ビジネスダッシュボード構築支援事例紹介: 大和物流株式会社
誰もがデータに向き合えるダッシュボードの構築を実現。Domoが、データドリブンな企業風土醸成の強力な一手に
アタラの評価ポイント
・ビジネスユーザーが使いやすいDomoだからこそ、全社展開が可能に
・導入支援やバックアップ、導入後のフォロー体制が万全
・現場の課題を迅速に発見し、意思決定につなげるフローが実現
・データドリブンな企業風土の醸成に貢献
大和物流株式会社
企画管理本部
経営企画部 部長/情報システム部 部長 岡 貴弘様
企画管理本部 経理部 業務改革グループ
グループ長 棚橋 伸治様
コーポレートサイト https://www.daiwabutsuryu.co.jp/
大和ハウスグループの総合物流企業である大和物流株式会社。物流事業を通じてさまざまな顧客との取引を行う同社では、データを活用した経営管理の高度化をテーマに、業務のあらゆる領域に浸透しているデータを統合・整理・可視化・分析し、ビジネスの改革や創造につなげることを目的にDomoを導入されました。Domoを導入されるにあたり、アタラではビジネスダッシュボード構築をご支援しました。
本記事では導入経緯や、どのようなデータを可視化されているのか、導入により実感されている効果までを、アタラマーケティングチームがインタビューしました。
■目指したのは、社内データの見える化と、
全社員がデータにアクセスしやすい環境づくり
―まずは、御社の企業概要と、お二人の自己紹介をお願いします。
岡:弊社は、1959年に大和ハウス工業の物流子会社として設立し、建築・建材物流をコア事業として60年以上にわたり培ったノウハウと、独自の全国ネットワークを強みに総合物流企業として事業領域を拡大し、さまざまな物流サービスを提供しつづけています。私は、経営企画部長と兼務で情報システム部長を務めています。
棚橋:私は企画管理本部 経理部 業務改革グループのグループ長で、現在、Domoを社内展開する事務局を務めております。
―ありがとうございます。今回のDomo導入プロジェクトは、どのようなきっかけでスタートしたのでしょうか。
岡:Domo導入前から二つの構想がありました。まず一つが「経営管理プラットフォーム」構想です。これは、社内に散在する経営数値データを整理し、分かりやすく見える化し、データを利用する階層ごとに必要とする情報を必要なタイミングで共有し、事業活動に向けたアクションにつなげることを指します。
これまでにも、社内システムを使って利益計画を策定したり、データを確認したりする仕組みはあったのですが、わざわざアクセスしないと見ることができず、確認フローが非常に煩わしいものでした。もっとタイムリーに見るためには、誰もがアクセスしやすい環境で可視化することが不可欠だと感じていました。
もう一つは、会社指標を作って見える化するという「KPIプロジェクト」の実現です。実は以前から、KPI管理・分析のために他社のBIツールを導入していたのですが、専門性が高く、かつ使いやすくするために独自開発することが難しかったため、いつの間にか誰も見ないツールになってしまっていました。せっかくデータ自体は収集できているのに活用できていないという、もったいない状況に課題を感じていました。
―経営管理プラットフォームと、KPIを見える化するという二つの軸で課題を感じていらっしゃったと。では、Domoのどのような点に魅力を感じられたのでしょうか。
岡:弊社のコンセプトとDomoのコンセプトが合致した点が一番の決め手でした。弊社がBIツールに望む要件の中で、さまざまなシステムで管理されているデータを統合して全社へ共有を図り、次のアクションにつなげられるようなダッシュボードの構築というのが、非常に重要な要素を占めています。
そのため、専門スキルを持ったデータサイエンティストが専門的に分析するような使い方ではなく、ビジネスユーザーが気軽に触れて、データを分析でき、自身のアクションについての示唆を得られるBIツールが望ましいと考えて検討を重ねていました。
それこそPL(損益計算書)の見方が分からない若手社員であっても、ダッシュボードを見れば会社の状況がひと目で分かる、そういう使い方ができるBIツールはDomoしかないと思いました。
棚橋:ビジネスユーザーにも使いやすいというのは、非常に重要な検討材料の一つでした。これまで工数を割いていた各種データの統合や整理、それらを使った可視化をなるべく簡潔にして、即次のアクションにつなげたかったのです。
また、同一データであっても柔軟に切り口を変えてさまざまな角度から可視化することで、新たな示唆が得られます。ただ、手段である切り口の変更に時間を要していては本末転倒です。そういった細かな部分でも、誰もが簡単かつ迅速に変更・調整できるツールという視点で検討した結果、Domoに決まりました。
―アタラはどのようにして知られましたか。
岡:2019年に開催されたDomo主催のイベントに管理部門担当役員(当時)と私の二人で参加した折に、Domoの概要を知りました。その場で登壇されていた杉原さん(アタラ合同会社 CEO)のお話を拝聴したのが、アタラさんとの最初の出会いです。
その後、検討を重ねた上で本格的にDomoを導入することになったのですが、導入を成功させるには立ち上げ時の動きが重要なポイントであると認識していたため、導入支援に長けたパートナーを迎えたいと考えていました。
そこで杉原さんに相談したところ、導入支援やバックアップ体制、導入後のフォローアップまでを徹底してユーザー目線で考えてくださったのが印象深く、アタラさんにお願いする決定打になりました。
■基幹システムデータや競合データなど、あらゆるデータをDomoに集約
―実際の導入から活用までのお話を伺います。Domo導入プロジェクトを開始するにあたって気をつけた点はありますか。
岡:目的がない取り組みは何の意味もないと考えているため、まずは目的を明確化するために「データを活用した経営管理の高度化」をテーマに掲げました。つまり、業務のあらゆる領域に散在しているデータを統合、整理、可視化、分析することで、現場の改善から新たなビジネスの創造までを、Domoというプラットフォームで一気通貫に実行できるようにしたいという、プロジェクトメンバー全員の認識統一を図りました。
棚橋:コアメンバーは約十人で、実際の運用面の主管は経理部 業務改革グループが、立ち上げと導入については経営企画部が行いました。アタラさんにプロジェクトに参画していただき約9ヶ月でダッシュボードを構築し、現在は全社展開にまで至りました。
―9ヶ月で全社展開にまで至るというのは、かなりの熱量を持ってスピーディに進められたのではないでしょうか。
棚橋:専門的な開発が必要なBIツールであれば、ちょっと修正するだけでも開発会社に依頼し、できあがるのが数ヵ月先という話になりがちです。Domoならば、我々が頑張ればすぐにでもダッシュボード上に反映させられますし、分からない点やブラッシュアップすべき点はアタラさんにご相談できるので、このスピード感で実現できたと考えています。
―具体的にはどのようなデータをダッシュボードで管理されているのですか。
岡:まずは分かりやすく、社内ですでに成熟している基幹システムのデータ、つまり会計データや販売データ、勤怠データ、輸配送データ、利益計画データ、顧客データの可視化に着手しました。各データ同士を結合させて、切り口を変えたデータの可視化も行っています。
また、SDGs関連データ、物流施設件数・棟数なども一つのダッシュボード内で管理しています。
棚橋:発展的な試みとして、競合分析のためのデータや天気データのような社会データもDomoに取り込んで、自社のデータと連携させることも並行して実施いたしました。
―天気データも取り込まれているのですか。
棚橋:物流業は天候に左右される部分も大きいので、天気データが一緒に見られるのは非常に便利です。そういったアイデアはアタラさんからご提案いただいて、弊社でどのように使えるのかを考えて取り入れました。今は天気を表示させているだけですが、今後は日時のデータと組み合わせて、天気の悪い日はどういったサービスが伸びるのか、といった示唆も得られるようにしたいと考えています。
最近はとにかく皆に、いかにDomoにログインしてもらうかという点に重点を置いて試行錯誤しています。例えばWeb会議の際にDomoを活用したり、Domoをハブにしてあらゆる社内ツールにアクセスしたりするような導線を設計中です。
―アタラが支援させていただいたところから始まり、現在は自走してフル活用していただいている印象を受けました。実際にDomoを導入したことで感じた効果はありますか。
棚橋:如実に感じる効果としては、社内全員が同じデータを見て、同じ方向を向けていると感じられる点です。Domoならば経営層や経営陣に報告する資料と事業所内で使う資料、全社に展開する資料で内容が異なるといったことが起こり得ないので、継ぎ目のない連携ができますし、皆が同じものを見て、共通認識のもとアクションできていると実感しています。
棚橋:これまで使っていたようなExcel形式の報告書を例に挙げると、例えば自分は棒グラフが見やすいと思って棒グラフで報告書を作ったとしても、折れ線グラフで見たいとか、こういう並べ替えをしてほしいといった話が出るたびに無数のExcelファイルが増えていました。
Domoを活用することで、そうした作り変えの工数を減らし、各自が見やすい形でデータに触れられています。つまり、よりカジュアルにデータに向き合うことができています。
棚橋:UI面では、グラフなどの見た目が柔らかく、操作性の面でもシンプルな使いやすさが特徴だと思います。基本的にはマウスのスクロールとクリックのみで操作が完結します。
岡:Webサイトのようなストーリー性を持ったページ作りができるため、上から下へとスクロールする一連の流れの中で、直感的に自社の状況を深く理解できているという実感もあります。
―現場社員の方々のデータへの向き合い方に変化はありましたか。
棚橋:支店長はすでに数値について頭の中で理解していたようですが、配下の社員たちはPLを見ても解釈の仕方が分からないため、これまではPLの重要な箇所にマークをしておくくらいの対策しかできませんでした。
ダッシュボード化したことで視覚的に理解しやすくなったため、PLを読まなくても利益が出ているか、運送部門や作業部門の売上はどうかという数値をリアルタイムに確認できるようになり、社員の教育面でもとてもためになっていると聞いています。教育に関しては私の主管部門ですし、今後も順次展開していきたいです。
また、事務所にとどまらず倉庫内にもモニターを設置し、生産性などの項目をダッシュボードで表示することで、社員のモチベーションを上げる一役も買っております。
■データドリブンな企業風土を醸成したい
―御社が相当な情熱を持ってDomo導入プロジェクトに臨まれているということがよく理解できました。この取り組みでは、御社のデータ活用に対する思想が垣間見えたような気がします。
岡:私はデータをもって議論ができる、データドリブンな企業風土を醸成する必要性を強く感じています。データを用いて正しい経営に舵を切るのが、今後も生き残るための経営戦略として理想ではないかと思います。
時間はかかるかもしれませんが、弊社なりの独特の文化を作っていきたいので、まずは全社員がDomoという単語を聞いただけで、それが何かを理解できるように定着化を徹底させていきたいです。
―ありがとうございます。では最後に、アタラに今後期待することはありますか。
岡:これまでの取り組みを通して、アタラさんとは非常に信頼感のある関係性を築けたと思っています。全社展開をしたばかりなので、やっとスタート地点に立ったところではあります。引き続き技術的な支援や取り組みアップデート情報をご共有いただきながら、データドリブン文化の醸成を二人三脚でお手伝いいただけると嬉しいです。
棚橋:「Domo × ○○」といったような、Domoと他ツールをかけ合わせた次の一手となる活用方法も試してみたいので、一緒に検討していただけると助かります。
―自社のおかれた状況を皆が把握し、改善のために熱量を持って取り組めばデータドリブン文化は必ず定着すると思います。ぜひ引き続きお手伝いをさせていただければと思います。本日はどうもありがとうございました。
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