最近弊社はアトリビューションまわりの情報発信が多いので、システム開発事業についても書こうと思います。

アタラの売上の大きな部分はシステム開発が担っています。広告業界でテクノロジーが必要な箇所に対してアドテクノロジーソリューションを提供しています(なぜか日本では最近アドテクノロジーというとアドエクスチェンジ周辺のことを意味しているのが多いのが不思議な感じがしますが、弊社がいうテクノロジーはアドエクスチェンジ周りだけではありません)。
私(杉原)は今までの20年間のキャリアの半分は通信、IT、半分はネット広告です。2002年にオーバーチュアの立ち上げに加わり、ネット広告に携わった頃、結構驚いたのが、「ネット広告業界のシステム化は結構遅れてる」点でした。
手作業が多いな・・効率悪すぎるな、と。
で、すぐにAPIに注目したわけです。米国に行くと、すでに広告代理店、ツールベンダー、広告主がAPIを使って効率的なリスティング広告の運用を行っており、APIでつながった「エコシステム」ができあがっていました。その当時でも、全世界の売上の何十パーセントは、何らかのツールを経由して運用されているものでした。これは逆に衝撃的でした。APIを提供する媒体側も、それを使う側もコミットしている。お互いなくてはならない状況になっていました。
グーグル時代を合わせて10年間リスティング広告のAPIの布教活動を地道に行ってきました。日本進出を希望する欧米の自動入札ツール、解析ツールを、日本の広告代理店、広告主に紹介したり。それはかなりやりました。でも、日本で独自に開発する会社はなかなか現れませんでした。
過去10年、ネット広告業界はテクノロジーに対する投資意識が希薄だったと思います。メリットをなかなか理解してもらえませんでした。急激に成長した業界で、経営的にはそこまで考える余裕がなかったのかもしれません。ですので、とりあえず人海戦術で対応する。でも、当然人はからむわけで、関わっている人はどんどん疲弊してしまう。一番刺激的な業界の一つなのに、その魅力を伝えきれていない、残念だな、と思い続けてきました。
で、10年経ったし、一つの区切りとして、自分でやってみようと思ったわけです。
理由はいくつかあります。
1. タッチポイントの拡大
ネット広告業界は、元々システム化が立ち後れていて非効率な上に、スマホ、タブレットやソーシャルなどの出現で、消費者は多様なデバイスやウェブサービスを使っています。タッチポイントが増えて、薄まっている中、すべてに対応しないといけないマーケター受難の時代に突入しています。テクノロジーがサポートしないともはや全ては見切れない状況だと考えています。
2. 情報爆発
上記同様、タッチポイントは増え、情報のやり取りがリアルタイム化している中、過去とは比べ物にならないほどのデータ量が流通しています。まさに情報爆発。多様な行動を取る消費者を効率的ターゲットするためには、大量データを高速に分析し、どこにどういうポテンシャルがあって、そこに投資したらどれほど効果が見込めるのか、を予測しながらマーケティング施策を打つ必要があります。でないと競争に負けるからです。テクノロジーが必要になるのは明白です。
3. 広告主のロングテール化
広告プラットフォームも進化し、ネット広告はセルフサービスで使えるようになりました。中小企業の広告主も、大企業と台頭に戦える土俵が用意されています。また、まだネット広告に取り組んでいない会社は何十万社もいるわけで、広告サービス提供側も、売上を確保するため主戦場を中小企業を中心とした「ネット広告未経験の会社」にシフトし始めています。ただ、当然ながら、こういった広告主の予算規模は比較的少額で、しかも数が多いということになると、テクノロジーを使って効率的にサービスを提供できないと、儲からないということが理解されるようになってきていると思います。
4. テクノロジー環境の進化
ウェブを取り巻くテクノロジーやインフラも進化し、開発することも昔よりは格段に楽になってきています。しかも安価に。ビジネスが拡大すればシステムを柔軟に拡張できる「スケーラビリティ」の確保も容易になってきています。増えていくタッチポイントのデータは、システム同士を「疎結合」(細分化された個々のコンポーネント同士の結びつきが比較的緩やかで、独立性が強い状態のこと)すれば可能であり、それを実現しやすい環境はすでに準備されています。
弊社は規模も小さいですし、どんなものでも依頼されれば作るということではありません。得意とするリスティング広告は今後も中核を担いますが、それだけに留まらず、今後はマーケティング全体のみえる化、疎結合、データ統合、データ連携、分析、予測をキーワードに事業を展開していこうと考えています。

杉原剛

2011.10.08