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AI時代に見直すべき広告×データ活用―自動化依存から脱却する広告主の新戦略―:セミナーレポート

AI時代に見直すべき広告×データ活用 自動化依存から脱却する広告主の新戦略

デジタルマーケティングの最前線で何が起きているのか。急速に変化するAI時代において、企業はどのようにマーケティング戦略を再構築すべきなのか。

本セミナー「AI時代に見直すべき広告×データ活用―自動化依存から脱却する広告主の新戦略―」では、代表取締役CEO杉原とストラテジックプランニング部長の小湾が、デジタルマーケティングの最新動向と戦略的アプローチを詳細に解説しました。

こんな人におすすめ

  • AI時代の広告・マーケティング戦略に不安や課題を感じている
  • 広告運用の成果は出ているのに、事業成長につながらず悩んでいる
  • 広告運用の“外注頼み”から脱却し、インハウス化を検討している

なぜ今、広告主が“戦略の再設計”を求められているのか?(杉原)

まずは杉原より「なぜ今、広告主が“戦略の再設計”を求められているのか?」と題し、サードパーティCookie騒動とその後の状況、さらにはAI時代におけるデジタルマーケティングの最新トレンドについて語りました。

サードパーティCookie騒動のその後

サードパーティCookieの廃止、AI検索の台頭、そしてAIエージェントの急速な進化。デジタルマーケティングの最前線で起きている変化は、かつてないスピードで進行しています。これらの変化は、企業のマーケティング戦略の根本からの見直しを迫っています。

サードパーティCookieの動向

2017年ごろから始まった各国の法規制とプラットフォーム大手の自主規制は、デジタルマーケティングの様相を大きく変えました。特にGoogleのChromeブラウザにおけるサードパーティCookieの扱いは、業界に大きな影響を与えてきました。

転機となったのは、2024年4月22日、GoogleがサードパーティCookieの廃止を撤回したことです。一見すると大きな変化がなくなったように見えますが、実際にはGoogleやFacebookなどのプラットフォーマーの優位性をさらに強固にする結果となりました。

特に注目すべきは、すでに進行中の「Cookieレス」の現状です。日本では、iOSのシェアが7割近くを占めており、すでに多くのユーザーがCookieレス環境で行動しています。この状況は、スマートフォン経由で顧客を獲得する企業にとって、重要な示唆を含んでいます。

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例えば、Cookieが使えるブラウザと使えないブラウザの利用者属性は大きく異なります。iPhoneユーザーは、年収が高く、可処分所得(手取り収入)が高い傾向にあり、顧客単価やコンバージョン数も上回っています。つまり、クッキーレス環境は、むしろ質の高い顧客層にアプローチできる可能性を秘めているのです。

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デジタルマーケティングの三つのトレンド

トレンド1:AI検索

AI検索の進化も、マーケティング戦略に大きな変革をもたらしています。Googleの検索戦略は、かつての「できるだけ早く外部サイトに誘導する」から「AIオーバービューで直接情報を提供し、必要に応じて再検索を促す」モデルへと変化しています。

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消費者行動も劇的に変わりつつあります。ChatGPTなどのAIツールで事前に情報収集を済ませ、その後に特定のブランドで具体的な検索を行う傾向が強まっています。これにより、一般的な検索キーワードでの広告出稿機会が減少し、ブランド検索にシフトしていく可能性が高まっています。

トレンド2:AIエージェント

AIエージェントの進化も、マーケティングの未来を大きく変えるでしょう。単なる対話ツールではなく、ユーザーの過去の会話、タスク履歴、好みや意図を記憶し、外部データベースと連携して自動的に施策を実行できるようになっています。

2025年5月に実施されたGoogle Marketing Liveでも、Google 広告にエージェント機能が実装されることが発表されました。これは、AIがマーケティングの上流から施策レベルのあらゆる領域にまで浸食していく可能性を示唆しています。

トレンド3:エージェンティックコマース

最後に、エージェンティックコマースの台頭も見逃せません。完全自律型のショッピングAIが、ユーザーの代わりに商品を探し、購入を行う時代が近づいています。広告主は、このAIエージェントを「新しい顧客」として迎え入れ、デジタル棚の最適化や、独自のAIエージェントでの対応が求められるでしょう。

杉原はまとめとして「AI時代のマーケティング戦略やプロセスは根底から変わりつつあり、データマネジメントとAIとの共存が重要になる」と指摘。同時に、人間とAIの協働体制の構築が急務であることを強調しました。


データ活用の再設計 今こそ見直す全体像と戦略設計(小湾)

次に小湾が、こうしたトレンドを踏まえ、広告主が今するべきことは何か「データ活用の再設計 今こそ見直す全体像と戦略設計」と題して語りました。

運用型広告のよくある課題とその根本原因は?

デジタルマーケティングの成功は、もはや単純な広告運用では達成できません。全体最適と戦略的アプローチが、かつてないほど重要になっています。

多くの企業が直面している課題は、以下の3点に集約されます。

  1. CPAは維持されているが、事業成長が停滞している
  2. レポートの数字が次の施策につながらない
  3. 支援会社への丸投げにより、社内ノウハウが蓄積されない

これらの課題の根本原因は、計測とデータ整備の不十分さにあります。多くの企業が、媒体コンバージョンやCPAといった表面的な指標にとらわれ、事業成長の本質を見失っているのです。

課題解決のために今やるべき三つのポイント

重要なのは、広告のゴールと事業のゴールを一致させることです。例えば、商談数や顧客lifetime value(LTV)、来店数の増加といった本質的な目標を見据えずに、広告管理画面上のコンバージョン改善のみに注力しても、真の成長は望めません。

今やらなければならないことは、以下の三つにまとめられます。

  1. 計測とデータの整備
  2. 媒体とクリエイティブの最適化
  3. 実行体制の構築

ポイント1:計測とデータの整備

コンバージョンAPIや拡張コンバージョンの導入により、計測精度は向上します。しかし、そのために多くの企業が「計測精度の向上自体を目的化してしまう」という落とし穴に陥っています。単に数字が改善しても、実際の事業成長につながらないケースが後を絶ちません。

データ活用の真の価値は「可視化」ではなく「施策への転換」にあります。具体的には以下の三つのアプローチが重要です。

  1. 導入後の変化を詳細に分析する
  2. デバイスやOSごとの伸び率を確認する
  3. 新規ユーザー獲得の効果を検証する

また、データ活用の高度化には、三つの重要な視点があります:

  1. 数から価値へ:単なるコンバージョン数ではなく、そのコンバージョンがもたらす価値を評価する
  2. 点から線へ:個別の施策データではなく、顧客行動全体を俯瞰的に捉える
  3. 管理画面から事業KPIへ:広告指標から真の事業成果へ

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特にBtoBマーケティングでは、資料請求一つをとっても、役職者と担当者では期待される価値が大きく異なります。登録内容に応じた重み付けが重要になるのです。

ポイント2:媒体とクリエイティブの最適化

メディア選定においても、GoogleやMetaに100%依存するのではなく、多様なメディアの可能性を探る必要があります。Uber広告やジモティー広告など、新たなプラットフォームの可能性も積極的に検討すべきでしょう。

ポイント3:実行体制の構築

最終的に目指すべきは、支援会社への「丸投げ」モデルから、インハウス型の戦略的マーケティング体制への転換です。データのオーナーシップを取り戻し、意思決定のプロセスを内製化することが、これからの企業に求められる姿勢なのです。

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まとめとして、小湾はマーケティング支援は「おまかせ」から「共創」の時代へと強調しました。


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※本記事の内容、登壇者肩書きなどはセミナー実施時のものです

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