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「丸投げ」では失敗する。インハウス化を成功させる組織人材設計の秘訣

「丸投げ」では失敗する。インハウス化を成功させる組織人材設計の秘訣

デジタルマーケティング領域では、広告運用を中心に「インハウス化(内製化)」を検討する企業が増えています。一方で、体制づくりを担当者任せにしてしまった結果、属人化や現場の疲弊を招き、期待した成果につながらないケースも少なくありません。アタラ株式会社が開催したオンラインセミナーでは、100社以上の支援実績に基づいた「インハウス化成功のための5つの視点」について解説。第2回となる今回は「組織・人材編」として、インハウス化を“組織として機能させる”ために押さえるべき考え方を解説しました。

こんな人におすすめ

  • 広告運用のインハウス化を検討している
  • AIを活用したインハウス体制を模索している
  • マーケティングのインハウス化に当たって必要な知見がない
  • 広告運用業務(予算調整・入札調整・入稿・レポーティング・資料作成)を自動化したい

インハウス化を「人材・組織育成」から捉える

インハウス化の成否は戦略・目的だけではなく、それを担う組織と人材設計に大きく左右されます。専任・兼務の整理、役割分担、意思決定ラインが曖昧なまま進めると、独自運用が増えたり、現場負荷が高まったりして、内製化が形骸化してしまうことがあるためです。

インハウス化を検討する際には、七つの観点が必要であり、そのうちの一つが「人材・組織育成」です。人材・組織育成を目的としたインハウス化では、コスト削減や手数料の圧縮といった短期的なROIよりも、社内に知見を蓄積し、施策のスピードや精度を上げ、会社の成長につなげることが中心的な狙いになります。

インハウス化を「人材・組織育成」から捉える

インハウス化を検討する具体的な「きっかけ」について例を見てみると、社内メンバーにデジタルマーケティングの素養を身に付けてもらい、得た知識をもとに新たな施策や企画を生み出せるようにしたい、という期待が挙げられます。また、代理店出身者の採用が増えている状況を背景に「経験者を迎えたことで内製化を進められるのではないか」と考えるケースもあります。さらに、KPI定義や指標設計が代理店依存になっており、社内に知見が残らないという課題意識から、インハウス化によって資産を社内に残していきたい、という動機も示されました。

やってはいけないのは「OJT前提の丸投げ」

一方で、人材育成を目的に掲げながら失敗しやすいパターンとして非常によく見られるのが「OJT前提の丸投げインハウス化」です。運用を代理店から自社へ移管すること自体は“仕組みとしては”実現できても、実際に運用を担うのは社内の人です。その人に業務を丸投げしてしまうと、単に作業が移っただけになり、本来の目的である知見の蓄積や活用が進みません。

丸投げのリスクとしては、教える人がいないことで学習コストが増える、担当者が抱え込むことで残業が増える、期待したアウトプットが出ない、といった点が挙げられます。これに対する打ち手は、教育設計と外部の伴走支援を前提に、段階的に知識のインプットと実践経験を積ませていくことです。インハウス化を組織として機能させるには、担当者任せにせず、組織的にバックアップする体制づくりが必要なのです。

アタラが定義する「インハウス体制」と必要な役割

アタラでは、インハウス体制のあるべき姿を「変化に適応する柔軟な組織能力を持つこと」と定義しています。単に外注をやめるのではなく、環境変化に合わせて意思決定し、運用を改善し続けられる状態を目指すという考え方です。その上で、伴走型インハウス化支援を提供するアタラの役割は「組織に適応力を与え、外注費を適正化すること」になります。

変化に適応する柔軟な組織能力を持つには、インハウス化に当たって、どんなことをしなければならないのか、またどんな人材・役割が必要かなのを見極めなければなりません。

デジタルマーケティングを内製化する際に担うべき業務は多岐にわたります。完全外部委託の場合、Web解析ツールの導入、競合・市場調査、ペルソナ設定、テスト設計、広告運用、レポーティングなどを代理店側が担っていることが多い一方、内製化を進めるとこれらを自社で巻き取っていく必要が生じます。そのため「最初から担える人材をアサインできるか」、難しければ「徐々に社内の役割を増やしていく設計」が重要になります。

アタラが定義する「インハウス体制」と必要な役割

広告運用のインハウス化に必要な役割としては、プロジェクトマネージャー、広告運用者、デザイナー、エンジニア、ダッシュボード構築者が挙げられます。とりわけプロジェクトマネージャーと広告運用者は必須です。予算規模や時期によって人数の最適解は変わるものの、組織として推進するならば、特定個人に任せきりにせず、複数人で知見を創出していく発想が求められます。

アタラが定義する「インハウス体制」と必要な役割

体制設計は軸の切り方で変わる

体制設計の視点としては「業務内容」と「担当媒体」の2軸が考えられます。プランニング、入稿、運用、レポート作成、分析といった“機能”で分けるのか、Google、Yahoo、Metaなどの“媒体(チャネル)”で分けるのか。どちらを軸に役割を切るかが、運用効率と意思決定スピードを左右します。

体制設計は軸の切り方で変わる

では、代表的な体制の例を二つみてみましょう。なお、体制に唯一の正解があるわけではなく、組織規模、人材レベル、目的に応じて設計すべきであり、ここで示したものはあくまで一例にすぎません。

体制例1:業務分担型(戦略・分析を一元管理する)

一つ目の例は「業務分担型」です。経験のある担当者Aがプランニングと分析を担い、意思決定を行います。担当者B・Cは媒体を分担し、入稿から運用、レポート作成といった実務を担当する構成です。未経験者が一定数いるケースでは、この形が現実的になりやすいです。

体制例1:業務分担型(戦略・分析を一元管理する)

体制例2:媒体担当型(媒体オーナーがPDCAを回す)

二つ目は「媒体担当型」です。担当者が媒体のオーナーとして責任を持ち、プランニングから分析まで一貫して対応する設計です。例えば予算規模の大きい重要媒体には経験者を配置し、ディスプレイやSNSなどを別担当が持つといった割り当てが想定されます。

体制例2:媒体担当型(媒体オーナーがPDCAを回す)

採用・育成を見据えた「人材要件」とは

体制を社内メンバーだけで賄えない場合、新規採用も選択肢になります。役割に応じた人材要件は以下のとおりです。

プランニング・分析担当

一定の経験が必要で、広告運用の実務経験に加え、事業目標を踏まえた戦略設計や媒体横断での改善方針策定ができることが求められます。求人の目安として、年収600万円以上、広告運用経験3年以上、実装から改善まで一貫して担当した経験などが必要です。また、分析結果に基づく改善方針の策定や予算配分の最適化、オペレーション担当への具体的な指示管理など、チームで成果を出す前提のスキルが重要になります。

入稿・運用・レポート作成担当

戦略設計よりも正確な実装と定型業務を安定的に実行できることが重視されます。媒体経験があれば望ましいものの、指示に基づき着実に運用とレポート対応ができることがポイントです。未経験者をアサインする場合は、プランニング担当が業務を整理し、実務担当が実行する形が理想的です。

段階的インハウスの考え方

インハウス化のゴール設定についても違いとメリット、デメリットを把握しておく必要があります。「全てを自社で完結する」いわゆる“ヘビーインハウス”を目指す企業は多いものの、そこに至るには段階が必要です。業務が多岐にわたるため、まずは一部領域から内製化し、戦略やデータオーナーは社内で持ちながら、作戦・戦術・運用の一部は外部パートナーに任せ、徐々に社内の担当領域を増やしていくのがスムーズな進め方でしょう。

段階的インハウスの考え方

社内スキルが一部不足している場合は、外部伴走を活用し、育成と仕組み化のスピードを上げることも有効な選択肢となります。


このように、インハウス化を検討する際は「担当者に任せる施策」ではなく「組織能力として育てる取り組み」と捉え直し、役割設計と意思決定ライン、育成と伴走、そして段階的な移管計画をセットで考えることが重要です。

アタラでは、企業ごとの課題に応じたカスタマイズされたインハウス支援を提供しています。インハウス化のご相談、具体的な施策立案などについては、ぜひお気軽にお問い合わせください。

※本記事の内容、登壇者の肩書きなどはセミナー実施時のものです

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