Microsoft 広告について掘り下げる連載「Microsoft 広告アカウントマネージャーに聞く」。前回の6月アップデートに続き、第30回となる今回は2025年8月5日に発表された最新の機能追加・改善点をご紹介します。
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目次
インプレッションベースのリマーケティングリストを複数キャンペーンから構築可能に
今月の注目アップデートは、最大20のキャンペーンまたは広告グループを活用して、インプレッションベースのリマーケティングリストを作成できるようになった点です。
これにより、消費者ファネル全体にわたる包括的なオーディエンスターゲティング戦略が可能となります。
- 複数キャンペーンから作成する場合、一つでもオーディエンスキャンペーンを含んでいればすべてのキャンペーンタイプで利用可能
- 含まない場合はオーディエンスキャンペーン内でのみ利用可能
オーディエンス広告のライフタイム予算がグローバル提供開始
オーディエンスキャンペーンでは「ライフタイム予算」が世界中で利用可能になりました。一定期間にわたる総予算を設定することで、配信ペースと成果の最適化を安定的に実現できます。
従来の「日予算」を利用する場合でも、キャンペーンレベルで開始日・終了日が指定可能となり、柔軟性が高まりました。

オーディエンス広告におけるキャンペーン予算設定
画像引用元:Impression-based remarketing updates and other product news for August
オーディエンスプランナーが大幅アップデート(ネイティブ広告向け)
オーディエンスプランナーも刷新され、世界中で利用可能になりました。新デザイン・精度向上・予測機能強化により、計画の確実性が向上しています。今後はディスプレイ広告やオンライン動画広告にも対応予定です。

ネイティブ広告向けオーディエンス プランナー
画像引用元:Impression-based remarketing updates and other product news for August
モバイルアプリ単位でのレポートが可能に
これまでアプリストア単位でまとめて表示されていたレポートが、アプリごとに個別表示されるようになりました。

アプリごとに確認できるようになったレポート画面
画像引用元:Impression-based remarketing updates and other product news for August
- アプリ単位の成果を確認可能
以前はplay.google.comやapps.apple.comといったストア単位でしか除外設定ができませんでしたが、今後はアプリごとに成果を見ながら柔軟に除外設定ができるようになりました。 - 高品質な在庫を逃さず活用
例えばCandy Crush Sagaなど、King Gamesの新しいオーディエンス広告枠にも配信できるため、これまで一括除外で取りこぼしていた在庫にもリーチ可能になります。
対象はオーディエンス広告だけでなく、検索・PMAX・ショッピング・アプリインストール・宿泊広告にも適用されます。
Performance Max(PMAX)の最新アップデート
ホリデーシーズンを前に、PMAXキャンペーンで新たなレポート機能や管理機能が追加されました。
- ディスクレーマー広告のサポート開始
- オーディエンスインサイト、検索語句、アセット別レポートの提供
- インプレッションシェア・クリックシェアなどの「声量指標」が数週間以内に展開予定
- 新規キャンペーンでも「予算提案・成果予測」が利用可能に
さらに「新規顧客獲得目標」機能がクローズドβとして提供開始されています(購入コンバージョン利用広告主のみ)。今後は実験機能、チャネル別レポート、ネガティブキーワード管理なども計画されています。

アプリごとに確認できるようになったレポート画面
画像引用元:Impression-based remarketing updates and other product news for August
ショッピングキャンペーン診断機能が改善
ショッピングキャンペーンでは、新しい配信ステータスがUIに追加されました。
「商品オファーが見つからない」「ターゲット商品なし」などの表示とともに推奨解決策も提示され、迅速に問題解決ができます。
概要ページには「キャンペーン診断タイル」も新設され、より明確な改善アクションが可能になります。
UETコンセントモード対応:推定コンバージョン
最後に発表されたのが、UETコンセントモード向けの「推定コンバージョン」です。
- 改善された計測:同意が得られない場合の失われたコンバージョンを推定
- 最適化の向上:入札アルゴリズムに使うデータ精度が向上
- プライバシー対応:ユーザー選択を尊重しながらインサイトを獲得
対象はEEA(欧州経済領域)、スイス、英国の広告主です。
今回の発表についてのコメント(中里)
全体として、今回のアップデートは「広告運用者の実務に寄り添った改善」が多く見られました。
特にインプレッションベースのリマーケティング強化は、これまで部分的にしか活用できなかったオーディエンスデータをより横断的に使えるようにしており、戦略設計の幅が広がる印象です。オーディエンス広告のキャンペーン予算設定も、日予算との使い分けによってより柔軟に配信をコントロールできるようになることは、現場にとって大きなメリットでしょう。
個人的には、UETコンセントモード対応の推定コンバージョンは、今後ますます厳しくなるプライバシー規制の中で広告効果をどう測定するか、という業界共通の課題に対する重要な一歩だと捉えています。こうした流れが日本市場にもどのように展開されていくのか、引き続き注目していきます。
次回のアップデートは2025年9月初旬以降に発表予定とのことです。
Unyoo.jpでは、引き続きMicrosoft 広告のアップデートに注目してまいります。