最近、個人のビジョン/ミッション/バリューを作りたいのでアドバイスをもらえないかと知り合いから連絡があった。彼女は社会人2年目で、ちょうど最近転職したばかりで心機一転ということもあり。普段からその大切さについては語っていたので憶えてくれていたようだ。まずはその点は評価。

ビジョンは、こうなりたいという将来像
ミッションは、ビジョンを実現する上での存在意義や使命
バリューは、ミッションをこなしビジョンに向かう上で守るべき価値観やルール

もっと簡単に言うと、

ビジョンは、夢
ミッションは、夢を実現するためにやるべきこと
バリューは、夢を実現する上で大切なこと

である。

今回、その彼女は個人のそれを作りたいということだったが、アドバイスの一つとして与えたのは、彼女のビジョンがあくまでも会社組織にいける活動によって実現するものであれば、会社組織のそれとアラインしないと恐らく意味がないということ。

会社組織でビジョン/ミッション/バリューを作るときも同じことが言える。

本来は、

会社のもの

(部署のもの)

個人のもの

となるのが理想である。大本の会社の方向性や将来像を実現するためには、部署や個人のそれが、その一部を担っていないと全く意味がない。それどころか、それがきちんと整理されていないと、方向性が定まらなく、個々人が組織に価値観を見いだせない組織ができてしまう。

ところが、これが大多数の組織で起きている実態だ。

自分の経験から言うと、前々職の外資の日本支社ではそれがなかったため、当時の部門の責任者が作ろうということを会社に提起した。しかしながら、2つの問題が起きた。

1. そもそも米国本社にそれがない(驚いたが)!

2. じゃあせめて日本支社だけでも(米国本社の方向性をある程度自分たちで見立てて)作ろうということを自分の上司が提起したのだが、日本支社の他の部署の責任者たちはそのあたりの理解が浅く、賛同を得られなかった。

よって、自分の部署のものだけを作ることになった。これは上記の通りで理想ではないが、会社の方向性をしっかり理解し、そこから考えるプロセスから入ればできないことはない。

結果的にはすばらしいものができた。その作るプロセスも非常に重要で、なるべく多くの人間に考える機会を与え、コンセンサスビルディングをしながら作り上
げることだ。人数が多いと決めごとは難しいのは事実だが、なるべく全員を関わらせることで、最終的に完成したビジョン/ミッション/バリューに対して感じ
る当事者意識は高いものが期待できる(プロセスの中で自分もコミットしたという気にさせる効果があるからだ)。

この経験は大きかった。あれからいつも会社と自分のビジョン/ミッション/バリューがアラインしているかはこだわるようになり、常に自分の立ち位置が明確になるようになった。

ビジョンを設定することで目標が明確になることが、まずは大切なことなんだと思う。目標がないと人間流されるものだ。先々の姿をいつも想像することで、その目標に近づく自分が自然に出来上がって行く。そんな組織も個人は強いのだ。

また、社会における自分や自分の組織が存在する意義が明確になることは大事なのだと思う。仕事は社会に貢献するための手段であり、どう貢献しているかがわかることで、仕事に対するやる気は醸成されるのだと思う。

会社組織にとってビジョン/ミッション/バリューを作りあげ、それが脈々と息づいている組織を維持するのはマネジメントとしては必須だと個人的には思う。「会社の方向性がわからない」という声が社員から出てきたら、まずはここを見直すことが急務だ。

個人も、会社のそれがないからと甘えることは禁物だと思う。会社にそれを求めることも、見立てて自分で作ることもできることはできるのだ。結局は、自分がどうありたいか、ということを常に考えているかだと思う。その意識を持つことが大事なのだ。

しかしながら、作ることと維持することは大違いなのだ。相談してきた社会人2年目さんは、考え方はクリアになったと喜んでいた。来年、再来年と、定めた個人のビジョン/ミッション/バリューをきちんと実践していたら、そのときは褒めてあげよう。

杉原剛

2011.02.28