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LINEヤフーに聞く:Yahoo!広告 スクリプトが切り開く広告運用自動化への第一歩

LINEヤフーに聞く:Yahoo!広告 スクリプトが切り開く、広告運用自動化への第一歩

LINEヤフー株式会社が提供するYahoo!広告 スクリプトは、広告運用の現場において、開発リソースに乏しいチームや非エンジニアの運用者が業務効率化の手段として活用できるツールです。JavaScriptを用いた運用支援ツールでありながら、サンプルスクリプトの活用やGoogle スプレッドシートとの連携など、実装のハードルを下げる工夫が多数備わっているのが特徴です。

今回は、Yahoo!広告 スクリプトの開発・マネジメントに携わる大橋恒平さん、庄司正さんに、実際の活用事例からまずは使ってみるためのヒントまで、実務視点で深堀りしました。聞き手は、普段からYahoo! スクリプトをよく活用しているアタラの星野です。

こんな人におすすめ

  • 広告運用の自動化に興味がある非エンジニア
  • 日々の定常的な広告運用作業に課題を感じている
  • 広告運用におけるミスや負担を減らしたい

話し手
LINEヤフー株式会社
コーポレートビジネスカンパニー マーケティングPF統括本部 広告開発本部 リーダー
庄司正さん

コーポレートビジネスカンパニー マーケティングPF統括本部 広告企画本部 リーダー
大橋恒平さん

聞き手
アタラ株式会社
シニアコンサルタント
星野理人

Yahoo!広告の各種作業を自動化。非エンジニアも使える「Yahoo!広告 スクリプト」

星野:まずは、大橋さん、庄司さんの自己紹介をお願いします。

大橋:私は新卒でヤフーに入社し、現在16年目です。開発部門でキャリアをスタートしました。最初に関わったのは、Yahoo!プレミアム広告という予約型広告の前身となるプロダクトの開発です。その後、プロダクトマネージャーになり、主にDSPサイドで配信周りのプロダクト管理やデータ関連、CMSの領域など、デマンドサイドの領域を広く担当してきました。 運用型広告にも携わるようになったのが、2019年頃で、予約型と運用型のプラットフォーム統合のタイミングでした。

現在はDSPサイドの広告管理ツールや配信におけるデータ活用などの領域を対象に、プロダクトの企画・運用を担うチームのマネジメントを行っています。

LINEヤフー 大橋恒平さん

LINEヤフー 大橋恒平さん

星野:幅広く経験されているのですね! 庄司さんもお願いいたします。

庄司:私は他社でエンジニアの経験を積んだ後、2017年に中途でヤフーに入社、当時YDN(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)と呼ばれていたディスプレイ広告のバックエンドシステムの開発を担当していました。その後、お客さま向けの外部公開APIの開発に携わるようになり、マネージャーになりました。そこからはYahoo!広告 APIを中心に開発に携わり、1年ほど前からYahoo!広告 スクリプトも私の担当領域に加わりました。

現在、広告開発本部という開発組織に所属し、Yahoo!広告 スクリプトやYahoo!広告 APIといった機能の開発を担当するチームのマネージャーを務めています。

LINEヤフー 庄司正さん

LINEヤフー 庄司正さん

星野:では、Yahoo!広告 スクリプトについて教えていただければと思います。そもそも、どのようなツールなのでしょうか。

大橋:Yahoo!広告 スクリプトは、Yahoo!広告の入稿や設定変更、レポート作成などの作業をJavaScriptを使って自動化できる運用支援ツールです。

スクリプトと聞くと、開発経験のない方にはなじみが薄いかもしれませんが、弊社で提供しているサンプルスクリプトを使うことで、基本的な機能をご利用いただくことが可能です。

同様の自動化はYahoo!広告 APIでも実現できますが、Yahoo!広告 スクリプトの場合は、管理画面から直接利用できるという特徴があります。そのため、開発環境を準備する必要がなく、お客さま自身で手軽に業務の自動化や柔軟なカスタマイズができる点が、大きなメリットだと考えています。さらに、Yahoo!広告 スクリプトには独自の機能として、Google スプレッドシートやYahoo!天気・災害などのサービスとの連携機能もご利用いただけます。

星野:先ほど「Yahoo!広告 API」という言葉も出てきましたが、どういうものなのでしょうか。

大橋:Yahoo!広告 APIは、企業と弊社の広告システムをつなぐインターフェースで、広告主の運用自動化やシステム化を支援するための機能を提供しています。主にエンジニアや開発担当の方が対象です。

星野:Yahoo!広告 スクリプトは、開発者の方が使うケースもある一方で、日常的に管理画面やエディターで広告運用をされている方、つまり非エンジニアの方も対象になってくる、ということですね。

大橋:はい、そのとおりです。

広告運用者の「困った」を解決するサンプルスクリプトも広く公開

星野:スクリプトと聞くと、非エンジニアの方は少し尻込みしてしまうかと思いますが、貴社のサイトではさまざまな情報発信がされていますよね。

大橋:弊社の「LINEヤフー for Business」では、非エンジニアの方にも「どんなことができますか?」という機能紹介だけでなく、「こんな課題を抱えていませんか?」という視点から、それに対するソリューションとしてYahoo!広告 スクリプトの活用方法をご案内しています。日々の運用の中で何かお困りごとがあれば、ぜひ一度ご覧いただければと思います。

LINEヤフー for Business のページ

LINEヤフー for Business のページ。

星野:LINEヤフー for Businessでは、広告運用者の“ジョブ軸”、つまり「何に困っているのか」という視点から、具体的にどう活用すればいいのかがよく分かりますよね! 記事の執筆もスクリプトのマーケティングチームの方が担当されていたり、あるいは開発チームの方が書かれていたりと、いわば「御社のお墨付きのスクリプト」が紹介されている印象です。

庄司:そうですね。どうしてもコーディングを伴う部分があるので、基本的には開発チームと一緒に作っています。お客さまの声を直接聞きながら、一緒に「これ困ってるんだけど」といった課題に向き合って、「じゃあこういうふうに解決していきましょう」と寄り添うスタンスで取り組んでいます。そういった意味で、開発チームとの協働による“お墨付き”といえる内容になっています。

サンプルスクリプトが掲載されている「Developer Center」のサンプルライブラリのページ。

Google スプレッドシート連携でより便利に運用効率化を実現

星野:Yahoo!広告 スクリプトを活用することで得られるメリットについて改めて教えてください。先ほどもお話に出た「お困りごと」に関して、具体的にどのような課題が解決できて、運用者がよりハッピーになれるのでしょうか。

大橋:最大のメリットは、定常的に発生する作業を自動化できる点です。これにより、運用の効率化が図れるというのが最も大きな利点だと考えています。

また、処理内容はJavaScriptで記述しますが、初めての方には弊社が提供しているサンプルスクリプトをご利用いただけますし、より高度な活用をしたい方は、ニーズに応じてカスタマイズも可能です。これにより、きめ細やかな制御や自動化が実現できます。

さらに、Google スプレッドシートとの連携もできるため、データ管理やレポート出力などの面でも活用の幅が広がるのは大きなメリットだと思います。

星野:Google スプレッドシートと連携することで、便利さが格段に広がったという印象はあります。スプレッドシートも含め、スクリプトは実際にはどのように使われているのでしょうか。

庄司:指摘のとおりYahoo!広告で出力したデータをGoogle スプレッドシートに連携して活用されているケースが非常に多いです。Developer Centerのサイトで事例を複数紹介しているのですが、スプレッドシートを起点に、他のGoogleの機能や外部ツールと連携できる仕組みにもつなぎ込めるので、その柔軟性が大きな魅力の一つになっていると思います。実際に、そうした用途で多くのお客さまにご活用いただいているようです。

スプレッドシートの事例集。

スプレッドシートの事例集。

星野:私が担当しているWeb担当者Forumの連載「コピペでOK! スクリプトで広告レポートを自動作成」でも取り上げているのですが、まずレポート作成の自動化は、Yahoo!広告 スクリプトの非常に分かりやすい活用例だと思っています。

※参考リンク:Web担当者Forum

Yahoo!広告 スクリプトのリファレンスを見ると、取得できる指標が非常に豊富に用意されていて、それらをスクリプトで指定すればスプレッドシートにデータを出力できます。そのデータを運用者の方が日々使っている進捗管理用のシートなどに加工すれば、「1日あたりどれくらい予算を使えばいいか」なども自動で算出できるのです。

Developer Centerのリファレンス。Interface ReportDefinitionServiceのページではレポート定義の取得および追加・削除のAPIが紹介されている。

Developer Centerのリファレンス。Interface ReportDefinitionServiceのページではレポート定義の取得および追加・削除のAPIが紹介されている。

最近公開された事例では、その算出された日予算をもとに、今度はYahoo!広告に自動で入稿する、といった、つまりレポート作成から運用調整、入稿までが全てスクリプトとスプレッドシートで完結する仕組みになっていて、これは非常に大きな魅力だと感じています。

どのような機能がよく使われているか? 実運用に根差したスクリプト活用の具体例

星野:今スプレッドシートとの連携についてもお話がありましたが、他の活用事例についても、ご紹介いただくことは可能でしょうか。

庄司:先ほどもお話ししたとおり、レポートをGoogle スプレッドシートと連携させて活用するケースが代表的な事例になります。それ以外にも、弊社の「Developer Center」というサイトでいくつかのソリューションを紹介しています。例えば、配信実績を定期的にチェックして、コストが設定値を超えた場合にチャットツールのSlackで通知する、オーディエンスリストを一定の頻度で自動アップロードする、といった活用も多く見られます。

サンプルスクリプトのページにはさまざまな連携について具体的なスクリプトが公開されている

サンプルスクリプトのページにはさまざまな連携について具体的なスクリプトが公開されている。

星野:Slackとの連携も非常に便利な機能ですね。私自身がよくやっていた例でいうと、広告運用の中で「このままいくと正午には予算を超過してしまうかも」といった不安が出てくることがあります。そうしたときに、スクリプトを1時間ごとに実行して、状況が危ないときだけSlackに通知する仕組みを組んでいました。あるいは、16時にSlackに通知が届くようにして、「このままなら今夜は問題なさそうだ」と確認する、という使い方もしていました。

スクリプトというと、つい「管理画面上の設定を自動で変更するツール」といったイメージが先行しがちですが、スプレッドシートやSlackなどと連携させることで、より広い意味で運用業務全体の最適化が図れる。その結果として、スクリプトの価値が最大限に引き出されるといった活用の形が見えてきたように思います。

庄司:Slack連携機能をそこまでご活用いただきありがとうございます!

星野:さて、サンプルスクリプトを活用すれば、ある程度の機能はすぐに使えると思うのですが、そこから少しだけチューニングしたい、となった場合はどうすればよいでしょうか。特に初学者の運用者の方が「ここをちょっと変えたい」と思ったときに、スクリプトの調整はどのように進めればいいのでしょうか。

庄司:まずはサンプルプログラムやソリューションページに掲載しているサンプルコードをご覧いただくのがよいと思います。冒頭のほうに設定項目がまとめられていて、そこをそのまま使えば編集するだけで基本的なカスタマイズができるようになっています。まずはその設定部分に手を入れてみるのが、最初のステップになるかと思います。

サンプルスクリプトの紹介画面。

サンプルスクリプトの紹介画面。

もう少し踏み込むなら、例えば金額を少し変更してみる、配信のオン・オフを切り替えてみるといった、単一の値やステータスを操作してみるのは入門としてはよいでしょう。リファレンスにも基本的な操作は記載されています。

星野:他にも例えば、スクリプト自体を大きく変更しなくても、スプレッドシート側で関数をうまく使えば調整できる部分もありますよね。

庄司:はい、そのとおりです。また、レポート作成のサンプルスクリプトも公開しておりますので、そのサンプルを少しアレンジしていただくくことで、必要な実績を取得するスクリプトも比較的簡単に作成できます。

※参考サイト:レポート作成のサンプルスクリプト

まずはサンプルスクリプトで自動化を体験。ゆくゆくはカスタマイズに挑戦

星野:これから広告運用の自動化に取り組みたいと考えている運用者は、どのように学習を進めていくのがよいか、アドバイスをいただけますか。

庄司:最終的にはスクリプトを自分でカスタマイズして活用していただきたいので、やはりJavaScriptの基礎知識を持って取り組んでいただくのが望ましいです。基礎があると「こういうこともできるんだ」と可能性がどんどん広がっていくと思います。

とはいえ、JavaScriptの知識があまりなくても、先ほどお話しした弊社が提供しているサンプルスクリプトを使えば、設定を試して「動いた」という体験が得られるはずです。まずはそこから始めてみるのがよい取っ掛かりになると思います。

その上で徐々にJavaScriptの基礎を学んでいただき、慣れてきたら例えば配信を自分でやってみるなど、少しずつカスタマイズに挑戦してもらえるとスクリプトをより自在に活用できるようになるはずです。

星野:やはり、JavaScriptをある程度知っておくと、さらにいろいろやりたいとなったときに対応できる幅が広がりますよね。

庄司:そのとおりです。

LINEヤフー 庄司正さん 大橋恒平さん

Yahoo!広告 スクリプトTips:現場を支えるスクリプト活用のすすめ

星野:Google 広告スクリプトにはスクリプトを実行する前にテストできる「プレビュー機能」がありますが、Yahoo!広告 スクリプトではUI上にはそうしたプレビューボタンはないかと思います。とはいえ運用者としては、事故につながらないように安全にスクリプトを実行したいと考える方も多いでしょう。その点で、どのようにリスクを回避しながらスクリプトを開発・実行すればよいか、アドバイスをいただけますか。

庄司:ご指摘のとおり、Yahoo!広告 スクリプトにはプレビュー機能はありません。そのため、まずいきなり運用中の広告にスクリプトを適用するのではなく、配信していない広告でスクリプトの動作確認を行うのが大前提になります。本番の運用広告で意図しない操作や事故を防ぐために、お客さまでできる基本的な対策になると思います。

星野:例えば、キャンペーンをオフにしておいたり、開始日を未来日に設定しておいたりすることで、実際に配信が始まらないようにして、その状態でスクリプトの動作を確認する方法も考えられますよね。あるいは開発専用のアカウントを一つ用意して、そこで事前に検証する、ということも有効でしょうか。

庄司:そうですね。有効な方法だと思います。

星野:最近、弊社ではインハウス支援で、事業会社の広告運用担当者と直接話す機会が増えています。そこでよく聞くのが、セール連動の広告を短期間で切り替える必要があるのに、自動運用ルールだけでは対応しきれない、といった声です。APIの開発が最も安全とは思いつつも、Yahoo!広告 スクリプトなら比較的低コストかつ手軽に自動化できるのですよね。

もちろん、コードのレビューや検証は必要ですが、サンプルコードを活用すれば自動化の導入は現実的になるのではないかと思います。例えば、週末にも運用調整が必要な案件があったときに、「土日はなるべく出勤したくないけれど、対応しないといけない…」という方もいらっしゃるのですが、スクリプトがあればそうした負担をかなり減らせるのではと感じます。

大橋:おっしゃるとおりです。もちろん、APIを使えばより自由度の高いカスタマイズが可能になりますが、いきなりそこへ進むのは現実的に難しいこともあります。だからこそ、最初の一歩としてYahoo!広告 スクリプトを使っていただくのが有効です。

まずはスクリプトでニーズを満たせるか試してみて、それでも足りなければ次のステップとしてAPIを活用する、といった段階的な導入が現場にとっても自然だと思います。

星野:現場の大変さと、マネジメント層の理解が乖離するケースは結構あると思うのですが、スクリプトで一定の工数削減した実績があれば、開発や全社展開への説得材料にもなりますよね。

また、土日に配信状況がどうなっているのか見えなくて不安という声もよく聞きます。「1円でも費用が発生しているかどうかだけでも知りたい」「何か通知が来れば安心できる」と。

大橋:メールやSlackに通知を送る仕組みはスクリプトで実現できます。ぜひご活用いただきたいですね。

星野:土日もずっと運用のことを考えてしまう運用者の心理的な安心にもつながるツールですね。

アタラ 星野

アタラ 星野

運用者へのメッセージ「まずは“一歩目”から」

星野:最後に、日々広告運用に取り組んでいる方、広告主の皆さまや代理店の方などに向けて、一言メッセージをいただければと思います。

大橋:Yahoo!広告 スクリプトは、正直、一歩を踏み出しづらく、少しハードルが高く感じられるかもしれません。ただ、弊社が提供しているサンプルスクリプトや事例集を活用すれば、自分の困っていることに対してこんな解決方法があるのか、と実感していただけると思います。まずは気軽に、軽い気持ちで試してみてほしいです。一歩目を踏み出していただければ、その便利さや効果をきっと感じていただけると思います。

星野:“一歩目”というのが、今日のキーワードですね。庄司さんはいかがでしょうか。

庄司:最近はAIなどの技術も進化していて、昔よりもずっと学びやすく、とっつきやすい環境が整っています。最初は分からなくても、少し触ってみて「なんとなく動いた!」という体験ができれば、それが大きなモチベーションにつながると思います。そういった世の中のテクノロジーを活用していただきつつ、そうした経験を通じて、どんどん使える部分を増やしていってもらえたらと思っています。

星野:私もスクリプトを書くのは好きなのですが、最近ではインハウスの支援側として運用者の方と関わることが多くなっています。皆さんがスクリプトを書けるようになるのが理想ではありますが、まずは社内に一人でも書ける人がいれば、そこからノウハウが広がっていく。そうやって少しずつ自動化が進み、最終的には運用者の方が単なる入札調整や広告文の入稿といった作業ではなく、もっとクリエイティブな領域に集中できるようになれば、業界全体もより良くなっていくのではと感じています。

まずは一歩踏み出して実行することで、思い通りになる面白さを実感して日々の業務に生かしていただくといいのではと思いました。本日はありがとうございました。

 

 

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