版ともいえる「ビズリーチ・ウーマン」といったサービスも提供しています。

 

新しいところでは、2015年の5月に開始した「スタンバイ」というサービスがあります。これは職種、収入層などを問わずに求人データを一箇所に集積したもので、GoogleのWeb検索のように簡単に、目的の求人を検索できるようになっています。

 

杉原:分かりやすいです。では次に、山口さんの自己紹介をお願いできますか。

 

山口:2013年に株式会社ロコンドという靴の通販事業を行っている会社に、同社で初めての新卒社員として入社しました。そこで1年半、社長直下の部署で運用型広告やアフィリエイトなどのオンラインマーケティング全般を担当した後、半年間だけ株式会社モデューロというDMPのベンダーでマーケコンサルなどをしていました。その後、2015年の4月に、事業会社に戻ってマーケティングを勉強し直したいという思いで、ビズリーチに入社しました。今は「ビズリーチ」事業における運用型広告のグループリーダーをしています。やっていることは多岐に渡っているんですが、運用型広告だけでなく、社内にエンジニアやデザイナーが在籍していますのでクリエイティブディレクション、分析ツールの導入なども行っています。

 

杉原:また全部(笑)。広くやるのがお好きなんですね。

 

山口:出来ることがどんどん広がっています(笑)。マルチタスクが好きなんです。

 

杉原:元々学生の頃からマーケティング志望だったのですか?

 

山口:そんなことは全然なくて、最終的にはテレビ局に入社しようとしていました。

 

杉原:なんと。それはどこで軌道修正されたのでしょうか。

 

山口:アメリカに遊学していた時期があり、そのときにザッポスという会社を知りました。ザッポスのカスタマーファーストを徹底する姿勢に感動しまして、日本でもこのビジネスをやればうまくいくだろうなと思っていました。帰国してから色々調べた結果、同じサービスをやっていたのがロコンドで、ここのサービスに携わりたいと、手紙を送り入社しました。

 

杉原:アメリカに行ってなかったらどうなっていたでしょうね。

 

山口:たぶん報道記者をやっていると思います(笑)。

 

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杉原:それはそれで面白いかもしれませんね。事業会社を志望したときは、インハウスマーケティングを強く意識して選ばれたのですか?

 

山口:そうですね。ビズリーチに入るときは、インハウスマーケティングを意識して入りました。

 

杉原:入社時ってどんな感じでしたか? 入社してどのくらいでしたっけ。

 

山口:入社が2015年4月なので、約1年です。今はその頃と全く違う景色が見えていますね。KPIも、以前は比較的集客の入り口に近い会員登録数を見ていましたが、今は異なる指標を追っており、組織自体も大きく変わりました。

 

杉原:先ほどチームについて仰っていましたが、チーム体制を詳しく教えていただけますか?

 

山口:基本はマーケター、デザイナー、エンジニア、オペレーターで構成されているチームになっています。マーケターの中では、私のように運用型広告をやっている者もいれば、アライアンスやアフィリエイトを担当している者、またグロースハッカー的なポジションでプロダクトに関わりながら、数値を見ている者もいますね。コンテンツを複数持っていますので、コンテンツ企画を担当している者もいます。

 

杉原:テック中心のセミナーですか?

 

山口:バラバラですね。ビジネスパーソンが世の中の最新トピックスや働き方を知ることで、自らの可能性を最大化する機会をつくっていきたいと考えています。

 

杉原:デジタルマーケティングについてお話しされることもあったりするのですか?

 

山口:もしかしたらあるかもしれないです。

 

杉原:それは面白いですね。いろんな役割の方がいらっしゃると。これからも人を増やすのですか?

 

山口:増やしていきたいですね。やりたいことがたくさんあるので、もっと仲間が増えるといいなと思っています。

 

杉原:改めて伺いますが、御社は完全にインハウス体制なんですよね?

 

山口:基本は完全にインハウスですが、1媒体だけ代理店にお願いしています。

 

杉原:アタラでは完全インハウスのことをヘビーインハウスと言っていて、ストラテジー部分は全部こっちで握って、軽めの部分のレポーティングであるとか、いわゆるオペレーション的なところをアウトソースするのをライトインハウスみたいな言い方をしているのですが、限りなくヘビーに近いということですか?

 

山口:ヘビーに近いですね。

 

杉原:すごいですね。デジタルマーケティングを15年近くやっていても、予算や取り組みも大きめの会社で、本格的にヘビーインハウスを標榜しているのは、日本では数社だけでほとんど出てきていない状況だったと思っています。増えているけど、基本的にライトインハウスで留まっている感じで。ですので、即答でヘビーですと言い切ったのはすごいな!と(笑)。

 

山口:ヘビーです(笑)。

 

杉原:インハウス化でよいことって何でしょうか。

 

山口:よいと思うことは3つありまして、1つは単純にフィーが削減できるのは大きいかなと思っています。全部純粋なマーケティングコストとして、お客様の体験をよくするような、ビズリーチとお客様のきっかけをつくることができているというのが1つ目ですね。

 

2つ目は、事業の全体像や売上まで分かる人がマーケティングをやっているので、目先の利益だけでなく、中長期的な視点で設計や運用ができるなと感じます。ウェブマーケだと、その月がよければいいということが多いと思うのですが、それがないですね。

 

3つ目は、エンジニアさんもデザイナーさんも社内にいてすぐコミュニケーションが取れるので、スピードがすごく速いことです。例えば、Facebook広告などはクリエーティブの差し替えが肝だと思うのですが、弊社は週に10本以上のクリエーティブが出てくる状態になっていて、常に2日に1回入れられるくらいの本数で、今週はこういうのが効いたから来週はこういうのを出そうというように、すぐに回せる状態がつくれています。

 

杉原:それは本当に大事ですね。そうは言っても、なかなかそこまでできていないし、同じ組織の一員として、という感じではないケースがほとんどだと思うので、自分事にはできないケースが多いですよね。それができているということですね。それから2つ目に戻りますが、全部社内の数字なので、外部にこの部分が出せないというのがないわけだから、そこも大きいですね。

 

山口:そうですね。登録や購買、代理店さんだとどうしても手前の部分しか見せてもらえないためできないこともあります。でも、弊社はその後の動きも見られるので、Tableauを使って、どのキーワードや広告を経由してお客様の転職支援が出来ているのかといったところまで見ています。

 

杉原:Tableauでやってるって、これもサラッと言いますけどね(笑)。使える方が結構いらっしゃるのですか?

 

山口:はい。データサイエンティストが社内におります。簡単なものは私でもできるのですが、複雑なデータ分析は助けてもらいながら進めています。

 

杉原:いいなぁ。操作とか数字の見方とかも含めて教えてもらえるのですか。最高ですね(笑)。

 

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山口:そうですね。社内勉強会もやっています。

 

杉原:最新情報などをどう維持しているのか教えていただけますか?

 

山口:代理店さんに比べると本当に情報が少ないんですよね。

 

杉原:媒体社から直接くるケースとこないケースがありますからね。

 

山口:弊社のクレドに「できる理由から始めよう」というものがあり、できない理由はあまり語らないという人が多いので、外部のセミナーに自分からどんどん参加したり、英語がそんなに得意でなくても海外の事例を見てみたり、そういうことをする人が多いですね。社風で維持できているというのはあるかもしれません。

 

ビズリーチ社の企業理念
https://www.bizreach.co.jp/corporate_info/principles/

 

杉原:クレド、なかなか浸透しないですからね。浸透のためにいろいろ取り組んでおられると聞きました。

 

山口:あとはパートナーさん、ベンダーさんや媒体社とは、すごくいい関係を築けています。私もそうですし、他の社員もそうなんですが、パートナーさんとはお互いにメリットがあるようにしましょうというスタンスでずっとやっています。例えば、テストマーケでベータ版が出たら使わせてくださいということをいつも言っているのですが、「ちょっとやっていただけませんか」と必ず持ってきてくれますね。そうするとこちらはすぐやります、というような関係を築けています。

 

杉原:媒体社やベンダーからしても理想です。昔いた媒体社の立場で言うと、代理店さんにしても広告主さんにしても、なかなかベータ版って使ってもらえないんですよね。使わせてくださいなんて、嬉しいことだと思います。余計に早めに持ってきてくれますよね。媒体社さんとのリレーションってすごく大事だと思うんですよ。数が多いので大変だと思うのですが、媒体社さんとの窓口的なことも全部やられているのですか?

 

山口:基本はやっています。

 

杉原:すごいですね。今グループリーダーで、チームは何人ですか?

 

山口:オペレーションチームやインターンも含めると、私含め7人です。

 

杉原:それでも全部やって、メディアリレーションをして運用をしてオペレーションをしてプランニングをしてと。

 

山口:そうですね。

 

杉原:あと施策の評価はどういう風にやられているのですか?

 

山口:KPIは決められていて、追いかけていく数字があるので、まずはそこを達成できているかどうかで評価しています。

 

杉原:先ほども少し時間的な話が出ましたが、それもパッと評価して早めに効く効かないを決めるのですか? ライフタイムバリュー的に長めに見るケースもあるのですか?

 

山口:前提としてリードタイムを長く見すぎると運用型広告のよさ、例えばスピード感などが全く生かされなくなると思っています。ただ、最終的にはお客様の転職のお手伝いができたかどうかで見たいのですが、それよりももっと前段階で、転職成功と密接に関わるような指標を設けていて、そこで見ていますね。2日に1回くらいのスパンでは必ず評価して回せるような状態になっていて、定点観測的に1ヶ月に1回程度、転職成功までのデータを見て施策をどうしていくか、考えています。

 

杉原:それはマーケティングチーム内で完結している感じですか?

 

山口:データサイエンス部と協力しています。

 

杉原:いいですね。あとテクノロジー、エンジニアの方の関わり方も気になるのですが、何人くらいいらっしゃって、どういうことを主にやっていらっしゃるのですか?

 

山口:マーケティング部の仕事を担当してくれているエンジニアは2人です。API連携とか、Tableauを使用するためのデータの整備などを一緒にやってくれます。あとは自社でパラメーターを発行するツールを作っていまして、オンライン広告に必要なツールを、開発してくれています。

 

杉原:それ売れますね(笑)。

 

山口:本当に売れると思います。ちょっと言っておきます(笑)。そのツールで全てのキャンペーンや広告グループを保管しているイメージです。

 

杉原:TableauやAPIの話が出ましたが、媒体社ごとのAPIも活用されているのですか?

 

山口:そうですね。コストデータを入れたりしています。今は実際に走っているものと走っていないものもあり、まだ途中という感じですが、インプレッションやコストなどを全部Tableauに入れていきたいというのが将来的なゴールです。

 

杉原:コストデータを引っ張ってくるのが中心ですか? 入札回りやクリエーティブ入稿のあたりは?

 

山口:そこまでできていないですね。それも今作ろうとしていて、先ほどのパラメーターの発行ツールから各媒体の入稿表が出てくるといった状態を作ろうとしています。データを落とすだけですぐ入稿できるという構想を練っています。

 

杉原:なるほど。テクノロジーの部分に関してもやはり媒体社が増えていて、APIを使うというのはもちろんメイクセンスはするのですが、一方で、一つ一つが複雑でアップグレードが早いじゃないですか。そこも含めて自社でコミットメントしていると捉えて大丈夫でしょうか。

 

山口:大丈夫です。

 

杉原:素晴らしいです。

 

山口:なかなかできないですよね。この前もすぐ仕様が変わって「あれ? 数字が取れてない」と焦りました。

 

杉原:慌てて追いかけるしかないんですけど。それでもやるのですね。

 

山口:やります。弊社の文化的に全部インハウスでやるんだと、基本はコミットしていて、外注をせずに全部の基盤を整えてくれていますね。

 

杉原:今山口さんがやりたいこと、課題に思っていること、興味持っていることは何かありますか?

 

山口:たくさんあります。少しずつ始まっているのは、ビズリーチに登録する方はキャリアへの感度が高い方が多いのですが、転職意向が高いかというと恐らくそうではないんですよね。そういう方々と、どのようにご自分のキャリアを考えていくのか、一緒に考えていきたいと思っています。転職という転機だけではなくて、キャリアについてもっと考えられるようなプラットフォームに、ビズリーチがなれたらいいなと考えています。

 

杉原:今多岐に渡っていろんなことをしていらっしゃいますが、この先キャリア的にどうしていきたいというのはありますか?

 

山口:プロダクトマネージャーのような立場になってみたいです。今は集客がメインなので、もう少しプロダクトに寄って設計などができるようになりたいと思っていて、将来的には杉原さんのようにマーケティングコンサルとして、集客もできるしプロダクトも見られるようになりたいと思っています。

 

杉原:全部ご経験されたらそれこそ最強ですね。集客の部分の経験を持ってやるのとそうじゃないのは全然違いますもんね。いい流れですね。仲間も増やす方向とのことでしたが…。

 

山口:人一緒に働いてくれる仲間は絶賛募集中です。特に広告を経験されている方に来ていただけると嬉しいです。

 

杉原:これはという条件はありますか?

 

山口:社員には自分の意思やビジョンを明確に持っている者が多いので、そういう方だと嬉しいです。

 

杉原:会社の文化であるとか、クレドに沿って動ける人と。

 

山口:はい、そうですね。

 

杉原:でもいろんなことができる環境で、いい経験も積めるし、純粋に楽しそうですよね。本日はどうもありがとうございました。

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